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ミレニアル世代に人気の都市

米国経済の中心的存在が注目するエリアの魅力とは

ミレニアル世代はおよそ18歳から34歳の若者層を指す。*2016年にはベイビーブーマー世代の7,490万人を超えて米国で最も数が多い7,540万人という大規模な世代となった。移民の数もこれに加え、今後もますます増えると予測されており、2028年には8,000万人を超えると言われている。経済的・社会面でこれからの米国経済の影響がある中心的存在となり、彼らの生き方や動向は、あらゆる分野において注目すべきセクターである。このミレニアル世代が選んだ米国のそれぞれの都市にはどのような魅力があるのかを詳しく見ていきたい。*PEW RESEARCH CENER

ランキング&レビューサイトのniche.comのミレニアル世代が選ぶ10ベストシティ(2017)が発表された。10位がジョージア州のサンディスプリングス、9位がカリフォルニア州のサニーベール、8位はカリフォルニア州のバークレー、7位がミシガン州のアナーバー、6位がワシントン州のシアトル、5位がミネソタ州のミネアポリス、4位がヴァージニア州のアレクサンドリア、3位がカリフォルニア州のサンフランシスコ、2位がマサチューセッツ州のケンブリッジ、1位がヴァージニア州のアーリントンという結果だった。

経済成長が高く人気急上昇のサンディスプリングス

10位にランクインしたジョージア州のサンディスプリングス。同市は北アトランタから14マイルと立地も良く、アトランタ・メトロエリアの中では2番目に大きな都市である。科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Math)といったSTEM分野における2016年の雇用率が全米9位。また、国内で最も安全な街のベスト10入りもしており、幅広い世代からも人気が高く、住みたい都市のランキングで常に上位にランクインしている。STEM分野の雇用率が高いことからもわかるように、専門職に就いている人が多く、世帯収入平均も高い。住民が働く最も多い業種はリテールトレード、ヘルスケア&ソーシャルアシスタント、エデュケーション・サービスと続く。また、テクノロジー関連の企業の成長も大きく貢献している。フォーブスの「Fortune 500 company」にランキングされているFirst Data, Veritiv, Pulte Group, Newell Brands などや、IBM, Cox Enterprises, Cisco System, UPS, Oracleなど大きな企業が点在しており、同都市の経済の重要な支柱となっている。また、メルセデスベンツの本社の移転が決定したことも、同都市の経済成長と人気上昇に大きな影響を与えている。また、**世帯平均収入は6万219ドル(全米平均:5万9,039ドル)と高い。**25歳~34歳までの人口が1万9,216人と、ジョージア州でトップ。アトランタの郊外だが、ダウンタウンまではアクセスが良く、シングル向けやヤングカップル向けの賃貸住宅も多い。ミレニアル世代のニーズに適した環境が整っている点が人気都市の背景となっている。
**Source: Census Bureau

近年の経済発展がみられるミネアポリス

ランキング5位のミネアポリスが核となる、ミネソタ州のミネアポリス・セントポール-ブルーミントンメトロエリアは、人口の多さでは米国内で第16位と、大きな都市圏のひとつである。さらに人口は、2015年の時点で352万人(シカゴ:270万人)を超え、前年比で0.8%の増加、2010年からは6%の増加率と急成長している。世帯平均収入は7万1,008ドル、前年比は7.4%増だった。ミネアポリスには「Fortune 500 company」の上位にランクインしているTarget, U.S. Bancorp, Xcel Energy, Ameriprise Financialの本社があり、これらの企業はミネアポリスの経済発展に大きな貢献をしている。特に医療器具の分野では北米でもトップの生産高で、ミネアポリスの郊外などの周辺にある関連企業は600社以上、ベンチャー企業も多く点在する。最先端の医療設備を誇るメイヨークリニック、ミネソタ医療センターがあり、医療機器最大手メーカーのメドトロニック社もある。IT業界の成長も見られ、Minnesota Department of Employment and Economic Development (MN DEED)によると、2010年までに1万6,000のテクノロジー分野の雇用が増えると推測しており、同分野においては、全米で最も成長が期待される都市として挙げられている。特に「ツインシティ」と呼ばれているミネアポリスとセントポールの周辺エリア、ブルーミントンには、多分野のIT企業のThe Nerdery, SPS Commerce, Medtronicなどがあることから、今後はさらにIT分野の急成長が期待されるエリアである。デジタル世代と言われるミレニアル世代のキャリアスタートには相応しい都市といえる。

