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今、注目を集めるエネルギー・キャピタル「テキサスに拠点を移す日」

グローバル企業にとって重要マーケットとされるテキサス州。特にダラス・フォートワース─ヒューストン─サンアントニオで囲まれた
「テキサス・トライアングル」における経済活動は活発で、企業CEOが選ぶ『ビジネスをする上で最も魅力的な州としてトップ10にランキングされている。

 

トヨタ移転の余波で
期待が寄せられる経済効果

米国トヨタ自動車販売株式会社は、北米の製造、販売、金融等の本社機能をテキサス州のダラス北部のプレイノに移転することを発表した。このニュースは、テキサス州ダラス市だけでなく、州全体にとっても、未来の経済成長を思わせる朗報となって伝わり、現地の人にも大きな衝撃となった。

トヨタ以外にもテキサス州に移転、もしくは工場の設立や拡張を進める企業も多い。日系企業の大きなところでは、アービングのNECやトレンドマイクロ、リチャードソンの富士通、最近では、東京ガスもニューヨークからヒューストンに事務所を移転した。米系企業では、アップルがオースティンにキャンパスを建設しており、今年に入ってからは、HIDグローバルが、カリフォルニア州のアーバインから本社を移転している。また、保険会社業界最大手のステート・ファームも本社移転を発表しており、新オフィスビルの工事もほぼ終わり、ダラスへの大きな経済効果が期待される。

そして在米日系企業にも大きな影響を与える米国トヨタの移転。詳しくは、北米の研究開発と生産事情統括のトヨタ・モーター・エンジニアリング・アンド・マニュファクチャリング・ノース・アメリカ株式会社(TEMA)、販売を統括する米国トヨタ自動車販売株式会社(TMS)、北米全体の渉外・広報・調査活動をおこなうトヨタ・モーター・ノース・アメリカ株式会社(TMA)、北米における金融・保険サービスを提供するトヨタ・モーター・クレジット株式会社(TMCC)がプレイノに移転。約4000名が異動対象の予定となる。
こうした企業の移転は、ダラスに経済効果の支柱となる「雇用創出」をもたらす。これが、住民の生活の向上へと繋がり、州全体の活性化が実現する。また第二次的な関連産業の誘致も期待できる。

20年以上ダラスで日系クライアントを中心に不動産業を経営している「松下不動産」の松下昌子社長は「雇用も増えていくことは間違いありません。日本人駐在員の方も増えるので、ジャパンタウンができれば良いなと多くの人が期待しています。日系のコミュニティの中心的な存在になれるような飲食・サービス業が来て欲しいですね」と活況への期待を語った。

 

移転予定地「プレイノ」という街

トヨタが移転予定地のプレイノという街を少し見てみたい。「移転予定地はダラスの少し北部に位置し、今一番開発が進んでいるホットスポット。ダウンタウンまでも20分、
空港までも30分弱、また有料道路が走っているのでダラス市のなかで最も開発の余地がある立地が良い場所です」と松下さん。

このトヨタの移転地の「レガシー・パーク」呼ばれるエリアは、JCペニーの本社を囲んで今開発が急ピッチで進んでいる。空港まで直線で行ける121号のハイウェイが隣接しており、大きなモールも点在するなど商業施設も充実している。また米国で有名な投資家であるウォーレン・バフェットはこの地に目をつけ、『ネブラスカ・ファニチャー』という大規模な家具センターをつい最近オープンした。また、ハイウェイの反対側には大きなモールやIKEAなどがあり、フードサプライヤーの『シスコ』も点在している。
ダラス市の北部、またトヨタの移転地より少し南東寄りにある日本食レストラン「神戸ステーキ」のオーナーの小町さんは「発表があった時は、地元でも大きなニュースとして取り上げられて、この周辺に住む人たちの話題になっていました。レストランや小売業などを経営されている方にとっても大歓迎です」と喜びを語った。立地についても、「ちょうど主要な2つのハイウェイのインターチェンジのところで、アクセスはダウンタウン、ダラス・フォートワース空港からも良好でとても良いエリアです」。また、このハイウェイの幹線道路沿いには、まだ手付かずの土地があり、大な影響が予測される住宅建設などの余地もあるという。

 

テキサス州のビジネス的魅力とは?

