Home > Featured > 連載④ 会議は4つのPで準備せよ
《ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ》

 いよいよ「会議編」の最終回です。ケンブリッジでは、会議を成功させる(終了条件を時間内に満たす)には、十分な準備と訓練が必要だと考えています。会議における合意形成の積み上げが変革プロジェクトの成功に直結するので、会議の失敗はプロジェクトの致命傷になりかねないのです。

 会議に必要な準備項目をケンブリッジでは「4つのP」と呼びます。今回はひとつずつご紹介していきます。

.Purpose(目的)

 会議の目的とは前回(第三回)詳述した「終了条件」のことです。「参加者がどういう状態になったら会議が終了か」を示すもの。まず会議における終了条件を考えるところから準備を始める、と覚えてください。

.People(参加者)

 終了条件を決めたら、その終了条件を達成するための議論に必要な人が誰かを考えましょう。よくある例に、反対意見を持つ人を「あの人は反対するから」とあえて呼ばないケースがありますが、これはNGです。きちんと議論をしてお互い納得のいく解に辿り着かなければ、後でお互いに困るからです。反対意見、大いに結構。その人の意見を傾聴し、その意見の裏にある意図や想いをきちんとその場にいる全員が理解することが大切です。

 また「とりあえず呼んでおく」というのも極力避けるべきです。議論に参加しない人がその場にいるだけで(高い役職であればなおさら)活発な議論を阻害する恐れがあります。

.Process(進め方)

 参加者が決まれば、進め方を検討しましょう。進め方とは、アジェンダ(議題)、所要時間、そこで決めたいこと、です。アジェンダの立て方や順番にも、例えば下記のようなコツがあります。

① 前回の会議から長期間空いているなら、冒頭でこれまでの経緯を要約して参加者に伝える。
② あるアジェンダのアウトプットが次のアジェンダのインプットになるように並べる。順番を間違えるとうまく議論できなくなることも。
後で時間が足りなくならないよう、全員が早々に合意形成できそうな議題を先に持ってきて、重めな議論はメインディッシュに取っておく。

 Purpose、People、Processと、考えることが無数にあり悩みがちですが、そんな時は参加者の発言しそうなこと、疑問に思うこと、不満を書き出してみましょう。「きっと〇〇さんはここで反対意見を言うだろう(から、理論武装はぶ厚めにしよう)」「いきなり課題をあげてくださいと言われてもみんな面食らうだろう(から、これまでに集めた課題を呼び水的に一覧化しておこう)」など。

 それでも進め方に悩む場合は、ケンブリッジで推奨している会議の種類ごとのアジェンダ王道パターンをご参考ください。

 

.Property(必要なモノ)

 ここまでくれば、あとは必要なモノをリストアップしましょう。会議室だけでなく、議論で使うアイテム(参加者に書いてもらうペンと付箋など)も大切です。ウェブ会議の場合、開催URLや意見表明手段(チャット機能など)の準備も忘れずに。

 頭の中で参加者が終了条件に向けて活発な議論をしている状況がイメージできれば、準備が進んでいる証拠です。「そうは簡単には進まない」という意見もありますが、だからといって準備を怠れば、会議中に発生する不測の事態には到底対応できません。

 最後に、ケンブリッジでは、会議の準備シート(Preparationを略して「Prepシート」と呼んでいます)を作ることを推奨しています。順に埋めていくことで会議の準備を進められるフォーマットになっています。弊社ウェブサイトからダウンロードできますので、ぜひご活用ください。

https://www.ctp.co.jp/strong_point/facilitation/useful_contents/

 さて、第2回から第4回の「会議編」では、自分が変わることで始める変革のコツをお伝えしてきました。次回からは「ワンチーム編」として、周りに変化をもたらしていくコツについてお伝えしていき
ます。

 

 

《執筆》
ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ
飯田 邦彦(いいだ・くにひこ)さん

2012年ケンブリッジ・ジャパン入社。コンサルタントとして大手製造業の人事システム刷新やグローバルIT展開、老舗アパレル企業のIT構造改革などに従事。2021年7月よりケンブリッジUSへ赴任し、顧客のグローバル展開をプロジェクトマネージャーとして支援している。

ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズは在米日系企業の業務改革、IT戦略立案、DXに必要なコンサルティングサービスを提供しています。あらゆる変革の立ち上げから導入までを円滑に進める方法論とバイリンガルファシリテーションを武器にプロジェクトを成功に導きます。日本では6年連続「働きがいのある会社」TOP10に選出されています。

http://www.ctp.com

《企業概況ニュース》2022年3月号掲載

 

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