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労使間の守秘義務契約にまつわる話 ②
《HRM PARTNERS, INC.》

人事・備忘録 第四回
労使間の守秘義務契約にまつわる話 ②
《HRM PARTNERS, INC.》

今号の「人事・備忘録」は、前号に続き、労使間における守秘義務契約を取り上げます。

 前号では、たとえエンプロイーハンドブックなどの企業ポリシーの中で「情報守秘」を謳ったにせよ、それのみでは情報群の社外流出の防御策には足り得ない。理由は「一企業内の従業員が共有する社内の情報」=「周知された一般的情報」と受け取られる傾向の為です。然るに、機密扱いにする情報の種類や分野および守秘範囲をできるだけ絞り込み、職務ポジション毎に異なる守秘義務契約を交わすことで、その機密情報の特異性および機密の必然性を知らしめるべきであることをお伝えしました。但しそんな中、内容の異なる守秘義務契約を部門毎や職務ポジション毎に特化して交わすことで逆に別の問題を助長してしまうことにも触れました。

 ところで皆さんはNLRA(法)と言う法律をご存知でしょうか。NLRAとはNational Labor Relations Actの略で一般の方や一般の企業には馴染みがないかもしれませんが、Labor Union即ち、従業員(労働者)達が労働組合を組織する権利ないしは労働運動を行う権利を保護する法律であり、「労働者は、自身の就労条件や待遇を改善させるべく、団結して労働運動を行う基本的権利を有する」というものです。

 本題に戻りますと、冒頭で説いた、各々の職務ポジションに特化して例えば「あなたが、あなたの会社で立場上あるいは当該職務ポジションに就いていることで、知り得た情報や生じた情報の共有は関係者に限定され、たとえ社内の同僚であろうと、みだりに口外してはならない」との文言は、かつては米国中の大半の企業の守秘義務契約書内に記述してあった守秘条件なのですが、この「同僚であれども知るべき立場にある関係者以外への口外禁止」がNLRA(法)による「就労条件や待遇を改善させるべく従業員達による保障された団結権」を侵害する行為だと、NLRAを司る米国連邦政府独立機関であるNational Labor Relations Boardがみなしてしまったことから、近年、このような守秘義務契約の内容がNLRA違反の可能性を問われることになってしまったのです。

 従って、もし皆さんの会社が未だにかなり古い守秘義務契約書を使っているようであれば、これを機会に、NLRA(法)に抵触しないように計らいつつ内容の見直しを行うことをお勧めする次第です。

 

上田 宗朗
HRM PARTNERS, INC.
mueda@hrm-partners.com
※企業概況ニュースにて「人事・備忘録」を連載中

《企業概況ニュース》2021年 12月号掲載

 

人事・備忘録:第一回 Ban the Box(法)
人事・備忘録:第二回 Salary History Bans : 給与履歴照会制限法にまつわる話
人事・備忘録 第三回 労使間の守秘義務契約にまつわる話 ①
人事・備忘録 第四回 労使間の守秘義務契約にまつわる話 ②

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