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執行役員 土屋英尚氏 

オリンパス・コーポレーション・オブ・ジ・アメリカズ
執行役員 土屋英尚氏 

オリンパス 執行役員 土屋英尚氏 
Top Interview世界をリードする米国医療業界で
世界をリードするオリンパスの内視鏡技術
企業概況ニュース 2015年9月号掲載
オリンパス・コーポレーション・オブ・ジ・アメリカズ 執行役員 土屋英尚氏

かつて不治の病と考えられてきた「がん」。しかし医療の進歩とともに、現在では約6割の患者が完治できる と言われるようになった。早期発見で治る可能性が高まるがん治療に、大いに貢献しているのが内視鏡技術だろう。その歴史は古く、1800年台には内視鏡を意味するエンドスコープという言葉が生まれている。そして長年の研究を重ね、ついに世界ではじめて実用化させたのが、日本メーカーであるオリンパスだ。

内視鏡の先駆けとなる同社では、今でも消化器内視鏡の世界シェアで7割近くを維持し続ける。この4月には 従来の生産工場に加え新たに外科用使い捨てタイプ専用の工場も構え、ミネアポリス内の2拠点で生産を担う。その他全米に20拠点以上を持ち、全世界で売上の3割強を占める米国が同社にとって大きな市場であることが 伺える。

強みは世界中に持つ広いドクターネットワークと、内視鏡総合メーカーとしての利便性だ。実際に使用するドクターからの意見を製品に忠実に反映できるかどうかは、ドクターの腕をも左右する重要なキーとなる。より多くのオピニオンド クターから確かな意見を吸い取ることが大切 だ。また、処置具や洗 浄液など一連の内視鏡関連製品まで提供できる総合メーカーとして の利便性は、万が一内 視鏡に故障などが発生した際に医療従事者にとって大きな利点となる。そしてもうひと つ、ドクターがオリンパスを選ぶ理由はサンノゼに構える修理センターも一因している。500人近い体制で修 理に備える同センターでは、2日以内ですべ ての修理を終わらせる ことが可能だ。患者の命を預かるドクターにとって、このスピード性は無視できない問題 となる。

「次の目標は南米の市場開拓です。北米・カナダの現状を維持しつつ、今後5年から10 年、 成長が見込まれる南米 市場をもっと積極的に広げていきたいですね。 医療事業は人口に比例しますから、人口が増加傾向にある南米はビジネスチャンスが期待できます。」そう語る土屋氏は今回が二度目の米国駐在だ。一度目の赴任当時ニューヨーク州にあった本社が、広大なセンターバレー( P A 州)新社屋に移動したのは2007年 のこと。今では広々とした快適なオフィスに1000人近い従業員が通う。近くにある全米有数の優秀校であるリーハイ大学出身の人材が確保できる点や、治安がよく生活環境が優れていることもあり、 この土地に本社を構えたことは利点が多いと土屋氏は言う。

内視鏡ビジネスを柱とし、その他の事業分野であるカメラやレコーダー、顕微鏡などでもオリンパスならではの技術で差別化を狙う同社は、米国内での確固たる存在感を築いてきた。そして活躍の場を与えてくれた米国に対し社会貢献という形で恩返しを行い、一 昨年(末)スミソニアン博物館に顕微鏡を200台ほど寄贈した。「スミソニアンに送られた顕微鏡は、展示されている標本を見る際に役立つものになります。我々は企業フィロソフィーとしてこれらの活動を『Social IN』と呼んでいます。事業だけでなく、今後は社会貢献も積極的にやっていきたいと思っていま す。」

社名の由来ともなっ た「オリンパス山」にはギリシャ神話の神々が住むと言われている。 高天原の光が世界を照らすよう、オリンパス製品が世界に行き渡るように、という創業時の熱い思いは間違いなく果たせたようだ。