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『簡単にはできない!』米国進出の難しさと、 『成功してほしい』という熱い想い PacificVision Partners マネジングディレクター 金子昌平 氏

日本やアメリカでの普及率は5割を超え、20代に至っては5人に4人が所持しているスマートフォン。急速にそして爆発的にこの世の中を圧巻したITデバイスである。この業界の流行の波は他のどの業界よりも目まぐるしく、疾風迅雷の変化を遂げている。なかでもIT業界の聖地シリコンバレーやサンフランシスコには、数多くのIT有名企業やベンチャー企業がひしめき合い、熾烈な競争が起きている。そんなIT企業を戦略的にサポートする コンサルタント会社PacificVision Partners の金子氏代表のお話を伺った。主な事業は、日米のクライアントに対する事業拡大のための戦略的サポート。米系IT企業は起業し軌道に乗り始めると、3〜4年後には海外市場を狙い始める傾向にある。近年、中国も注目されているが、やはり最初は日本という流れが主流。また日本を含むアジア企業は米系企業と業務提携し、大幅な事業拡大や多角化のために、北米の最先端技術導入や新製品を模索する。その企業との戦略的関係の効果的な構築を支援している。クライアントは、中堅から大手の日系企業、米国はベンチャー企業がほとんどである。「サンフランシスコに設立し17年の月日が経ちましたが、この街のテクノロジーの早さを常に肌に感じています。2〜3年後でさえどうなっているのか、IT業界の未来は予測ができないですね。だからこそ敏感にアンテナを張って、軌道修正していくことが必要です。」

 

また、日米の企業の違いを成長スピードの早さだと指摘する。米国では起業し、3年足らずで従業員が100名まで膨れ上がることも珍しくなく、社員の入れ替わりも激しい。技能や賃金の向上を求めて転職を繰り返す“ジョブホッピング”が多く、日本のような転職にまつわるマイナスイメージはないお国柄。とりわけシリコンバレー界隈には世界中から超優秀な天才的ITエンジニアが集まり、彼らを満足させる職場環境を提供できるかどうかが、その企業の明暗を分けることもある。彼らは何よりも自分が面白いと思った仕事以外はしない。少しぐらい高い給料を提示されても、自分が情熱を傾けられない仕事はやらないという徹底ぶりだ。シリコンバレーにやってくる日系企業はここ数年で急速に増えている。しかし、いまだに成功しているIT関連企業は、金子氏が知るかぎりではないと断言する。それだけ難しいとされるIT企業の米国進出。

 

「アドバイスをするならばただ一言、『簡単にはできない!』。相当な時間とお金をかけて念入りに準備をし、アグレッシブさや異文化への対応能力が必要です。優秀なエンジニアに来てもらうための魅力的な職場づくりは特に重要です。面白くて社会を変えるような事業をやっていれば、自然と人が集まりますよ。今はまだ成功しているIT関連日系企業は見られませんが、近い将来でてくると思っています。今後、そういった企業のサポートを積極的にやっていきたいですね。」
先ほど韓国出張から帰国したばかりというが、笑顔で語る金子氏に疲れは見られない。日本食のレシピ本「Let’s Cook Japanese Food!」を出版するほど、大の日本食好きというアメリカ人の奥様エイミーさんの栄養満点の愛妻料理がその秘訣だろうか。