Home > エリア > SOUTH > NORTH CAROLINA / SOUTH CAROLINA > 市場の潮流でわかる、米国で今熱い都市

ハイテクノロジー産業の牽引が豊かな都市へと成長
急成長率ナンバーワンのオースティン

エネルギー産業の革命により、米国全体の経済が大きく揺れ動く今、米国の各年に大きな影響を及ぼしている。今回、フォーブス誌が発表した「急成長都市ランキング」ではみごとにテキサス州のオースティン、ダラス、ヒューストンの3都市がランクイン。ここでも州の企業誘致活動が盛んで州行政の地域活性化を促す様々なインセンティブを打ち出しているテキサス州のパワーが浮き彫りになった。このランキングを見ても分かるように、大都市のみならず、地方都市が豊かな生活を手に入れる地として存在感が増していることが分かる。今、どの都市が『熱い』のかビジネスのファクターを中心に検証してみる。

急成長率ナンバーワンのオースティン

フォーブス誌が発表した「2014年 急成長している都市」ランキングは、人口の増加、雇用の増加、経済成長率、失業率といった多方面から分析している。その結果、テキサス州のオースティンが1位を飾った。オースティンの人口増加は著しく、2013年の前年比で米国全体の約4倍の人口増加率を記録した。失業率も4.89%( 米国全体5.4 % 2014年12月現在)と低い。

 

 

物価も安く、コスト・オブ・リビング・インデックス( 生活費指数)もニューヨークが170に対してオースティンは92.9。2013年のNational Associationof Home Builders によると、住宅平均価格は22万2900ドルと比較的手頃な価格だということが調査で分かった。オースティンの都市部の平均住宅価格は4ベッドルームで30万4585ドル、周辺都市では、ラウンドロックが22万6457ドル、ジョージタウンは23万7191ドルとなっている。また、テキサス州は所得税が課されない州としても有名で、ローカルタックスも低いという州政府による恩恵が大きい。

オースティンといえば世界的に有名なハイテクノロジー企業が集まる都市でもある。最近ではオラクル、ナショナル・インストゥルメンタル、フレックストロニクス、サムソン、アップル、HDIグローバル、GM、アテナヘルス、ドロップボックスなどがオースティンに拠点を持ち、大きな投資をもたらした。全米有数規模を誇るテキサス大学のオースティン校は、産学連携が盛んで、将来の人材育成にも力を入れている。

2 位のノースカロライナ州のローリー市は、通信機器、コンピュータ、情報技術、生命工学などオースティンと同じくハイテクノロジーの産業が活発な都市として知られている。ノースカロライナ州はローリー、ダーラム、チャペルヒルの3都市間にリサーチ・トライアングル・パークが設立され、この地域は全世界のハイテク産業を支えている企業が集まり、技術革新の開発が日々行われている。リサーチ・トライアングル・パークはデューク大学、ノースカロライナ州立大学、ノースカロライナ大学チャペルヒル校の3大学を結ぶ地域に位置しており、この3 大学、産・学・官の3者連携によって成り立っている。よって、教育レベルの高い都市としても有名。この地域にはIBM、米国国立環境健康科学研究所(NIEHS)、グラクソ・スミスクライン、米国環境保護庁(EPA)、住友電工、ソニー・エリクソン、エーザイ などの150社以上の企業と5万人が働いている。

 

 

ローリー市はこのトライアングルの中心都市、そして済発展の柱として貢献しており、人口増加に大きな影響を与えている。2010 年のセンサスでは、121 万4516人がローリーーキャリー都市圏( ウェイク、ジョンストン、フランクリンカウンティ)に住んでおり、2010年から2013年までの人口増率は7 % をマークした。
同州への日系企業の進出や工場の拡大といった投資が盛んに行われており、最近では自動車用安全システムの製造販売大手のタカタがノースカロライナ工場を拡張、鉄鋼商社の岡谷鋼機の工場増設、森永アメリカフーズが現地生産子会社を設立した。企業にとってノースカロライナ州の魅力は、一番に労働力。トライアングルを中心に優れた人材が集まっており、政府のサポートによるトレーニングプログラムも手厚い。また労働組合に加入する労働者の割合は全米一低い。また、企業が進出するにあたり州政府による優遇税制も多くあり、様々な減税プログラムも充実している。

3位のアリゾナ州フェニックス市は、ここ10年で大きな経済発展を遂げている都市の一つである。260以上の企業が進出し、5万の雇用が増加。約800億ドルのキャピタルインベストメントを生み出した。フェニックスは米国で5位を誇る大都市で160万人が住む。人口増加も著しく、2020年までに220万人の人口増加が予想されている。この都市の経済を支えている産業は主に金融業、また精密機械、半導体、電機機器などである。乾燥した気候や広大な土地をという好環境が整っており、かつてはカリフォルニアを拠点としていた大きな企業がフェニックスに次々と移転をしてきた。また、大きな情報技術企業もフェニックスに目をつけ、データセンターを設立している。その理由として、パワーコストの削減と自然災害対策だ。データセンターはパワー消費量をどれだけ削減できるかが運営成功の鍵となり、カリフォルニアの電機コストが一時間毎のキロワット0.10ドルかかるのに対し、フェニックスは0.07ドルとかなり低い。そしてカリフォルニア州は地震や山火事などの自然災害がつきまとうが、フェニックスはそういった自然災害の心配が比較的少ない。また、生活費指数も71.94と低く、平均給与も6万4200 ドルと高い。企業進出の優遇税制も手厚く、州政府と連携団体のThe Community and Economic DevelopmentDepartment による、トレーニング、不動産、税金控除などのサポートも充実している。

航空産業とともに高まる地方都市の成長

10位以下を見ると、ここ数年のボーイング社の新しいプロジェクトの増加によってローカルの経済に700億ドルの経済効果をもたらすと言われているワシントン州シアトルが11位。また同じく500以上の航空関連製造会社を持つジョージア州のアトランタが12位にランクインした。航空産業のメインテナンス・リペア・オーヴァホール(MRO)事業だけでも、アトランタは2万人以上の雇用がある。また自動車関連の製造業による経済成長も見られる。

13位は保守的で治安が良い都市として上位に常にランクインされるユタ州のプロボ。リーマン・ショック時もほとんど影響を受けず、安定の経済を保っている。税制優遇と公共料金も全米平均より15%を下回る低さで企業運営には魅力のある都市として位置づけられている。

14位は2000年から14年間で48.17%の人口増加を記録したフロリダ州のケープ・コラル。

15位は同じくフロリダ州のパーム・ベイ。所得税が無課税で、ハイテクノロジーの企業が多く集まる都市として知られている。

 

You may also like
全米日系企業を網羅
「企業概況データバンク2024」登録開始!
UJPニュースレター | 【ウェビナーご招待】ウィズコロナ時代のアメリカ拠点運営の「コツ」
企業概況ニュース7月号
Business Engineering America, Inc.がウェビナー開催