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理解したプロモーションを《JFOODO》

 「シーフード(魚介類)には白ワイン」という固定概念を打ち破り、「シーフード(魚介類)に最も合うアルコール飲料は日本酒」というポジション獲得を図るイベントが、10月18日から3日間、マンハッタンのポップアップレストラン「LIMAMI」にて開催された。このイベントを企画するのは、日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO:ジェイフードー)。海外における日本産農林水産物・食品のブランディング戦略策定を目的に2017年4月に発足した組織だ。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)の中にある組織の一つだが、その役割や考え方はジェトロとは異なる。ジェトロが商流部分を担当しB to Bのマッチングを行うのに対し、JFOODOは消費者向けであるto C向けのプロモーションを行い、日本産農林水産物・食品の消費を喚起していく。ジェトロ、JFOODO両者の相乗効果により市場を拡大させていく。また、JFOODOの半分は民間企業のマーケティングや広告出身者で構成され、JFOODOの名には「武士道」「剣道」「茶道」などに並び「食の道」を世界に発信するとともに、日本の文化(風土)とともアピール姿勢が表現されている。

 「JFOODOではプロモーション対象を5品目7テーマに絞り込んでいます。日本和牛、日本産水産物(ブリ、ホタテ、貝)、緑茶、米粉、日本酒、日本ワイン、日本産クラフトビールの7テーマです。米国では、緑茶、米粉、日本酒、クラフトビールの4テーマでの展開を行なっており、日本酒に関して言えば、アメリカはニューヨーク、ロス、サンフランシスコ、そしてロンドン、パリ、香港、シンガポール、中国の世界6カ国で今年は日本酒のプロモーションを行なっています」とJFOODO海外プロモーション事業課塚田さんは説明する。

 「今回は日本酒とシーフードとの連想関係を作るため、3酒蔵の日本酒とのペアリングを紹介していきます。『Escape the Ordinary』のコンセプトのもと、シーフードには白ワインという意識の人たちへ『いつもとは違ったことをしてみようよ』と呼びかけ、日本酒とシーフードの相性の良さをアピールします。情緒的に訴えるだけでなく、裏側には〝日本酒は魚介の生臭さを包み隠し、うま味を増幅させる〟という科学的根拠を持って認識させることが重要です。そこで驚きを持って終わるのではなくて、驚きに対する理由を持ち帰ってもらい、そしてリピートへと繋げていくことが狙いです」。

 「日本食ブームが来ていることは、統計的、計量的データでも間違いありません。一方で、日本の農産物の輸出額は世界60位とそのブームに追いついていない輸出後進国という現状があります。アメリカでは、日本食レストランは、フレンチやイタリアンに負けないくらい店舗数を増やしていますが、アルコール飲料としての日本酒のシェアは0.1%しかありません。日本食ブームが来ているので、日本酒もブームがきてるだろうと誤解してる人が世の中のほとんどなのです。自分たちがニッチな立場に立っていることを理解した上でプロモーションしていかないと戦略を間違えてしまう。日本酒だけではなく、日本和牛や緑茶も同じです。日本酒ってこんなに素晴らしいんですよという日本酒の良さを押し付けるだけのプロモーションでは成功しません。しっかりと競合商品を見据えた戦略を立て、競合の弱みに対してこちらにはこんな強みがあるので試してみませんか、というアプローチを続けていくことが必要なのです」と話をまとめた。

《企業概況ニュース:2019年11月号掲載》

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