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ドライヘッドスパの『価値』を高める《GOKU NY》

『人気軸』を大切に
ドライヘッドスパの『価値』を高める《GOKU NY》

『人気軸』を大切に ドライッドスパの『価値』を高める

悟空のきもち ニューヨーク店 「GOKU NY」
代表取締役 金田 淳美 さん

Address : 18 West 38th Str., New York, NY 10018
https://goku-nokimochi.com

常に予約で溢れ「日本一予約が取りにくいサロン」として知られる「悟空のきもち」。会計士として勤務した大手監査法人を離れ、それまで存在しなかった「頭ほぐし専門店」という新ジャンルでビジネスを立ち上げた。2008年の創業以来、「21の手技」「大人を眠らせる技術」「絶頂睡眠」など、独創性なキーワードとともに快進撃を続ける悟空のきもちが、今年3月、海外発となるニューヨーク店「GOKU NY」をオープンさせた。世界へと飛び出した「頭ほぐし」が今後どうなっていくのか、代表取締役の金田淳美さんにお話を伺った。

ニューヨークに受け入れてもらう

 起業の時から、いずれは海外へという想いがありました。マッサージならばアジアという考えが一般的なのかもしれませんが、私たちの『頭のほぐし』は全く新しいビジネスであり、これを世界へ広めるには、新しいものへの受け入れが柔軟で、広めていくポテンシャルを持つ場所───ニューヨークという選択肢しかありませんでした。

 ニューヨークに受け入れてもららうことが、今の大きな目標です。先のことを考えて行動できるタイプではないので、私ができることから一つずつ進めて行こうと思います。日本で10年かけて大人気のお店を作ってきたように、ニューヨークでも皆さんに自信を持ってご提供できる人気店を作っていきたい。この目標を達成するまでは、このゴールに向かって走り続けます。次のことはまたその時に考えたい。多店舗展開や世界進出といったことにはまったく興味がなく、自分のやってきたことが、ニューヨークで受け入れてもらえるかを見極めたいのです。

無限反射する『鏡の世界』

 『睡眠』というコンセプトは全店舗で一環して変わりません。ただ、睡眠へと誘うための空間作りにおいては、各店舗にテーマとなるコンセプトを持たせるよう心掛けています。大阪心斎橋店では「眠りのスイーツ」、原宿神宮店では「睡眠宇宙船」によるタイムマシーンをテーマに空間づくりをしており、ここニューヨーク店では「無限反射する鏡の世界」がテーマとなります。世界中の人たちの夢がこの空間に集まり、GOKUの至極の眠りの空間で、それを素敵なメモリーへと変えるという世界観です。皆さんの想像を超えた世界を創り、楽しんで、驚いてもらうことが、私たちの空間作りのコンセプトになっています。

 3大欲求「食欲・性欲・睡眠欲」の中でも、「睡眠」には、その欲求を満たす場所が不足しています。他の2つのように想像力を掻き立てる場所もなく、寝具を替え、寝る場所を変えることしかできません。人は睡眠に慣れきってしまい、十分に楽しんではいないのです。そういう人たちにワクワクするような新しい眠りを提供し、もっと睡眠を楽しんで頂きたい。そのために「悟空」はあり、眠りの独自のテクニックや最適な空間、眠りを誘う寝具を開発することで、極上の睡眠を楽しむ術を提案します。『マッサージのお店』ではなく、『睡眠を楽しむための場所』として存在しているのです。

幼少期に芽生えた「経営者」への憧れ

 小学校低学年の頃から「経営者になる」ということは心に決めていました。もちろん、具体的には何も決めていませんが、とにかく経営者になりたいと。最大の動機は、祖父から言われ続けてきた「女は仕事には就けない」という言葉に対する反骨心───時代もあると思いますが、こうした女性蔑視の環境下で育ち、「就職できないのであれば自分で会社を作ればいい」という考えが自然と生まれてきました。

