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楽譜を読み込んで映像化することの大切さ《釣 アンナ恵都子さん》

世界で活躍するオペラ演出家

オペラ演出家&照明デザイン 釣 アンナ恵都子 氏

ドイツやオーストリアの音楽大学でオペラ演出を学び、ウィーン国立歌劇場やメトロポリタン歌劇場などで研修生として勤め、現在自身の劇団を立ち上げオペラ演出家として世界で活躍する釣アンナ恵都子さん。

「音を聴くと頭に映像が浮かんでくる」という彼女は、幼い頃から指揮をする機会があり、その度に自分の中に浮かんでいるイメージを他の人に伝えてもわかってもらえないことを感じていた。

そんな彼女が初めて観たオペラで、音楽から自分の頭に浮かぶ映像と舞台の演出の違いに「これは自分がやらねば!」と感じた。その後オペラ演出学科がある音大がドイツにあることを知った。

彼女は日本で音大を卒業後、全く知り合いもいない中、学校を探す旅を計画。たまたま訪ねたベルリンにある国立音大の教授に気に入られ、面接を重ねるうちに「ゲストスチューデントという枠を設けておくからこの大学に来なさい」と誘われ、その音大を受験することを決意。しかしその後、入学した音大がモダン演出の第一線を行く学校だとわかり、楽譜に忠実に演出をする釣さんは感受性の違いから、その教授のもとを去り、様々な劇場で研修生として経験を積むこととなる。

その後ウイーン国立音楽大学のオペラ演出学科を卒業したのち、メトロポリタン歌劇場での研修生が決まり、ヨーロッパからアメリカに移ることを決めた釣さんだったが、オペラの本場であるヨーロッパから離れることにすごく悩んだという。そんな時、その当時スタッフとして働いていたウイーン国立歌劇場の上司から「一度外に出て、君の演出を持ってまた戻っておいでよ」という言葉に背中を押され、一度ヨーロッパを離れることを決めた。

ドイツでは今、舞台の設定を大きく変えてしまう読み替え演出という手法が多く使われている。舞台の設定を大きく変えてしまうこの演出方法は、オペラの一部のファンには人気があれど、ストーリーの理解を複雑にするためオペラ離れの一因になり得ると考える釣さんは、現代の感覚に添いつつも音楽を大切にする演出をすることで離れていってしまった客層を戻すことも一つの使命のように感じている。

常に今やっていること一つ一つに全力を注ぐ彼女。音楽を大事にするというコンセプトで舞台を創るのと同時に、体験型のオペラなどの新しいオペラの形にも挑戦、発表していく活動が、よりたくさんの人にオペラの良さを知ってもらえるきっかけになれば嬉しい、と夢を語る彼女の目はとても輝いていた。