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ショッピングモールの フードコートに展開

『人の集まるところ食あり』
ショッピングモールの フードコートに展開

株式会社ペッパーフードサービス
一瀬  邦夫 社長  

 2019年7月3日、ニューヨーク第2店舗目のペッパーランチがマンハッタンのチェルシーにオープンした。2017年2月のいきなりステーキ・イーストビレッジ店オープンを皮切りに、矢継ぎ早に11店舗をオープン。さらには昨年9月にナスダック上場、全米各都市へのチェーン展開も視野に入れた戦略を進めてきたが、今年2月に11店舗のうち7店舗をクローズ、今秋までにはナスダック上場を廃止することを発表した。ほろ苦い北米進出となったペッパーフードサービス。しかし、日本で開発された外食スタイルを、ステーキの本場に持ち込んで勝負をかけていく姿は、多くの日本人に大きな高揚感を感じさせた。

 現在は、残った4店舗のうち2店舗を「いきなりステーキ」として継続、2店舗を「ペッパーランチ」形式に業態変更して再起を図っている。今から26年前に一瀬社長が考えついたペッパーランチは、約300度に熱した鉄ざらで肉を加熱することで、来店客が自分の好みにステーキを焼いて食べるというコンセプト。現在、日本国内の他、海外16ヵ国に470店舗を構え、世界各国に根強いファンを獲得している。一方、いきなりステーキは、来店客のオーダーに対し、目の前で肉塊から適切なサイズを切り分け、コックがチャコールで焼くスタイル。良質でジューシーな牛肉を、リーズナブルな価格で食べられる手頃感が大きな魅力となる。

 「今回、ニューヨークのいきなりステーキ展開で学んだこと、反省点はたくさんあります。人材教育、価格戦略、そして急速な多店舗展開と数え上げたらキリがありません。でも、社長である僕の想い、そして経営理念が、しっかりとスタッフに伝えられなかったことが大きいと思っています。外食産業やサービス業に適した人の採用を徹底しなかったこと、チップ制や肉マイレージカード導入によって会計の混乱に繋がり、お客様に大きな負担をかける結果となったこと、突き詰めていくと全て同じです。今後は、現場の声をしっかりと聞きながら、経営理念が届く距離感を大切に、改めて挑戦していくつもりです」。

 現在、フランチャイズをロサンゼルス2店舗、グアム2店舗で展開するペッパーランチ。直営店であるニューヨークの2店舗を固め、カニバリゼーションが起こらないように注意しながら慎重に展開を進めていく。「今後の展開としては、ショッピングセンター内のフードコートが有望だと考えています。この流れは、日本をはじめどの国でも同じです───『人の集まるところ食あり』。低価格ですぐに食べられ、じっくり腰を落ち着ける必要もなく、さっと済ませられるフードコート。ニューヨークの2店舗では、『ザ・ファストフード・ステーキ』というキャッチを付けて展開しています。今回初めての試みとなりますが、この精神をしっかりと貫いていきたいと思っています」。

 以前、ソニー・パデュー労務長官が来日した際に、米国牛肉の消費量の多さを讃えられ、ウィリアム・F・ハガティ駐日大使と一瀬邦夫さんが表彰された。「5年7ヶ月前にいきなりステーキを始めたことで日本の肉ブームに火をつけ、消費量増加に大きく貢献したことは間違いありません。その事実をアメリカがしっかりと評価してくれました。今、世界中で、日本のいきなりステーキ一号店オープン時と同じ状況が再現されています。これをどう他に伝播させていけるか。戦後からずっとお世話になっているアメリカで、それもニューヨークで成功することが僕の今の目標です。ここで花開けば、世界への扉も開く。火傷した今だからこそ、ニューヨークなのです」。一瀬さんの左胸には、受賞以来1日も欠かさずに着けているという日米友好のピンバッジが輝く。このバッジが胸にある限り、一瀬さんのアメリカ挑戦は続いていく。

株式会社ペッパーフードサービス

www.pepper-fs.co.jp
https://ikinaristeakusa.com

《企業概況ニュース8月号掲載》