 大学を卒業して監査法人に勤めていた時に、「誰かに頭をほぐして欲しい」とふと感じたことが、「悟空のきもち」誕生のきっかけです。10年前の日本には「頭のほぐし」という市場は存在せず、私と同じように頭のほぐしを必要とする人が世界中にいるはずだと、第1店舗目を2008年、京都四条河原店に出店しました。市場がないので、お客さんもいません。自分たちの目的を伝えながら、一歩一歩店舗を増やし、京都、大阪、東京と日本国内に4店舗でサービスをご提供しています。

『頭のほぐし』を世界に広める

コネも、知り合いもいない状態でニューヨークへ来ましたので、まずは、日本から旅行でいらっしゃる方や現地日本人の方々を対象に3月からサービスを始めました。実際に市場を見て、どのスタイルが良いかを考え、これだというものが見えた時にニューヨーク向けサービスを展開しようと考えていましたが、最近、このスタイルでいいんだなというものが見えてきました。結論としては「日本と同じでもいいのかもしれない」という考えに落ち着きました。最初は、ニューヨークなので現地のスタイルに変えないとという思いもあったのですが、サンプル数を増やすにつれ、日本の施術や技術というものが想像以上に評価され求められているということに気付き、そこまでスタイルを変えなくてもニューヨークはGOKUを受け入れてくれると感じました。

『人気軸』を柱とした経営

私たちはずっと『人気軸』という独自の経営指標を大切にしています。どうしたら「人気」を獲得できるのか───いつも、そのことを考えています。悟空のきもちは女性スタッフのみで構成されている会社ですので、女性がいかに輝けるかを重要視しているのです。男性に比べて女性は「安定」を大切にし、お金を持つということに強いこだわりはありません。それ以上に、自分を輝かせる何かを身に付け、誰かに認めてもらいたいのです。SNSなどで誰もが自由に情報発信できる時代になり、世界の人に自分の自慢できることを伝える。誰かに気づいてもらい、認めてもらうことに喜びを感じるのです。

それならば、その自慢できることを増やしてあげたい。皆が行ってみたい、働いてみたいと思う人気店で働くこと。そこでしか受けられない「ドライヘッドスパ」施術を提供し感謝されること。それらが働く意欲に繋がるのであれば、「人気軸」を経営に取り入れていくことが必要です。皆が誇りを持ち、楽しく働ける環境を整え、スタッフが定着すれば技術も安定し、お客様にもご満足して頂ける。私が今やるべきことは、悟空のきもち、ドライヘッドスパを世界に送りだし、その市場価値を高めていくことなのです。

女性が、もっと自由に挑戦できるように

10年前、25歳の女性の起業に対し、世間からの風当たりは強く、手を差し伸べてくれる人もごく僅かでした。それは、私が若かったこともありますが、やはり「女性」だということが大きな要因であったと感じました。少なからず、祖父の言葉を感じながら生きてきたのですが、私は、女性がもっと自由に、色々なことに挑戦できる時代になって欲しいと考えています。

いつの間にか処世術を身につけ、心のどこかで諦め、時代に流されてしまう女性が日本にはとても多いのが実情です。もちろん、それをうまく利用し上り詰める女性もいますが、それほど強くはない傷ついた女性たちを私は応援したい。「人脈もお金もない私でもここまでやっているのだから、あなたにもできるよ」と伝えてあげたいのです。ニューヨークの女性は、物事がはっきりして、自分の意見をストレートに伝えます。こうした部分は日本の女性も見習うべき部分なのかもしれないと日々感じています。

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 『悟空のきもち』がニューヨークで広まり、ドライヘッドスパの技術が海外でも通用すると認めてもらう。これが、スタッフや学校でドライヘッドスパの技術を身に付けた人たちの価値を高めることにも繋がっていくのです。私の考えが正しいかどうか、これから少しずつ時間をかけて証明し、自分だけの答え合わせをしていきたいと思っています。

https://goku-nokimochi.com

《企業概況ニュース 2019 6月号掲載》