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TOKU最大の特徴

[FOCUS]「アキュミュレーターフリー」が
TOKU最大の特徴

TOKUアメリカ・インク社長
中村 デービッドさん
www.toku-america.com 

福岡に本社を置く建設機械のアタッチメントやエアツールメーカー「東空販売株式会社」。 オハイオ州クリーブランドに本社を置く北米現地法人「TOKUアメリカ」その中でも油圧ブレーカ「ストライカー・ブレーカ」を主力製品として展開する。クリーブランド周辺といえば、油圧ブレーカの集積地と言っても過言ではない。50年以上前に油圧ブレーカの原型を開発したドイツのクルップ社代理店のアライド・コンストラクション・プロダクツから枝分かれする形で、現在のような勢力図が描かれてきた。

 中村さんがこの地にTOKUアメリカを設立したのも、元アライド設計部長の知り合いを頼ってのもの。建機ディーラーへの直接販売業、工期の時期だけ貸し出すレンタル業を中心に、2010年から毎年7〜10%の成長率をキープする。大統領選による景気の影響はもちろん気になるが、主要プレイヤー8社とのシェア争いの中で自らの優位性をどう見いだすかが鍵となる。TOKUアメリカが取るべき道は決まっていると中村さんは自信を覗かせる。

 TOKUブランド最大の特徴は、他社製品に見られるアキュミュレーターがないこと。アキュミュレーターとは、油圧ブレーカーがピストンが叩いた瞬間に、そのはね上がる圧力を吸収するためにゴム製の油を流すシステム。この部分は1年又はオーバーホール時に交換が必要となる消耗品となるが、全シリーズにおいてアキュミュレーターフリーを謳うTOKUブランドでは、そのメンテナンスの手軽さが顧客の心をしっかりと掴んでいる。「日本製品は壊れないという信頼も強みの一つ。丁寧にマーケットシェアを拡大していくつもりです。これから5年が勝負。メッセージをどう消費者に届けるかが極めて大きいと考えています」。

 24年間続けてきた代理店とのOEM販売の関係を解消し、2010年から北米市場での自社販売へと乗り出した。35年前にこの代理店と交渉し、アメリカ市場進出へのきっかけを作ったのも中村さんだった。カナダのトロントで生まれ育った中村さんがオンタリオ州の大学を卒業し、父親の友人の紹介で縁を得て東空販売株式会社に入社し、東京の海外部に勤務していた時のことだ。12歳の時にも3年半ほど日本で暮らした経験はあったが、本格的に日本を感じたのは、この82年からの13年間の東空販売株式会社での社会人経験があったからと中村さんは振り返る。

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 1880年、日本人として初めて永野万蔵さんという男性がバンクーバーの地を踏み、それに続く形で多くの日系移民がカナダへと渡った。中村さんの曽祖父がバンクーバーに渡ったのはその6年後。以来、中村家とカナダの関係は133年以上と長いものとなった。

 「日本への訪問は年に数回程度ですが、日本・カナダ・アメリカとの関わりがもたらしたものは大きい。日本で仕事をしていた時に妻と結婚し、2人の愛娘も授かりました。当時は日本語が流暢という訳ではありませんでしたので、苦労することも少なくありませんでしたが、娘たちが感じるように日本・カナダ・アメリカ、どれもが私にとって大切な場所であり、自らの歩んできたこの境遇に心より感謝しています」と中村さんはにっこりと笑った。

《企業概況ニュース》2020年 1月号掲載

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