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米国進出の最新動向 日本から米国に進出する 企業の成功の鍵は――

②ローカルのマーケットを熟知している専門家を雇う

エリア選びの重要性は、米国に進出する企業にとっては最重要課題だ。その際に、多くのアドバイザーが口を揃えていうのが「土地感覚をしっかりと持った現地のマーケットが把握できる専門家が必要だ」と強調する。
ロレアルとのパートナー提携で米国進出を実現した広島の熊野筆の老舗メーカー貫盛堂の米国進出のサポートを行ったIZUMIビジネスソリューションの社長今泉氏は、現地の専門家を通してみないと分からない現地の様子や情報を入手する重要性を強調する。 「米国市場進出のために世界中の会社がしのぎを削っている中で勝ち残るためには、やはり情報力。最初から現地のアメリカ人の専門家を雇うこと。日本人である私だけではこの契約は絶対成立しなかった」
投資するつもりで現地のマーケティング専門家を雇うことが成功するためには必要で、自分たちだけで調べて少ない情報で決断したり、また少ない情報だから決断できないということにならないように注意すべきだとも指摘する。
ニューヨークでは、飲食店の新しい看板が掲げてあるのにもかかわらず、シャッターが1年近くも閉まっているところを目にすることがある。条件に合った良い物件が見つかったとしても、そこから建築法の申請が始まり、厳しい審査が待っている。そこで生じてくる様々な問題に始めてそこで気づき、プロセスに躓くケースが多くある。

「現在、飲食店のプロジェクトがこの申請の問題で遅れているケースが90%あります。お店が完成しているものの、認可が下りずオープンができない状態で家賃を支払わなければならないという問題をよく聞く」と、商業施設開発を行うナショナル・アライアンス・ニューヨークのCFO柿原氏。
こうした問題は規制が厳しいニューヨークだから起こりうる問題。現地の事情を分かる専門家のみが知っている。同社はこうした問題を未然に防ぐために独自で物件のリサーチを入念に行い、ニューヨークの建築法を熟知した現地スタッフによる進出支援のサービスを提供している。

JINSアイウェアUSインクも法人化の前の現地調査の前に調査会社を利用。また人事制度づくりや採用について、初期段階でグローバルコンサルティング企業に協力してもらったという。「足がかりとして効率的だったと考えています」」(富田社長)

それから、米国進出にはビザの問題もある。「個人や中小企業の場合はビザに関しては、良い弁護士を選んで、十分な投資をすることが重要です」と山口猛氏。

③成功への鍵は高い資金力と早い決断力

米国進出の成功の鍵を握るのは、初期投資にかけるコスト。東南アジアなどの諸国に比べたら、ビジネスのスタートアップの基盤が整っているとは言っても、コストの問題で計画段階で断念して引き上げてしまう企業も多い。前述した飲食業など店舗開業する際のトラブル例もあるように、外部的要因によって何が起きるか分からないという時のために対処できる費用が用意できるかということも重要になってくる。

米国で成功する企業の特徴のひとつに「先行投資で特に時間をお金で買うという企業」が挙げられる。先手を打つ経営手段を選び、また迅速に判断できる組織、もしくは経営者がいるという点がある。
「日系企業は慎重で世界でもトップクラスの賢さを持っているが、なかなか決断ができず長年の歳月を費やす。その結果、後発で進出しても収支率が悪く、リスクも高くなっている」と、ユダヤ人経営者はシビアに日系企業のウィークポイントを挙げている。

その他、「ベンダー進出でもクライントが大手であればあるほど、コストを出し惜しみにしていたら、その前にドアを閉められてしまう。
自分の技術を信じているのなら、必要な投資がいる」「東南アジアは同じアジア圏ということでメンタル的に親近感を感じるのに対して、アメリカは距離も遠い上に言語が英語である為に障壁が高いと日本の中小企業は感じている。また、現地の様子が分かりにくいという理由から、本社の決断も遅くなりがち」と、専門家は指摘する。

米国での会社設立までの期間は一般的には2年から3年かかる。その間にも最初の段階で決めた予算枠では収まらない突発的なコストが発生する場面が出てくる。日本人が良しとする『慎重さ』がこういう時に裏目に出てしまうということも留意点として受け止めておきたい。意思決定のスピードとタイミング、資金力の高さは相対して米国進出における重要なキーポイントといえる。
ケーススタディを見ると、その企業と戦略がくっきり見えてくる。日本の鞄メーカーのエースは、米国ゼロハリバートン社を買収し、ニューヨークの旗艦店1号をオープン。ソフトバンクも米国大手通信会社のスプリント社を買収、米国進出の一步を踏み出した。幣紙でもサクセスストーリーとして取り上げた熊野筆の老舗メーカー貫盛堂は、ロレアルとベンダー契約が成立したことによって、米国進出を見事に果たした。
米国への進出方法や形態はそれぞれだが、米国進出の大まかな方法と事業形態を左記にまとめてみた。

 

米国進出

 

 

 

 

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