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コロナウィルス とアジア人差別

【企業の論理、力の論理 グローバリゼーションのルール】
コロナウィルス とアジア人差別

前回、私がこのコラムを書いた2月には、コロナウィルスは中国で広がっており、正直なところ他人事としてみていた。まさかそれが私の生活をこれほど変え、世界をこれほど変えているとは。コロナウィルスの世界への拡散がグローバリゼーションの結果である以上、このコラムで取り上げないわけにはいかない。ここでのテーマはグローバリゼーションだからだ。

 コロナウィルスについて何を書こうかと考えた時、途方に暮れた。なぜならこの伝染病によって甚大な影響を受けている人にとって、その救済策以上に重要で関心を持てるものはないだろうが、と言って私が救済をできるわけでもない。それを自覚した上で、今回はアジア人差別について書かせていただく。苦しみに追い打ちをかけるこの事態は、なぜ起こり、どう対処すべきなのかを考えてみたいからだ。

 アジア人への差別が米国で激増している。何と言ってもアジア人で保身のために銃を買う人が米国では6倍ほどになったという。

 私のクラスの中国人女子学生はニューヨークが大好きだった。しかし最近は、彼女や他の中国人に対する差別があまりにひどく、ニューヨークには住み続けることはできない、と言って、学期の途中で中国に帰った。授業で毎週ズームで話すのだが、彼女は、もう米国には戻りたくないという。他の中国人学生も、中国に帰りたいが、飛行機がとれず、帰れないらしい。

 私がニューヨークを好きな一つの理由は、他の都市に比べ自由で移民に寛容だからだ。だから一層、こうした事態が残念で、憤りを感じている。と同時に、おそらく教育を受けるチャンスがなかった人々が、無知のせいでこうした差別をするのだろう、それは社会的な弱者グループがウィルスの犠牲者になりやすいのと同じだ、と米国社会の社会経済的なあまりの不平等さにもっと憤りを感じていた。

 ところが、だ。

 先日、日本の友達が電話をかけてきた。彼女は、コロナウィルスで生活がめちゃくちゃになり、仕事がきつく、子供の世話もあり、本当に辛い、という不満を言いたかったらしい。とても優秀な女性なのだが、なんと、絶対に中国は許せない!と言い出したのだ。中国人を見ると不愉快になる、中国は世界に対して補償すべきだと。彼女は、私たちアジア人が米国で受けている差別を、中国人に対して日本でしているのである。

 彼女は特殊であって、ほとんどの日本人は中国人に差別などしていないだろう。だが彼女の例は、差別がどんな時に起こるのかを、ニューヨークでのケースとともに示唆している。自分の生活が、自分にはどうしようもないなんらかの力のせいで窮困した時、何かにその憤りをぶつけずにいられなくなり、誰か反応するものに対して、しかも自分たちより少数派である誰かに対して差別
をしているのではないかと思う。

 ニューヨークでは、アジア人差別は、コロナが最も甚大な被害をもたらしたグループによって行われている。私の友達もシングルマザーで、今回の状況にとりわけ苦しんでいる。もちろん彼らが被った被害の大きさは、差別を正当化しない。重要なのは、差別は、社会的、経済的な被害を受けたところでは、おそらく常に生じてくるものだ、ということだ。それは逆に言えば、差別は、より充実した社会福祉、経済政策によって、緩和されうるということだ。結局、社会は、政策によって、良くも悪くもなる。差別があるのは、社会政策が、人々に充実した生活を与えていないということの裏返しなのだ。

 

佐々木文子
Distance Education for Africa www.deafrica.org
ProActiveNY www.proactiveny.org

《企業概況ニュース》2020年 5月号掲載

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