Home > Featured > 10年間の経験の蓄積を 顧客・社会に還元する時

 今年11年目を迎えたGIIP(ジーアイアイピー)国際会計事務所は、米国ニューヨーク事務所を中核拠点とする、日系クライアントに特化したブーティーク(小規模特化型)国際会計事務所兼ビジネス・アドバイザリー会社だ。日本、インド、トルコにも拠点があるが、事業の中心は米国関連の会計・税務等のサービスである。顧客はNYを中心に全米にまたがっており、インド・チェンナイ市に自前(100%子会社)のアウトソーシングチームを有し、NY事務所とインド事務所による、顧客に対する遠隔での協働サービス提供体制を採用している。

コロナウィルスによる衝撃

 「クライアントの多くがニューヨークをベースとし、飲食業等のホスピタリティ業界も多いことから、コロナ被害に苦しむビジネスオーナー等の方々から寄せられる悲痛な叫びに胸を痛めています」とGIIPの佐藤さんは心情を吐露する。

 「多くのビジネスが現在岐路に立たされており、今後の事業の継続・事業再構築・撤退という究極の選択をこの2020年に行っていかねばならないでしょう。撤退・再構築という選択肢は、弊社にとっても痛手だが、意思決定はあくまでその事業、ひいてはオーナーの最善のため。その選択肢も消去せずに、経営者の外部交渉・意思決定のサポートを心がけています」。

 「適時適切な意思決定のためには、まずは事象を数字で正確に整理・認識する必要があります。例えば、シナリオごとの将来キャッシュフロー予測が手元にあれば、経営者は、本来の経営理念と現状を踏まえた意思決定を、ぶれずに、適時に、行うことができるでしょう」。佐藤さんは、事実(Facts)を把握して、それを事実(Facts)として示すことが混沌とした時代における公認会計士の役割だ、と熱く語る。

コロナ後の企業対応(非主要業務のアウトソーシング)

 GIIPではこれまで遠隔でチームを組成してサービス提供してきていることから、クライアント側含めてデータの遠隔共有などの仕組みがすでに作らており、今回の事態においても、既存クライアント側は比較的問題なく必要関連業務を継続することができているそうだ。「以前から、個人に依存したバックオフィス・オペレーションを改善して、業務継続性を高めつつ効率化し、経営者が安心して本業に集中できるようにしたいという相談は受けていました。今回を契機に、そのような流れは加速するでしょう」。

GIIPとしての今後

 GIIPでも今後の在り方について考える良い機会となった。同社では、これまでも『常にクライアント側に立って考える』というポリシーを信条とし、クライアントにとって良いと思うことは積極的に取り込んできた。第三者的な立場に立つ『監査』を除き、公認会計士として役立つことであれば、どんなに細かで単調な作業でもサポートする。旧態としたビジネスモデルの業界においても、アウト・オブ・ボックスで物事に取り組めないか、試行を続けてきた。その成果の一つが前述の国際アウトソーシング体制の確立である。

 これからの公認会計士、そしてGIIPに求められること───それは経営者とは異なる視点からビジネスを見つめ、そこから見える『リスク』と『リターン』を示しながら、経営者が正しい判断を下すための事実を伝えていくこと。アフターコロナの時代では、求められる形が急速に変化していくのかもしれない。しかし「常にクライアント側に立って考える」という根底の部分をぶらさせることなく、柔軟に変化・対応していく。

 

《企業概況ニュース》2020年 6月号掲載


GIIP(ジーアイアイピー)国際会計事務所           http://giip-global.com/jp/
創業パートナー&公認会計士(米国・日本) 佐藤 江司 さん          

 

ジーアイアイピー国際会計事務所 GIIP GLOBAL ADVISORY, INC. ニューヨーク市マンハッタン・ミッドタウンサウス(フラットアイアン地区)に事務所を構えるブーティーク(小規模特化型)国際会計事務所。日系(法人、個人)に特化し、常に顧客の立場に立ってサービスを提供することをモットーとし、そのために第三者的立場に立つ監査業務は原則行わない。一方で支払作業やアドミン作業など細かい業務も含む会社管理を一括で引き受けるなど、企業のバックオフィス機能を担う場合や、海外拠点の実質的なCFO(最高財務責任者)機能を担う場合もある。日本、インド、トルコに子会社を有し、インド事務所では米国から業務のアウトソーシングを請け負っており、常に米国クライアントのためにNY事務所と遠隔で協働してサービス提供する体制が整っている。

佐藤江司公認会計士:一橋大学社会学部卒業、南カルフォルニア大学(USC)経営学修士(MBA)修了。日本では日本の公認会計士としてPwCに勤務、MBA取得後、NYへ渡り、KPMG、投資アドバイス会社を経て、2009年に創業。以降、日系企業、日系・日本人への会計税務関連サービスを10年超継続して提供している。

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