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Home > Featured > 【在米日系企業のための組織・人事マネジメント第1回 】
第1回 日本本社の人事制度は米国で使えるか?

今回から本連載を執筆することになりました。在米日系企業のトップマネジメントの皆様、人事部門を管轄される皆様にとって参考となる組織・人事マネジメントのアイデアをお伝えします。

さて、在米日系企業の皆様から、「日本の本社の人事制度は米国でも使えるのでしょうか?」という質問を受けますが、いつも「多くは使えませんが、一部は使えますし、また必ず使うべきものもあります」とお答えしています。

典型的な日本の雇用慣行は長期雇用を前提とし、新卒採用が中心です。人事等級は全社共通の職能資格制度に基づき、育成は職務ローテーションによる長期的なゼネラリスト育成が基本です。昇進は同期管理を重視し、目立った抜擢を避ける傾向にあります。報酬の基本給カーブは30代半ばくらいまでは緩やかに上がってゆきます。

一方、米国の雇用慣行は即戦力雇用を前提とし、中途採用が中心です。人事等級は職務等級制度に基づき、各分野でのスペシャリスト育成が基本です。昇進は業績に基づく抜擢も存在し、社内で昇進機会がなければ外部での機会を求めます。報酬の決定は市場レベルを重視し、業績に基づく昇進機会によって大きな昇給の可能性もありますが、逆に業績が振るわなければ解雇もありえます。

このように、採用、等級(グレード)、報酬、昇進については、典型的な日本の人事制度を米国で適用することは困難であり、米国現地法人独自の人事戦略・制度構築が必要となります。

ただ一部に利用できる制度もあります。日本の評価制度では「目標による管理」が普及しており、その評価プロセスと評価ノウハウは米国でも利用できます。ただし日本では評価項目の能力部分として潜在能力が利用されるケースが多い一方で、米国では継続的な発揮能力である「コンピテンシー」が利用されており、その部分は米国現地法人で独自の構築が必要となります。

また、日本の人事制度を米国現地法人でも利用すべきものとしては、経営理念、ビジョン、戦略、長年培ってきたノウハウを伝承する研修プログラムです。このようなプログラムを米国現地法人で実施する際に重要な役割を果たすのが日本からの派遣駐在員であり、人事を管轄する駐在員が最も力を入れるべき仕事のひとつでしょう。

 


中尾 和伸
中尾国際人事コンサルティング
オーナー/国際人事コンサルタント

関西学院大学社会学部卒、ピッツバーグ大学経営大学院にてMBA取得。関西経営者協会(現・関西経済連合会)、デロイト・トウシュ・トーマツ等勤務を経て現職。米国、日本を中心に国際環境下での組織・人事コンサルティングを提供。

連絡先:201-947-3651
knakao@nakao-ihr.com

 

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