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新しい分野の植物性代替肉にも注目
《ニューヨーク・ミューチュアル・トレーディング》

和牛と日本酒だけじゃない!
新しい分野の植物性代替肉にも注目
《ニューヨーク・ミューチュアル・トレーディング》

ニューヨーク・ミューチュアル・トレーディング
シニア・バイスプレジデント
中西 亜美 さん
https://nymtc.com

 

 

 

※この記事は、2021年12月に取材・執筆されたものです。

 

 コロナ感染拡大による非常事態宣言が発令され約1年半が経過した。レストラン店内での食事が不可とされた状況下、厳しい状況に追い込まれてきた。こうした外食産業に食材や食器などを卸すディストリビューターにとっても過酷な時期であったことは想像に難くないが、これを機に各社が工夫を凝らし、新たな動きもでてきている。今回は、現在の飲食業界についてのトレンドについて、ニューヨーク・ミューチュアル・トレーディングの中西亜美シニア・バイス・プレジデントにお話を伺った。

 

画面を通じての商談が増加

 2020年4月から社内ミーティングはもちろん国内外の打ち合わせや商談、セミナーなどの全てがオンラインで行われるようになりました。それを機に、コロナ以前は年に1、2度の来米時に商談をさせて頂いていた食品メーカーの担当者様とも、画面を通じてではありますが、より頻繁にお話する機会に恵まれ、これは非常に良かったのではないかと考えています。

 ただ、毎年開催しているレストランEXPOに関しては、去年、今年とバーチャルで開催することになり、普段なかなかお会いできない方と気軽に交流できるメリットを感じた反面、その場でなくても後々録画を見て済ませられてしまうというデメリットから、やはり食のイベントはインパーソンでなければ味わえないライブ感や臨場感が必要だと改めて感じました。

コロナ禍で生まれたゴーストキッチンが定着

 コロナ禍では、テイクアウトやデリバリー、アウトサイドダイニングの充実化など、飲食業界にも大きな変化がいくつも生まれました。中でも、実際の店舗を持たず、空いているキッチンを利用して料理を調理し、ウェブサイトを通じて販売するビジネスモデル「ゴーストキッチン」が、2020年から急速に増加しました。ワクチン接種率が上がり、ダイニングアウトできるようになった現在も、テイクアウト文化は定着し、一時に比べて落ち着いたものの、引き続き好調をキープしています。

 また、最近では高級レストランや専門店が増えており、毎月のように売り上げレコードを更新しているお店もあるようです。ロジスティックや人材不足の問題によるサプライチェーンの悩みはあるものの、市場は好調だといえます。

和牛と日本酒のバラエティ

 以前と変わらず、和牛と日本酒の人気は非常に高く、日本からの輸入量は増え続けています。弊社では宮崎牛を中心に取り扱っていますが、市場では日本各地の和牛が取引され、また部位も、これまでのストリップやリブアイという2大部位だけでなく、様々な部位に注目が集まっています。ランクもA5に加えて、A4、A3グレードの和牛が取引されバラエティが格段に豊富になりました。ただ、先ほどお伝えした通り、コンテナ不足から、日本酒が予想以上に届いておらず、入ってはすぐに売り切れてしまうという状態が続いています。日本酒に関しては、全米的にニーズが高まっていることを実感しています。

ミシュランシェフにも和包丁が大人気

 日本調理器具への関心も高まっています。特に「和包丁」に関しては、日本食レストランのシェフに限らず、アメリカの非常に有名なミシュランシェフも、好んで使ってくださっています。弊社では、マンハッタンの45丁目で日本調理器具を販売するストアを運営しているのですが、毎日たくさんのシェフが来店され、熱心に包丁の説明を聞いたり、包丁研ぎの依頼をされたりしています。おそらく、日本食シェフよりも、日本食レストラン以外のシェフが来店される方が多いのではないでしょうか。他国製の包丁と比べても繊細で、常に高い人気を保っています。弊社では「高村」という福井県の有名な包丁を取り扱っているのですが、多くのシェフが「高村」を目当てに来店されます。ここでの交流をきっかけに、レストランのキッチンを訪れ、ラインクッカーに使い方や包丁の研ぎ方を手ほどきするなど、色々な広がりがある良い商材となっています。他には備長炭なども密かに人気で、備長炭を使うグリラーなども一緒に売り上げを伸ばしています。

