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コンプライアンス・チェックリスト
~2020年1月1日から施行された法律等~

第44回【リーガル塾:3分で学ぶ米国ビジネス法】
コンプライアンス・チェックリスト
~2020年1月1日から施行された法律等~

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2020年も始まり、時代の変化に対応して続々と新たな法律が施行されている。企業もコンプライアンスに抜け・漏れがないよう、定期的に確認することが重要である。しかし、全ての経営者、マネージャーがコンプライアンスに時間を割けるわけではない。そこで、今年から施行される法律等に関連して、リスクの高いチェック項目を紹介する。チェックリストとしてご活用いただき、貴社での各項目のコンプライアンス状況を確認し、課題を発見し、対応を進めることにより、より一層の企業価値を高めることに繋がるだろう。

データ・プライバシー

データ・プライバシーに関して、「カリフォルニア州消費者プライバシー法」(CCPA = California Consumer Privacy Act)が、2020年1月1日から施行された。自社で個人情報をどのように取り扱っているのかを改めて整理した上で、CCPAが適用されるか、また適用される場合には遵守事項等を精査して、対応を進める必要がある。まずは、JETROが2019年12月に発行した「カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)実務ハンドブック」(https://www.jetro.go.jp/world/reports/2019/02/c74bb9695c95edf9.html)を読まれることを勧める。

サイバーセキュリティ

多くの製品がインターネットで繋がる時代になり、サイバー・セキュリティについても、規制当局と立法府が近年注力している分野である。2020年1月1日から施行されたカリフォルニア州法(SB 327)では、インターネットに繋がる機器(Connected Devices)に、サイバー攻撃に対する合理的な安全措置を施す義務を、製造業者に課した。本法の対象は限定的だが、今後対象の更なる拡大が予想されるため、早期に対応を検討する必要があろう。

独立請負人と従業員区分の整理

独立請負人(Independent Contractors)の条件を示すカリフォルニア州法(AB 5)が、2020年1月1日から施行された。動向が注目されているライドシェアサービスの業界以外の業界においても、AB 5の対象外になる職業か、フリーランス労働者を引き続き独立請負人として取り扱うことができるか等、改めて整理しておく必要がある。

ハラスメント対策・研修

2019年中には、著名人がハラスメントにより辞職、解雇、訴訟に至る事例が継続的に報道された。自社において、ハラスメント対策規程(加えて、ダイバーシティ・インクルージョン規程を制定することが望ましい)や、ハラスメント研修(無意識のバイアスについても研修することが望ましい)が十分であるかを確認しておくべきである。

契約のメンテナンス

契約については、年度末等に自動更新されたり、期間の経過により終了することも多い。これを機に、改めてレビューし不要な契約は終了させ、見直しが必要な条件は再交渉の上、修正することも可能である。忘れがちなのは、リース契約、エレベーター・メンテナンス契約などの外部業者への支払いを伴う契約である。見直そうと考えていたのに、見直しに必要な数か月前の通知の期間が経過してしまったために、自動更新されてしまうというような事態は回避したい。

考察

紙面の関係で全てを網羅できたわけではないが、2020年1月1日から施行される法律等に関連して、コンプライアンス・リスクの高い項目をご紹介した。自社のビジネスに影響を及ぼしうる法律の改正に対応できるような体制を構築し、かつ、自社のベストプラクティスを継続して進めるため、法務部門や法律事務所を活用することも重要である。

 

参考文献:
Peter Stone, Seven Items for Your Year-End Legal Checklist (https://www.lexology.com/library/detail.aspx?g=d173d0f2-d434-44d3-8762-6608da3c0410&l=8QELQ4L)

 

*ここで扱う内容は、一般的事実であり、特定の状況に対する法的アドバイスではなくそれを意図したものでもない。

Yorozu Law Groupは、サンフランシスコに拠点を置く国際法律事務所で、企業法務、国際税務、M&A/戦略的提携、ライセンシング、国際商取引、雇用法において日本語と英語で法務サービスを提供している。© Yorozu Law Group  

 

萬 タシャ 弁護士
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略歴

萬(よろず)タシャ

Yorozu Law Group 代表弁護士

オレゴン生まれ関西育ち。カリフォルニア州・オレゴン州弁護士、MBA取得。米国で20年以上の弁護士経験を有し、日米の商慣習や法制度等の違いを踏まえた法務・税対策両面からの戦略的アドバイスを提供する。日系企業の外部顧問を多数務めるほか、北加日本商工会議所と米日カウンシルの常任理事等を務める。家族とトライアスロンに参加するのが趣味。

《企業概況ニュース》2020年 2月号掲載

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