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ジョージフロイドさんの死と、これからの米国

【企業の論理、力の論理 グローバリゼーションのルール】
ジョージフロイドさんの死と、これからの米国

 “この国の制度は、自分たちのために作られていない。”

“できることなら米国になんか住みたくない。”

 これらは、私が教えていたブルックリンの大学の学生たちが、一年前に授業で口にした言葉だ。その大学は学生も職員、教員も全員黒人かヒスパニックの人々だ。授業は、たまたま、米国の抱える社会問題について考える授業だったのだが、その授業は、常に学生の、この国の彼らに対する態度への憤りと諦めに満ちていた。

 彼らは、米国に属していると思っていなかった。彼らは米国連邦、州、市、どの政府にも保護されていると思っていない、と言っていた。彼らは白人とは完全に違う社会に属していると感じていた。一人の学生は、黒人でアラバマ出身。あまりの差別にニューヨークに引っ越してきたが、全く変わらない、と言っていた。この街の自由で平等観に溢れるところが好きだった私はショックを受けた。

 私はどの大学のどの授業でも、すべての学生にパワポを使ったプレゼンテーションをしてもらう。例えば裕福な学生が多い大学だと、学生はグローバルな問題を取り上げる。移民の問題、環境問題、女性差別、など、調査をしてまとめて発表する。ところが、このブルックリンの大学では、彼らが自ら経験した問題について、発表していた。

 米国における冤罪による逮捕の実態について発表した学生は、自分の父親と兄が、冤罪で刑務所にいた。ある学生はニューヨークの貧困の実態について発表したが、彼女自身がホームレスで、2りの子供を抱えて、シェルターから大学に通っていた。2つの仕事を掛け持ちしながら。別の学生は、子どもの貧困について。そして彼女は、親に捨てられ、祖母に育てられたが、その祖母が他界し、今は家も取られ、いくところがないと言っていた。他の学生は、まさに、警察の彼らに対する横暴について発表したが、それは自分の経験を語っていた。

 だから、今、ジョージ フロイドさんが警官に殺された事件をめぐるこの、米国全土に広がる人種差別抗議活動には、全く驚かなかった。

今米国は、やっと少し変わろうとしているように見える。コロナと、その影響で滞る経済活動の、最大の被害者である彼らは、この抗議活動を通して、やっと多くの人に彼らの声を聞いてもらえるようになった。トランプ大統領を除いて、多くの政治家も改革に乗り出している。

 少しだけ彼らの実情を垣間見た私にとっては、とても嬉しい動きだ。ニューヨーク州は、とりわけ警察改革を推進している。でももっと希望を持たせるのは、今回のデモは、多くの白人が参加していることだ。

 米国の大学で教えていて実感するのは、少なくともニューヨークの若者は、とても寛容で、人種の壁を乗り越えていること。私の多くの学生が、トランプ大統領の人種差別に憤り、街に繰り出している。これからの米国は、移民の増加も手伝って、人種、性別、その他のマイノリティに対して、より包容力のある国になっていくと思う。私は、トランプ大統領は、過去の負の遺産を代表する、最後の大統領になると思う。米国は、弱い人を救う方向に前進している。今は嵐の中だが、それが去れば、もっと光が見えているはずだ。

佐々木文子
Distance Education for Africa www.deafrica.org
ProActiveNY www.proactiveny.org

《企業概況ニュース》2020年 7月号掲載

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