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デジタル・トランスフォーメーション(DX)がバズワード

『アメリカ人事のプロ』として、人を繋ぐ
デジタル・トランスフォーメーション(DX)がバズワード

Ogers Partner Robert Kobayashi
オジャーズ・バーンソン
パートナー ロバート小林 さん           www.odgersberndtson.com

    アメリカで人材を探す際、3つの方法がある。まずは『縁故採用』。あまり知られていないがアメリカにも縁故採用が存在し、8割の職がこの方法で決められるという。日本のように身内の紹介ではなく、従業員や顧客など信頼できる筋からの「リファーラル」で繋がる縁だ。紹介する側も信用のない人物を紹介はできないため、一定のバックグラウンドチェックが済んだ安定した人材枠と考えられる。そして残り2割が人材市場に流れ、『サコンティンジェンシー・ーチ』と『エグゼクティブ・サーチ(リテインサーチ)』の2種類の方法で企業へと紹介される。

   コンティンジェンシー・サーチとは、採用企業側が求めるポジションに対し、エージェンシー側が適切な人材を探し、採用が決まった段階で成功報酬が支払われるもの。一方で、エグゼクティブ・サーチは、エージェンシーがあるポジションに対しての特任を受け、採用に関する前段階から情報を共有し、人材における最初から最後までを引き受ける。比較的重要度の高いポジションが多く、Cスイート職はもちろん、専門的能力の高いコンピューターエンジニアやプログラマーなど、企業にとって戦略的な人材確保を一任される。そこには、どういったミッションがあり、企業をどうトランスフォームさせていくのか。目標を達成できる最適な人材を見つけてプレイスメントする───人材リクルーターというよりは、人事戦略コンサルタントといった役割が当てはまる。

    小林さんの勤めるオジャーズ・バーンソンは、イギリスに本社を持つエグゼクティブサーチ会社。イギリスにおいてシェアトップ、世界300カ国に60強のオフィスを構える世界第6位の大手エグゼクティブ・サーチのグローバルファームとなる。アメリカには、ニューヨーク本社の他14拠点を構え、北米に50名いるパートナーの1人として、小林さんは『金融』と『テクノロジー』を担当する。

    もともと、日本の大手銀行の東京調査部でアメリカ経済のマクロ経済予測や金利・為替予測に携わっており、最初のニューヨーク駐在時には、グラス・スティーガル法廃止の調査結果を東京に報告するなど忙しく働いた。ニューヨークに10年、シカゴ3年、そしてロンドン2年と、小林さんの銀行マン人生の半分以上が海外でのもの。自分の専門分野について悩んでいた頃に、人事組織再構築による二つの銀行の統合業務というビッグプロジェクトを任された。人事トップとして、米系組織の社内人事にメスを入れたことのある日本人は多くない。この経験を活かせないかと、『アメリカ人事のプロ』として突き進むことを決めた。2001年に早期退職制度を利用して銀行を去り、米系人事関連ブティックファームやグローバルファームで経験を積みながら、1年半前にオジャーズ・バーンソンに入社した。

    今後のリーダーに問われる素質はという問いに、小林さんは迷わず『デジタル・トランスフォーメーション(DX)を操る人』と答える。デジタリゼーションを企業戦略にどう取り込むかを考え、サステナブルな成長戦略を描ける人材だ。北米にいる日本人の中にも強力なリーダーシップを発揮できる人材は多く存在するが、グローバル企業のトップとなるとその姿は限られる。VISA、言語、カルチャーの違いがネックとなっていることが多いが、優秀な人と出会い、情報感度を研ぎ澄ます、そして信頼のおけるネットワークを構築することが、個々人のスキルを高める基礎を作る。「私の目標は、アメリカでのオジャーズ・バーンソンの知名度を高めながら、1人でも多くの優れた人材を適切な企業にプレイスすることです。これが私の選んだプロフェッションであり、大切な任務だと感じています」。

《企業概況ニュース》2020年 3月号掲載

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