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アメリカ人のための食堂を作っていきたい《W & E ホスピタリティ・インク》

オースティンであっさり博多ラーメンを展開

W & E ホスピタリティ・インク
社長 若山 大木 氏

母方の祖父が福岡で立ち上げた株式会社ウエストの子会社として、1983年のニューヨークでW&Eホスピタリティ・インク(イースト・グループ)の歴史は始まった。当時の日本食といえば高級志向の店しかなく、アメリカ人にもっと手軽に日本食を食べてもらいたいと、お寿司や天ぷら、照り焼きなどを手頃な価格で提供する総合和食店イーストが開店した。

時代と共に形を変え、現在は系列店舗を含む15店がその意思を継いでいる。イーストという名前が店名に残るのは回転寿司イーストの2店舗のみだが、W&Eホスピタリティでは、こうした各店舗とマネジメント契約を結び、許認可関係、経理、メニュー作成、メンテナンス、コンサルなど、経営面をしっかりとサポートする。

若山さんは福岡で生まれ、1歳から18歳までニューヨークで育った。日本に戻り慶應大学で学び、卒業後はバークレーズ証券に2年、ゴールドマンサックス2年と金融の道を歩んだ。変化のない仕事内容に焦りを感じた頃、リーマショックに見舞われる。そして、その後も金融業界に残る意志は、若山さんになかった。

大学生の時に、日本にある焼き鳥屋のバンクーバー店立ち上げに関わったことがある。海外での物件選びから経営まで、内容の濃い半年間を過ごした。こうした経験も手伝い、飲食に関わる仕事に就きたいと思った。飲食業界に行くならウエストで働けと祖父に言われ、高田馬場にあるうどん居酒屋を皮切りに、千葉の蕎麦屋、佐倉の新店舗など、系列店で店舗経営のノウハウを学んだ。

2012年7月に渡米の辞令が下りニューヨークへ渡ると、赤字店を閉め、各店舗の配置替えを行い、新店舗をオープンさせるなど、考え得る戦略を一つずつ実行した。「目標は全米展開です。父が35年前に想い描いたコンセプト通り、20ドルで100ドル分の価値を出せる店作り───アメリカ人のための食堂を作っていきたいと思っています」。

手始めとして狙いを定めたのがテキサス州オースティンだ。女性客をターゲットにあっさり味の博多とんこつラーメンを展開していく。白を基調とした清潔感溢れる空間で、流行りに敏感な若者やIT関連企業で働く人々の感性を刺激する。「ここでしっかりと一つのブランドを確立し、ヒューストンやダラス、サンアントニオへと広げていくプランを描いています」。

最重要ポイントは、現地のチームをしっかりと作ること。「日本人が少ないエリアということもありますが、これからは、アメリカ人の感覚を活かし、どう育てていくかが肝心です。ターゲットはアメリカ人です。そこを取り込んでいくには、日本人を使わない飲食店作りがキーワードになってくるはずです」と若山さんは睨む。

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全盛期には33店舗あったイーストグループ。「父が築いてきた地盤を守るプレッシャーがない訳ではありませんが、まずは自分の直感を信じてその壁を越えていくつもりです。想いの根底にあるのは、全米に正しい和食を広めていきたいということです」。若山さんの真っ直ぐな想いを胸に、W&Eホスピタリティの歴史に新しい1ページが刻まれる。