Home > CATEGORIES > Financial > 米国金融事情 82 米銀の育休制度と中途採用

米銀の育休制度と中途採用

育休制度のような福利厚生が進んでいると思われている米国ですが、実際には、企業に対して有給の産休・育休制度を法令で義務付けていない先進国では唯一の国となっています。
そうした中で、米国の大銀行では、自主的に育休・産休制度を充実させる動きが目立つようになってきています。例えば、JPMチェースは有給での育休・産休を12週間から16週間に延長することを今年1月に発表し、バンカメでは、今年4/4から有給での育休・産休を12週間から16週間に延長し、ウェルズファーゴも主たる育児者は6月から有給での育休を16週間とすることが明らかとなりました。ただし、銀行に限らず大企業においては、産休・育休について寛大になりつつありますが、実際には男性が育休を取得するケースはアメリカでもまだそれほど多くはないようです。


ミッドキャリア(中間管理職クラス)の女性を狙った人事政策はそれだけではありません。バークレイズ銀行ではNY拠点において、アンコールと称した中途採用システムを導入すると発表しました。この制度では、バイスプレジデント(課長)クラスまで金融分野で活躍したプロフェッショナルで、出産等の理由で1年間以上仕事から離れた人が対象になります。同様の制度はゴールドマンサックスやJPMチェースにもあります。労働市場がひっ迫し、特に優秀なバンカーが不足していることが背景にあります。特に女性の場合、アメリカでも30%以上の人が出産や介護などでキャリアをあきらめざるを得ない状況にあります。


しかしながら、中にはトップクラスのMBAを卒業した優秀な元バンカーも少なくなく、そうした人材を獲得したい、というのがこれら金融機関の狙いとなっています。
また、野望を抱えた新卒者よりも、扶養家族を抱えた中途採用者の方が、同じ優秀な人材でも銀行への定着率も高いようです。もちろん、派遣やパートで採用するのではなく、それなりのポジションの正社員です。米国では男性側が家事や育児のためにキャリアをあきらめる例も珍しくはなく、そうした場合もこれら制度の対象になり、バークレイズの場合は応募者の4割近くは男性、ということです。

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