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変貌を遂げる保険業界

企業の再編、合併統合の動きに迫る

日本国内生保業界では、大企業による再編や合併統合、そして北米への進出が相次いでいる。
2015年になり、2月には第一生命保険が米プロテクティブ生命を子会社化し、明治安田生命
保険も7月、米スタンコープ・ファイナンシャル・グループを買収すると発表した。海外に目を
向けた大手保険会社の経営統合はさらなる規模や収益の拡大の実現に向かって改革を進めてい
る。こうした複雑化した保険業界の動きを追いながら、改革をすすめる背景やそれぞれの企業の
模索を分析する。

日本の保険会社がグローバル化する背景とは
世界最大の米国市場への参入

少子高齢化による国内市場の縮小化、金融危機による損失、医療技術の進歩、差し迫るTPP政策という背景から、日本の保険会社は海外に目を向けている。 グローバル化は保険業界の最大のテーマとなりつつある。そのグローバル化を実現するのに欠かせない選択として米国企業の経営構造やノウハウを取り入れること、そして海外ネットワークの骨組みをしっかりとすることで、グループとしての経営管理機能をより一層強化することに注力している傾向が目立ってきた。日本国内の損保保険においては、これまでは大手6 社が業界を牽引してきたのが、今は3メガグループと業界地図は激変している。近年では、世界最大の保険市場である米国企業との買収が著しく、ファイナンシャルの基盤を固めてきた日本の企業は、米国市場の魅力に一斉に飛びついた。今後も人口増加や経済成長が見込める米国は収益拡大を図るには格好の市場である。近年の日本の保険会社による海外事業拡大の躍進はめざましいものがあるが、東京海上ホールディングスは、いち早く海外に目を向けた企業のひとつで、業界が大きく揺れるほど目立った動きがあったのは、2007年に遡る。

当時ミレアホールディングスの子会社だった東京海上日動火災保険を通じ、英国ロイズを中心にグローバ
ルに保険事業を展開する保険グループキルン社を買収すると発表した。当時、世界を代表する保険市場であるロイズを中心にグローバル展開していた保険グループ「キルン社」の買収は当時の保険市場を大きく揺るがした。その後、2 0 0 8年に東京海上ホールディングスとして生まれ代わり、米国フィラデルフィア・コンソリデイティッドを買収、2011年には米国デルファイ・フィナンシャル・グループを買収。そして2 0 1 5 年に、9413億円でHCCインシュアランス・ホールディングス社の買収に至った。一方、第一生命も2014年の6月に米国のプロテクティブ社の買収による完全小会社化を発表した。プロテクティブ社は本買収のために設立された第一生命の米国における100%子会社と合併し、合併後は存続会社となった。

第一生命はグループの一社となったプロテクティブ社が持つグローバル経営のノウハウをおおいに活用しながら、さらに北米市場の成長プラットフォームとしてグループ利益への貢献を目指すとしている。その後、北米とアジア・パシフィック地域の統括機能をそれぞれ設置することを2015年の1月に発表。グループ経営の強化を目的として地域統括会社を設置することでさらに経営管理の強化を狙った施策だった。第一生命が再編の動きを見せたのは2010年。国内市場の縮小に備えた対応として相互会社から株式会社化、また、豪タワー・オーストラリア・グループの買収により、さらなる大規模な企業買収や海外の保険会社の買収による海外市場への進出を狙ったものだと囁かれていた。2010年のこうした再編の動きは5年後の米国企業の買収を見据えた施策だったことが分かる。さらに、2015年10月、第一生命は、子会社化したプロテクティブ社を通じ、米生保のジェンワース社の一部事業を買収することを発表。さらに北米事業拡大の基盤を固めている。

2015年8月、住友生命のシメトラ社の買収は約4666億円(約37億3200万ドル)と多額で大きな話題となった。買収背景は、中国、ベトナム、インドネシアの既存投資先に対して、商品開発、販売
チャネル、IT、リスク管理等の技術援助に取り組んでいるというアジア保険事業の経験を活かして、世界の保険料収入の約2割を占める世界最大の生命保険市場である米国の進出の本格化を目指すこ
とだとしている。シメトラ社は、ワシントン州のベルニューに本社を持つ170万人の顧客を抱える中堅生保の会社で、生保、年金保険、医療保険など多角的な事業ポートフォリオに基づいた安定した収益性がある。
収益基盤の多様化、海外事業からの収益規模の拡大が図れることを目的とした買収となった。その直後、明治安田生命が6246億円で第一生命を抜いた買収金額を発表した。

新興国市場、アジアへ視野を拡大

損保のメガグループのひとつである東京海上ホールディングスは、2011年にインドで生保保険会社を設立した。MS&ADインシュアランスグループは2010年に中国の信泰人寿保険、マレーシアのホンレオン、その翌年にはインドネシアのシナールマス保険、2012年には同じくインドネシアのマックス・ニューヨーク保険へ投資を行っている。NKSJホールディングスは、2010年にシンガポールのテネットを買収し、翌年にマレーシアのBSIの26% の株式を取得した。中国は自家用車の所持率が急激に高まりつつあり、自動車保険の開拓の余地が大いにある市場として大手企業は現地の企業との合併や拠点を新設するなどの市場開拓を展開している。生保でもシンガポールやマレーシア、ベトナムなど東南アジアの戦略はすでに始まっており、中国やインドへの進出をはかっている。

変わりつつある保険という商品の概念

社会環境が今抱えている問題は保険の価値に反映され、時代のニーズに合わせて変わっていく。海外企業との加速する買収背景の元をたどると、日本の少子化高齢化による人口減少という内需の縮小などの現状の変化が大きく関係している。消費者のライフスタイルやニーズも変化が見え、日本のみならず、世界全体の保険という金融商品の概念が変わりつつあることも注目したい。かつては財産や生活の保障という役割のうえに、貯蓄性、金融性の要素が高く、貯金のような価値がある金融商品のみならず、さらに時代とともにサービス内容や機能が重要視されるようになった。少子高齢化、災害、経済危機といったリスクが懸念される今の社会環境で、保険のサービス内容もより、生活保障性が高いもの、良質なきめ細かいサービス、そして厳しい環境に備えたもの、また死亡保障の保険よりも、日常生活に直接関わるがん保険など医療や介護の
ような生存保障を求める商品に注目が集まってきている。日本は特にこの傾向が強く、保険について気軽に相談ができる保険ショップを街角に設置する企業も急増し、インターネットなど販売チャネルも多様化してきた。より身近な生活する上で重要な役割を持つ「保険」としての捉え方へと変わりつつある。