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第3回 日米の報酬格差にいかに対応するべきか

在米日系企業のための組織・人事マネジメント
第3回 日米の報酬格差にいかに対応するべきか

私は国際人事問題の調査・研究を目的として世界各国に滞在することがあります。

ヨーロッパに滞在した際、例えば、チェコでは「遅くまで働いている人が高く評価されることがある」と耳にし、ドイツでは「会社に忠誠心を尽くす人が高く評価されることがある」とも聞き、ヨーロッパ諸国の労働慣行はいささか日本的な部分もあると感じたしだいです。

前置きはともかく、皆さんは社会における所得格差の指標を表す「ジニ係数」という言葉をお聞きになったことがおありかと思います。このジニ係数を使って先進各国内の所得格差を比較してみると、一国における所得格差が最も大きいグループがアメリカ・イギリス、それに続くグループがオーストラリア・カナダ、所得格差がやや少ないグループが日本・ドイツ・フランス、最も少ないグループが北欧諸国となっています。

このようにアメリカと日本、それぞれの国における所得格差を比べると相当な差があり、特に両国間の所得差が最も大きいポジションがエグゼクティブ・クラスです。在米日系企業のトップマネジメントや人事担当役員の方々にとって、ローカル採用のエグゼクティブの報酬水準をどのレベルに設定すべきかについては重要な課題のひとつでしょう。

当方にも在米日系企業の皆様からエグゼクティブ報酬レベルの市場ベンチマークと報酬設計のご依頼をいただきますが、実際に市場ベンチマークを実施して結果を提出すると驚かれます。米国現地法人の社長のベンチマーク報酬水準が、日本本社の社長の報酬水準を大きく上回るケースが出てくるからです。

このベンチマーク水準をそのままローカル採用のエグゼクティブ報酬に適用することは、日本本社にとって受け入れがたいことでもあり、このような問題を防ぐため、日本の一部のグローバル企業では役員報酬水準自体の引き上げを行なっている会社があります。しかし大抵の場合、日本本社の役員報酬は現状維持で、米国現地法人のエグゼクティブの報酬はそれ以下の水準になるように設計されます。

その場合は、米国現地法人を「日本本社や米国ホールディング会社に対する事業部門」に見立てるなど、論理的で納得のいく報酬ベンチマークの方法論を策定する必要があります。いずれにせよ、エグゼクティブ報酬は専門の人事コンサルタントとともに設計されることをお勧めします。

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中尾 和伸
中尾国際人事コンサルティング
オーナー/国際人事コンサルタント

関西学院大学社会学部卒、ピッツバーグ大学経営大学院にてMBA取得。関西経営者協会(現・関西経済連合会)、デロイト・トウシュ・トーマツ等勤務を経て現職。米国、日本を中心に国際環境下での組織・人事コンサルティングを提供。

連絡先: 201-947-3651
knakao@nakao-ihr.com