Home > CATEGORIES > Financial > 第117回【米国金融事情】GAFAによる金融事業
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グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンのいわゆるGAFAは、米国で最も影響力のある企業群と言えますが、最近になって本業のIT以外に金融業務に進出する傾向が見られます。まず、グーグル社はシティバンク等と組んで、銀行口座を提供する予定であることが報じられています。グーグル社自身が銀行になるわけではありませんが、グーグル社のモバイルウォレットアプリで実質的にはシティバンクの口座を提供することが考えられます。アップル社は、すでにそれに類似した仕組みをアップルペイの中のアップルキャッシュとして提供しているほか、クレジットカードとしてアップルカードをすでに提供しています。また、フェイスブック社は仮想通貨リブラの発行に向けて動き出しています。一方のアマゾン社は、正式発表ではありませんが、JPMチェースと組んで預金のようなサービスを提供するのではないかと推測されています(一方でアマゾン社はこれを断念したという推測もあります。)

いずれにしても、影響力のある巨大IT企業が金融業務に進出することは、既存の金融機関にとっては大いに脅威となっています。巨大IT企業が直接銀行になるわけではありませんが、巨大IT企業は多くの人々が毎日利用するゲートキーパーとなっていますので、一部の銀行のサービスを優先的に提供することとなると、他の銀行は蚊帳の外になってしまう懸念があります。特に、経済規模の小さな国においては、実質的に巨大IT企業が地元の既存銀行を駆逐してしまう懸念もあります。また、そうした独占的状況の中で、万一巨大IT企業に障害等がおきれば、金融システム全体が大きな影響を受けることになります。ただし、現時点において、巨大IT企業が既存銀行と組んで金融サービスを提供する場合、明確にこれを禁止または制限する法令等は少なくとも米国にはないと思われます。その一方で、広範なリーチのある巨大IT企業であれば、今までは金融サービスを受けられなかった人々も受けられる可能性があると期待もされています。巨大IT企業の金融サービスの提供については、2020年の金融界にとって大きな関心事といえます。

グローバルリサーチ研究所
代 表 青木 武 www.instituteofglobalresearch.com

《企業概況ニュース》2020年 1月号掲載

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