テキサス州はフォーブス誌の「全米で最もビジネスの環境が最適な州」で7 位にランキング。また、Area Development Magazine Special Presentation(Q3/Summer 2013)の同じタイトルのランキングで昨年から連続で1位を獲得。その理由を次の3 つのポイントとして挙げている。

 

 

① ビジネスフレンドリーで手厚いインセンティブ

トヨタがカリフォルニア州からテキサス州に移転した理由のひとつとして言われているのが、税制の優遇措置が大きいと言われている。これは企業にとっても個人の生活面からしてもどの州にも負けないほどの強力なインセンティブになる。
※民間調査会社の調査によると2013年の生産拠点の新設・拡張などの投資件数はテキサス州が5789件でトップを獲得したという点から見ても、他州から移転したりする企業を受け入れる懐の大きさが窺える。リック・ペリー知事は企業誘致に最重要な要素として『税、規制、法的環境、優秀な労働力』の4つを挙げている。
テキサス州は所得税、法人税がゼロである。ビジネスにおいての法的環境が整っているということは、地域活性化の即効性が高いということになる。このような優遇措置がビジネスチャンスをぐんと大きく広げる仕組みになっている。そしてもう一つの理由と言われているのが、「Right to Work」と呼ばれる労働権法である。これは、従業員が労働組合員に組合の活動に参加することの義務を廃止する法律のこと。

また、工場や事務所などの移転、新規拡張の際に優遇される補助金政策に関しては、同州のTexas Enterprise Fund(TEF)が施行され、今まで5億ドルの投資に貢献しており、200億ドルの設備投資を補い、そして6万7000人の新規雇用を創り出してきた。そして、州のSkills Development Fund という補助金政策では適応された全企業に対して22万ドルの従業員トレーニングコストの削減に貢献している。( 資料:Area Development Magazine Special Presentation(Q3/Summer 2013)

 

 

② 物流、交通インフラが充実

地理的にも、テキサス州は全米の中心に位置し、輸送条件が非常に揃ったっていることから、他州と比べた際に、かなりの利点となっている。
テキサス州には、外国貨物取扱量で全米トップ、内国貨物を合わせた総貨物取扱量においても南ルイジアナ港に次いで全米2位のヒューストン港がある。高速道路や鉄道に関しても全米の中心地点として昔から重要視され、南米への中継地点としても多くの人や物資が流れている。

 


空路においては、ダラスには旅客運送数および旅客キロ数で世界一のアメリカン航空ハブ、ダラス・フォートワース(DFW)国際空港や、ラブフィールド空港がある。ラブフィールド空港は、国内最大手サウスウエスト航空の本拠地で、2014年10月に、全米他都市からの直行便を飛ばせるように規制を解除し、これにより、ビジネスマンなどの国内出張での利便性が増した。
また、ヒューストンは、ジョージ・ブッシュ・インターコンチネンタル(IAH)国際空港を有し、ユナイテッド航空の「ヒューストン──成田」直行便2便に増便により、日本とのアクセスがさらにスムーズになった。この背景としては、テキサス近隣州への乗り継ぎの他に、中南米へのゲートウェイとして、ビジネスの利用者が増加しているという現状がある。
この増便に伴い行われた就航記念式典で在ヒューストン総領事館の高岡総領事は、「ヒューストンはサンパウロ、リオデジャネイロ、ブエノスアイレス、ボゴタ、リマ、メキシコ各都市をはじめ『ラテン・アメリカ諸国』への窓口となります。また、成田へ向かう便が昼に成田に到着することで最終目的地であるアジア各都市への移動も便利になる」と語った。

ダラスの交通インフラは、「80年代以降に開発が進み、すべてがまだ日が浅い。ですから、ダラスの道路は広くて、どこもキレイなので安心です」と松下さん。都市圏人口が全米で上位を占める都市だが、ロサンゼルスなどに比べると渋滞も少ない。朝の6時半から8時半までと、夕方は4時過ぎから6時半頃までのラッシュアワー時のみが渋滞になるだけで、それ以外の時間帯の渋滞はほとんど心配ない。
ダラス──ヒューストン間を結ぶ、約240マイの高速鉄道計画も着々と進行している。

 

③ 堅調な経済 シェールガス革命の恩恵

テキサスの経済はこれから5年、年間4・2%の増加が見込まれている。エネルギーの盛況は様々な面で影響を与えており、テキサス州全体の経済の底上げに貢献している。エネルギー関連の企業による投資の伸びは落ち着くという見方もあるが、2017年後半から2018年に向けてLNGの輸出の始まりに伴い、また新たな投資機会が生まれると見られている。
州内総生産(GSP)は1兆3973億ドルでカリフォルニア州に次いで全米第2位をマークした。また人口、雇用数、製造業付加価値額、個人所得総額ともに全米2位(但し個人所得:3万9593ドル〈全米第26位〉)。製造業出荷額、輸出額はそれぞれ全米第1位を誇る。テキサス州は米国の東西の中心に位置し、綿花や石油エネルギーの輸出拠点として栄えてきた。そのため、陸・海・空の輸送体系が整備されているといった点が輸出額の全米第1位の理由として大きい。
メキシコ湾に面するヒューストン港では、「シップ・チャネル」という運河沿いに多くの石油会社が精油所を置き、様々なエネルギー関連事業が展開されている。
GSPを多く占めるのは同州の経済を支える中核となる金融・保険・不動産業(15・3%)そしてわずかな差で驚異的な急成長を遂げている製造業(15・1%)がこの後を追う。これはシェール開発による電力コストの下落などを背景に製造業が急成長しているということがあり、今や全米の石油生産量の4分の1、天然ガス生産量の3分の1、石油精製能力の4分の1を占めるほどの全米最大規模の資源を持つ州となった。

