Home > Featured > 第4回【NY商業不動産ウォッチング】
ニューヨーク市のホテル市場が 陰りをみせている 

第4回【NY商業不動産ウォッチング】
ニューヨーク市のホテル市場が 陰りをみせている 

ニューヨークのホテル産業は、何年もの間成長の一途をたどってきたが、最近のドル高や弱いグローバル経済が影響して、海外からの旅行客が落ち込んできており、ホテル関連のデベロッパーや投資家にとって、ホテルビジネスの魅力が弱まってきている。金利の値上げや建設費のコストの増加も、新たなホテル建設を躊躇する理由の一つになっている。

今年1月に入って、STR(ホテルリサーチ会社)のレポートによると、スタンダードのニューヨーク市のホテルの平均収益は急激に12.9%の落ち込みをしたと伝えている。平均客室利用率は、前月に比べて、4.7%ポイント下がり68%の客室利用率となり平均宿泊料は208.11ドルから190.16ドルと大幅な値下がりを見せた。
ニューヨークは海外からの旅行客が多く、強いドルが旅行業に大きな打撃を与えているとホテル関係者は憂慮している。ニューヨーク市のホテル客室利用率は、ピーク時の2013年に84.9%に達し、マンハッタンに関して言えば、88.3% の客室利用率、平均の1日当たり平均ホテル客室宿泊料は、290ドルであった。
2009年から2014年にかけて、ニューヨーク市のホテル客室数は毎年4%の上昇を続けてきた。昨年だけでも、既存の10万8592客室に加えて新たに4318客室が増加された。1015年、3月現在、さらに1万4272客室が建設中である。

ホテル客室数は、ここにきて過剰供給気味で一時期のホテルブームが冷え込みを見せる中、デベロッパーや投資家は違う種類の商業不動産投資に方針を移し始めている。現在のホテルをコンドミニアムや集合住宅物件にコンバートする計画を進め出したのである。例をあげれば、中国のAnbang保険会社がミッドタウンにあるウォルドルフアストリアホテルを1.95ビリオンドルで購入したことを以前この概況ニュース紙面でご紹介したが、最近ホテルの一部を高級コンドミニアムにコンバートする計画を正式に発表した。

Trump Soho やThe Plazaなどがホテルコンドミニアムとして有名であるが、今後益々ホテルと総合住宅施設がミックスされた建設が増えてくることは容易に想像できることである。ニューヨークの不動産に投資をすることはいつの時代でも最善策だと多くの投資家はホテル業界のクールダウンについても楽観的である。

彼らは言う。
“Investing in New York never fail.”

企業概況ニュース 2015年4月号 連載コラム

Masubuchi Realty, LLC.
増渕 敬子 社長
keiko@masubuchirealty.com