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島精機USA 中谷 誠一 氏

アパレル業界の“サスティナビリティ”を支える
島精機USA 中谷 誠一 氏

アパレル業界の“サスティナビリティ”を支える技術で、サプライチェーン改革を

島精機USA 社長 中谷 誠一 氏

海外で仕事をしたいという想いで、世界的に有名な横編機メーカーである㈱島精機製作所に入社した中谷氏。念願叶って米国法人、島精機USAの社長に就任したのは三年前になる。米国赴任前は、南米ブラジルとペルーを日本から統括していた。米国ではショールームとサンプル製作施設を併設したニュージャージー本社、ビジネス・デベロップメント拠点としてマンハッタンとロサンゼルスにあるデザインセンターを統括している。

同社の横編機から編み出されるニットはWHOLEGARMENT®ニットと呼ばれ、ニットが一着丸ごと立体的に編み機から編み上がることで、アパレル業界で世界的に注目されており、創業以来横編機メーカーとしてその技術を更新し続けている。「弊社の横編機と3Dデザインシステムを使えば、アパレル製造におけるあらゆる時間とコストを削減できます。今まで縫製が不可能だったデザインでもニットメーカーさんやデザイナーさんの要望に応えられる技術を提案・提供しています。デリケートな天然素材、リサイクル合成繊維、スチール、耐熱素材や熱融着繊維などの新素材にも対応可能です」。

近年のアパレル業界関係者が最も意識することのひとつは“サスティナビリティ”であると中谷氏は話す。動物や環境保全、チャイルドレイバーの保護、産地やどのように作られた製品であるかがキーワードになっており、同社のWHOLEGARMENT®ニットが、そのブランディングの一役を担っている。「WHOLEGARMENT®ニットは裁断や縫製が不要なので、従来の労働集約型から脱却して消費地生産が可能です。使用する糸も最小限に抑えられ、サスティナビリティ意識の高いブランドも弊社の編み機を導入しています」。

アパレル業界、ひいてはテキスタイル業界のサプライチェーン改革をもたらす同社が目指すのは、アパレル生産者と消費者とのミスマッチ解消である。従来型の生産体制から生じる大量在庫→セール販売からの脱却を進めれば、生産者は消費者が求めるものを無駄なく提供できる。また、横編機の技術はアパレル業界のみならず、自動車、航空、医療業界での応用が進み、各業界の未知の可能性を下支えする技術を広めるべく日々奔走している。

http://shimaseikiusa.com/

「企業概況ニュース」2018年1月号掲載