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《ニューヨーク日本クラブ》今後の社交クラブの在り方を考える

ニューヨーク日本クラブニューヨーク商工会(JCCI)JCCファンド
事務所長 前田 正明  氏 

 日米交流と在ニューヨーク日本企業や家族の親睦を目的に、115年に渡り会員制の社交クラブとして活動してきた日本クラブも、COVID19の影響下でリモート活動を余儀なくされている。3月13日に現職に着任したばかりの前田さんも、事務所に初出所してすぐリモート勤務となり、以来ずっと〝今後の社交クラブの在り方〟について考えを巡らせている。2002年にNTTドコモUSAの上級副社長として赴任し、その後は社長として同社を率いてきた。直近5年間はシリコンバレーに拠点を移し、世界最大のテック・プロテクションサービス提供会社アシュリオンの戦略アドバイザーを務めた。今までITやテレコミュニケーションの最前線を歩いてきたが、日本クラブのメンバーの中には、慣れない機器の使い方や画面内だけでの交流に戸惑う人も多いのではないかと前田さんは考える。「企業会員だけでなく、個人会員の皆さんも心から楽しめる空間を目指そう」───主催者側の独りよがりにならないよう、会員の声に耳を傾けながら丁寧なコンテンツ作りを行っている。

 日本クラブ事務所長の他、JCCI事務所長、ストーニーブルック大学アドバイザーと、いくつもの大役を兼任しているため、各所で行われる様々なバーチャルイベントを通じて見えてきたこともある。次の課題はソーシャライジング、いかにこの課題を解決するかに乗り出している。今年はバーチャル開催が決定したJCCIアニュアルディナーにおいて、「参列者同士の交流」や「食べる楽しみ」をいかにクリアするか。「こうした共通体験が大切なことは周知の事実です。ブレイクアウトセッションを設け、テーブル毎にQRコードを使った簡単な名刺交換なども考えています。また、食事に関しては所内併設のキッチンを活用しお弁当を配送する予定です」。

 日本クラブでは協賛金から、最前線で戦うニューヨークの医療現場へと毎日4施設、合計260個のお弁当を提供し続け、今では14もの施設から要望が寄せられている。「我々の感謝を伝えるだけではなく、世界からも評価の高い日本食を広めていくという意味でも意義ある活動だと信じています。今後も試練が続くことに変わりはありません。しかし、ポジティブな面を捉えれば、旧態依然としていた状態を一気に改革する良いタイミングとも言えます。私の長年に渡る駐在経験での喜びや苦労、それを乗り越える方法などお役に立てる領域もあるでしょう」。前田さんが想い描き、創り上げる社交クラブ〝日本クラブ〟の未来が楽しみだ。

《企業概況ニュース》2020年 9月号掲載