ミレニアル世代のニーズを満たすワシントンDCエリア

1位のヴァージニア州のアーリントンは、米国で最もリッチなアーリントン郡に属する。ペンタゴンやアーリントン墓地があることでも有名だ。4位のアレクサンドリアとともにワシントンDCに隣接しており、ワシントン首都圏の中心的都市。フォーブスの最も裕福な都市ランキングの8位にも選ばれ、同誌の若い起業家が選ぶベストシティでも1位に選ばれている。*このエリアは24歳から44歳のミレニアル世代を中心とした人口の増加が著しく、2010年から10%の増加率だった。**ワシントンDCエリアのミレニアル世代の人口は全体の22%を占めており、ここ数年に渡り同率をキープしている。

アメリカンユニバーシティの「The Kogod Greater Washington Millennial Index」のレポートによると、ミレニアル世代が生活上で求める価値は<仕事の能力><給料レベル><住宅コスト><犯罪率><通勤>と挙げている。ワシントンDC圏において「ミレニアル世代のニーズに満たしているか?」という質問で作成された同インデックスのスコアは126%で米国全体の100%より26%も上回っていることから、同エリアでのミレニアル世代の生活の満足度が高いことがわかる。

ワシントンDCエリアの平均年間収入は一人あたり6万5,910ドルで、米国全体の20%も高く、この収入の高さはサンフランシスコ(6万6,900ドル)に次いで2位。世帯平均収入は全米平均のおおよそ2倍の10万5,763ドル(2015年)だった。ミレニアル世代のリロケーションの決定条件において、「収入が非常に重要」と回答した人が43%と高かったことから、収入と生活拠点は切っても切り離せない関係だということがわかる。このエリアの職業別の雇用数はプロフェッショナル&ビジネスサービスが633.6件と最も高く、次に多いのが政府関係で594.3件、貿易・輸送、公共事業が335.5件、教育・ヘルスサービスが351.4件と続く。最も前年比の増加率が高かったのが、教育・ヘルスサービスの5.4%、その次がレジャー・ホスピタリティが4.6%だった。
*Source: U.S. Bureau of Labor Statistics

ミレニアル世代は田舎より都会を好む傾向

ミレニアル世代が好む都市のランキングからもわかるように、都市圏を好む傾向が高い。サンディスプリングスなどの郊外でもダウンタウンの中心部まで近く、車で30分以内というアクセスが良く、通勤も楽な立地である。休日や仕事を終えた後の時間を楽しむことに価値を重んじるミレニアル世代にとっては、エンターテインメントや食事などができる楽しいエリアや通勤が楽な都市部へのアクセスが良いという条件は居住区を決定するのには優先順位の高い条件となる。Urban Land Instituteのリサーチ結果では、2010年から2015年までの間にこの世代の都市圏への転入率は16%と高かった。全体的に都市の中心に住む人が多く、田舎や郊外に住む人は少ない傾向にあることがわかった。(表2)

変わる居住形態の傾向は?

ミレニアル世代は全体的に家を購入するより賃貸に住んでいる傾向が高く、他の年齢層のグループに比べて最も持ち家の所有率が下落している。ワシントンDC近郊では、新築やリノベーションの居住ビルの9割が賃貸だという。ミレニアル世代に人気のエリアで購入よりも賃貸を好むミレニアル世代が住むのに適した条件が満たされているのも興味深い。アパートメントのトレンドもコンパクト化が進んでおり、若者の一人暮らしやルームシェアの需要に対応している傾向がみられる。

ミレニアル世代は、より給料の高い、またベネフィットが充実している仕事を好み、数年で転職やキャリアチェンジをしたり、仕事場によって躊躇することなくリロケーションする軽いフットワークさ、さらに時代や景気の流れを敏感に読み取って生活拠点を変えるフレキシブルなマインドを持っている。この世代の好む都市の変動は今後も大きな変化が見られるかもしれないが、経済成長が高い、活気溢れる都市の情報に敏感であり、見極める力も持っていることは確かであることから、今後もミレニアル世代の動向は注目すべきところだ。

《企業概況ニュース2017年11月号掲載》

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