 

『エナジーキャピタル』の
ヒューストン―日系企業との関わり―

 

ジェトロ・ヒューストン所長の中溝氏によれば「テキサス州は他州に比べると堅調だと思います」と語った。
水平掘削や水圧破砕といった技術発達により、掘削が可能となったシェールガスが、近年のヒューストン経済を牽引する原動力となっている。テキサス州にあるシェールガス層のうち、現在最も活発なのがメキシコ湾岸にある「イーグルフォード・シェール」と呼ばれる層。ドライガス、ウェットガス、原油、エタン、プロパンなどの天然ガス液(NGL)といった豊富な資源が埋蔵されている。ここには三井物産、丸紅、日揮、東京ガス、大阪ガスなど石油資源開発に大手日系企業がシェール・オイル・ガスの開発プロジェクトの取り組みに参画している。
掘削技術でも日系企業の技術力が大きな力となって支えている。
さらに新日鐵住金は2012年に米国WSPヒューストンOCTG 社の油井管の熱処理・継手加工などの工場設備を4300億ドルで買収した。三菱コンプレッサーは販売会社をヒューストンに設立し、兼松とJFEスチールは油井管加工の工場をイーグルフォードの近郊に新設。さらに生産規模の拡大を目指す。
また「シェールガス」を液化天然ガス(LNG)に加工して輸入するプロジェクトにおいて、13年の5月、中部電力と大阪ガスが共同出資する子会社に日本企業初の認可が下り、2018年からフリーポートでの輸出が開始される予定となっている。
エネルギー関連企業はこれまで東海岸に本社を構える傾向が強かったが、このエネルギー事業の移り変わりがスピーディなビジネスの動向に対応できるようにテキサス州に移すといった動きが見られるという。日系企業の視界は中南米まで広がっているのが当たり前になった今、米国の主要都市と中南米が同時に見られるテキサス州は多方面で好都合な場所でもある。

 

★ テキサスの不動産 ── ダラス──

テキサスは全体的に( ※1) 一戸建てのセールスは11%の伸び率だった。2012年に比べ2013 年の中央住宅価格は9%上昇した。トヨタの移転先となったダラスは住宅価格が比較的安定していて、生活の利便性が高い。教育レベルも高く、特にトヨタの予定地エリアのプレイノ(Plano) は学校区が良くて物件が安い地区として人気が高い。30 万ドル前後で2000 スクエアフィートの一戸建てが購入できるという。「このエリアは大変人気が高いのですが在庫が少ない。物件を見つけるのが難しいですね」松下社長。
プレイノ以外だとコペル(Copell)、アレン(Allen)、フリスコ(Frisco)、キャロルトン(Carrollton)などが学校区から見て人気のエリアとなっている。また、このような人気のエリアは、1992 年ぐらいから建った家が多く比較的新しい。学校区が良い、価格も手頃という良い条件が揃っている。
ダウンタウンに近いハイランドパークなども学校が良いという評判だが、一戸建てなどは安くて50 万ドル以上、並外れた豪邸が見られるような高級住宅エリアとなっている。代表的な3つの住居形態があり、特に最近人気なのがレジデンスの「中層階アパートメント」。3~ 4階建てのビルでガレージと部屋が繋がっているタイプ。ガレージも部屋と同じフロアにあり、ガレージから直接ドアにいけるというユニークさと便利さが幅広い層に受けいれられている。
次に、木造で3~ 4階建ての部屋のドアまで続く外階段がある集合中宅「ガーデンスタイル」。家賃はA クラスだと1ベッドルーム700 ドル、ガレージがあると1500 ドル程度。3 つ目が高層ビル。主にダウンタウンなどに多くあり、郊外でもワンベッドルーム1,500 ドルと少し割高になっている。ファミリーが住めるような3~ 4ベッドルームもあるが物件は少なく、単身とカップルの住民が比較的多いという。

※1Source: The Real Estate Centerat Texas A&M University 2013

トヨタ新社屋完成後の2016 年後半から2017 年初頭にかけて、大部分の従業員が異動し、早くても今年の夏には一部が異動を開始するという。今回のトヨタの移転はダラスにとっても大きな転機となる。自動車部品や機械など関連会社の拡張や移転なども考えられ、それに伴い日本から新しく進出する日系企業も増える。この先10 年で約72 億ドルの経済効果が期待されるとささやかれており、ダラスがどのように成長都市へと発展していくのか、今後も目が離せない。
※ BLS current population survey (CPS) 2014 年9 月現在

取材協力:松下不動産 代表 松下昌子  http://matsushitarealty.com

 

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