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7-Eleven Inc. 上席副社長 商品・オペレーションサービス部本部長/ CEO アドバイザー 野田 靜真 氏

7-Eleven Inc. 上席副社長 商品・オペレーションサービス部本部長/ CEO アドバイザー 野田 靜真 氏

駐在期間を定めない。本気の構造改革を─────
「セブンイレブン・ウェイ」哲学のもと、その国に合った仕組みを作る

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7-Eleven Inc. 
上席副社長
商品・オペレーションサービス部本部長/ CEO アドバイザー
野田 靜真 氏

 

企業概況ニュース 2015年6月号掲載
日本コンビニ界において、その優れたブランド力と売上げの高さで、圧倒的な存在感を示す「セブンイレブン・ジャパン(SEJ)」。「単品管理」の考え方を基本として「ドミナント方式」や「POSシステム分析」そして「プ ライベートブランド(PB)戦略」といった日本で培ってきた独自の成功モデルを掲げ、本家・米国セブンイレブン・インク(SEI)の立て直しに本格的に取 り組んできた。世界のライセンサーSEIの改革について、同社上席副社長である野田靜真さんにお話を伺った

 

編集部:執行役員である野田さん赴任の背景をお聞かせください。

野田さん:これまでも、マネージャークラスの駐在員は赴任していましたが、SEI改革の強化促進の為、役員クラスによる抜本的な改革が必要だということになり、私を含む6名が2012年に新たに赴任しました。私の立場はEVP、そして経営全般におけるジョセフ・デピントCEOへのアドバイザーとなります。
日本の店舗ごとによる1日の売上額が1日平均約68〜69万円なのに対し、アメリカでは大体50万円と約20万円近くの開きがあります。
店舗数にしても、日本の約1万9000店舗に対し、カナダを含めた北米では8300店舗。世界16カ国地域で約5万5000店舗を展開するセブンイレブンの中で、世界のライセンサーSEIのさらなる地位向上が強く求められているのです。

編集部: 具体的には、どのような改革をされているのですか?

野田さん:SEJの持つ最大の強みである単品管理の考え方に基づいた発注体制、商品開発、物流網など、メーカーさん、ベンダーさん、様々なお取引先と連携した「インフラや仕組み・構造」のSEIでの構築です。例えば、SEJでは商品開発の際にメーカーやベンダーを巻き込み、お客様のニーズに合った価値のある商品開発を行います。こうした仕組みがアメリカでは遅れている。また、POSシステムやオペレーションに関しても日本に10年近く遅れており、最近やっとSEJに近い体制が整ってきたところです。
ただ、POSデータはあくまでも過去のものであり、手段の一つでしかありません。目的を達成する為のツールに過ぎないという事を理解させる事が最も重要だと考えています。
アメリカは広く、変革はひと筋縄では行かない事は認識していますが、質の高い価値有る商品や差別化した商品(例:PB商品)等の商品を積極的に開発し、各店舗へ新しい商品が次々と届く日本のような仕組みが、今後のSEIには必要なのです。

編集部:他にどのような日米間の違いを感じていますか?

野田さん:「デイリー商品を中心とした品揃えの幅」「あらゆるサービスの質」という2点です。コンビニエンスストアとして、ただやみくもにSKUを増やすのではなく、お客様の刻一刻と変化するニーズを捉えた上で、売場効率も踏まえ、売場のレイアウトを見直し、便利さを提供する。また、店ごとに品揃えを考える事がコンビニエンスストアビジネスには重要です。SKUをきちっと増やし、店ごとに品揃えを考えることがコンビニエンスストアには重要です。そのためにも、テストマーケットチームを組織し、ダラス、ワシントンDC、ロサンゼルスといった3地区でのテストを繰り返しています。エリアを決めてテストを行うことで「ダラスでは売れ、他では売れない」などの地域性が見えてくるのです。
また、デイリー商品と呼ばれる「おにぎり」や「サンドイッチ」などのフード構成比も日本40%に対し、アメリカは12%弱。3倍強の開きがあります。「発注した商品が、発注した数だけ定時に納品される」のが最も効率的なオペレーションです。日本の仕組みをアメリカにそのまま移行することはできません。小売業はドメスティックな産業ですし、アメリカは日本の25倍もの国土があるのですから、アメリカに合った仕組みをどう構築していくか。「セブンイレブン・ウェイ」哲学のもとに、その国に合った仕組みを作ることが大切です。

編集部:野田さんのポリシーをお聞かせください。

野田さん:私が赴任の際に一番こだわったのは駐在期間を定めないという事です。インフラ整備や構造改革にメスを入れると考えた時、「役員が送り込まれてきたが、ビザが切れたら日本に帰るのだろう」といったお客さん状態では、本当のディスカッションは成立しません。ですから、赴任してすぐにデピント社長に「私はアメリカに骨を埋めます」と宣言しました(笑)。
米国に骨を埋める覚悟で本気で対峙していかない限り、何の改革も成し遂げられません。「改善」であれば5年である程度の結果は出せます。しかし、私が求めているのは仕組み・構造の「改革」です。そもそも日米で店舗を取り巻くインフラが違い過ぎるので、個人の能力だけでは限界が有ります。だからこそ、仮に駐在員が入れ替わっても改革が継続されるためには、仕組みを構築して定着するまで継続していく必要があります。

編集部:成し遂げたい目標とは?

野田さん:7 年前にジョー・デピント社長が就任してから、ものすごい勢いでSEIは変化しています。そこに3年前から我々が加わり、売り上げも右肩上がり、日米の連携もより強固になってきています。現在、ニューヨーク、フロリダ、ダラス、ロサンゼルス、そしてボストンといったいくつかのエリアでのドミナント(高密度多店舗出店)展開を進めています。そのマーケットに合った商品をきちんと開発し、あらゆるサービスレベルを高めていけば、必ず売り上げは伸びると確信しています。
台湾やタイ、韓国に中国にUAEと、セブンイレブンは、世界各国に広がっています。今後の成長の起爆剤となるのは、やはりライセンサーであるSEIの成長がカギとなるのです。SEJとSEIが連携して編み出したシステムを、新しいエリアに伝えていく。そして、社会インフラの要素のひとつとして、世界中にセブンイレブンの明かりを見てみたいですね。