MCTキッチン・ホーム・ニューヨークをスタート

 コロナ初期は本当に大変でした。弊社ではレストランへのフードサービスがほとんどでしたので、コロナ禍で小売りが好調でも、カバーできるものを持っていませんでした。そこで昨年6月から始めたのが「MCTキッチンホームニューヨーク」というホームデリバリーサービスです。普段皆さんが購入されているものよりもサイズが大きいコストコ的なイメージで、小さめの冷蔵庫が一般的なニューヨークでは難しいところもありましたが、これを機に一気にホームデリバリービジネスが増加しました。競争の激しい分野なので、今後の展開は検討中です。ただ、もう少し続くかと考えていた大変な時期が、2月頃を境にだいぶ持ち直し、3月には対2019年対比で同じくらいの売り上げ水準に戻ってきているので、様子を見ながら進めていこうと考えています。

コンテナ不足による市場への影響

 現在の悩みは、コンテナ不足の問題です。その影響で船賃や航空運賃も高騰し、市場価格も高くなり過ぎた超インフラ状態になってしまっています。ニューヨークに限っていえば、キャッシュでコンテナを引いてきて、商品を安価で販売する中華系ディストリビューターがあるのですが、昨今のコンテナ不足で彼らもコンテナを引いてこられず、一部のキャッシュが豊富な所や、大規模な所にしかコンテナが回らない状態です。いわゆる安売りをするサプライヤーがいない状態なのも、価格が高騰し続けている一つの理由だと思います。レストランの皆さんも、モノがなければ商売になりませんから、今は仕方がないと高値でも購入いただいています。コンテナがこれまでの3倍以上の価格になり、それがそのまま市場価格に反映している今、いつコンテナ価格が下がってくるのかがキーになります。

 このコンテナ不足は、来年春以降に緩和してくると考えていますが、景気もこのまま好調な状態が続くとは思えないので、来年第2四半期以降は違う方向に動くかもしれない。そういう意味でも、フードサービスだけではなく、小売やECの軸も強化させていきたいと考えています。

アジア発のプラントベースドミート(植物性代替肉)の拡充

 今後チャレンジしたいのは、B to B向けの「プラントベースドミート(植物性代替肉)」領域です。グロッサリー界ではインポッシブルバーガーやビヨンドミーツなど、すでにたくさんの商品が世に出ていますが、日本でもインベスターが植物由来の代替肉分野に投資をし、この数ヶ月だけでもたくさんの商品が登場しています。こうした代替肉を使った牛丼や餃子、唐揚げなどに注目しています。肉市場は間違いなく伸びていますし、今後の成長も期待できます。

 さらに、環境対策を意識したフレキシタリアンの増加などもポイントで、これだけ注目を集めていれば、近いうちに必ず無視できない存在になると思っています。とはいえ、まだまだ火が着いた状態とはいえませんので、開発メーカーさんと組んでイベントを開催し、ベジタリアンの方々の意見を聞きながらメニューを開発していきたい。

 現在は台湾発のものなどが商品化されていますが、日本発商品も2022年以降に市場に出回り始める予定です。メインの商材にはなり得ませんが、〝環境対策〟というキーワードに対し、いち早くアプローチできる体制を整えていきたいのです。

 日本には良い商品がまだたくさんあるので、北米市場にそういった素晴らしい商品をどんどん持ってきたいです。ただ、意外にも海外に興味がないメーカーが少なくないということ、また、北米で展開したくてもすぐに持ち込める訳ではなく、パーミット取得や諸手続きを踏まなければなりません。更に良い商品を持っていても、企業規模が小さかったり、生産ロットが国内で精一杯といった事情で壁にぶつかることもあります。そのうえで、こうした良い商品を本気で世界で勝負したいと考えている企業と組んで、アメリカで紹介していく役割を担えればといつも考えています。

《企業概況ニュース》2021年 12月日本食レストラン号掲載

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