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《SUMCO》

高性能ウェーハ「エピタキシャル」で 業界トップを走る
《SUMCO》

SUMCO
SVP(Engineering Technology, Quality, EHS, IT)
塩多 孝明 さん
www.sumcosi.com

 信越化学(日本)、グローバルウェーハズ(台湾)、シルトニック(ドイツ)、SKシルトロン(韓国)といった大手シリコンウェーハメーカー群がひしめく中、世界シェア第2位、特に高性能ウェーハ「エピタキシャル」領域において業界トップを走るSUMCO。業界のトレンドや半導体不足の現状などについて、SUMCOフェニックスでSVPを務める塩多孝明さんにお話を聞いた。

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デザインルールはnm(ナノ)世代へ

 1990年代半ばからの半導体摩擦で、多くの日系半導体デバイスメーカーが北米進出を果たした。それに追従する形でシリコンウェーハメーカーも米国でのビジネスを開始し、買収や合併が繰り返される中でSUMCOも誕生した。現在はアリゾナ州フェニックスとニューメキシコ州アルバカーキの2製造拠点で、200ミリのシリコンウェーハ製造とエピタキシャルのシリコン成膜を行う。

 シリコンウェーハとは、あらゆる電子部品の基盤となる半導体製造に必須の材料。地球上で2番目に多い元素「珪石(けいせき)」を精錬・精製し、その多結晶シリコンを単結晶にして加工することで、「200ミリ」「300ミリ」といった超平坦・超清浄の円板形に仕上げていく。半導体デバイスの製造技術(半導体プロセス)の世代を示すデザインルール指標では、現在の最先端は「5ナノ」レベル。ウェーハの大きさは1990年代の直径200ミリに変わり、300ミリが2000年代半ばに主流となり、当時の配線幅90ナノから段階的に狭小化が進み、これまでに10世代の進化が遂げられた。

シリコンウェーハ

 「狭小化が進むことで、1枚のウェーハから取れる半導体の数も増え、加えてチップのサイズも小さくすることが可能となります。消費電力削減や動作速度の高速化にも繋がり、この300ミリのシリコンウェーハからいかに多くの高性能半導体を取れるよう改善するかといったことが現在の業界トレンドとなっています」と塩多さんは話す。

様々な要因によって引き起こされた〝半導体不足〟

 ここ最近、半導体不足やそれに伴うシリコンウェーハ不足が課題とされ、関連各社の動向に注目が集まっている。5G登場による通信機器やコンシューマーエレクトロニクス需要が高まり、そこにコロナ禍によるPCや電子機器といった巣篭もり需要が加わり一気に半導体不足という状況に陥った。追い討ちをかけるように、テキサスの大寒波などの自然災害やいくつかのデバイス生産工場の火災事故が重なったことで現状に至っている。

 しかし、先端工場建設には莫大な資金が必要となる。半導体デバイスメーカーも「メガファブ」と呼ばれる巨大工場を建設する傾向が顕著で、それに対応する規模の工場建設となれば、一棟で数千億円の投資が必要となる。2008年直前の半導体ブームで多くのシリコンウェーハメーカーが増産体制を整えた時、リーマンショックにより市場が一気に冷え込んだ苦い経験も、投資に慎重な理由だ。

 また、この需給のバランスが崩れた際に半導体ウェーハ価格が暴落し、次の投資を行うだけの利益を生み出す体制を整えられずにいた。次世代高性能デバイス用のシリコンウェーハ工場建設には、シリコンウェーハの価格改定が不可欠だったと塩多さんは業界の現状を説明する。

 半導体業界は景気の波が激しい。好調な時は良いが、落ち込む時には一気にマーケットが消滅することもある。シリコンサイクルは、オリンピック周期と同じと言われてきたが、現在ではその周期が少し短く、緩やかになった。その理由の一つに、シリコンウェーハを必要とする半導体デバイスメーカーが淘汰されたということが挙げられる。基本的にシリコンウェーハ需要は、パソコン用CPUなどの計算回路を作る「ロジック」と、DRAMや記憶装置などの「メモリ」の2つに大別される。メモリ分野では、DRAMで韓国のサムスン電子とSKハイニックス、そしてアメリカのマイクロンテクノロジーの3社で95%以上、NANDではこれにキオクシア(と合弁のウェスタンデジタル)を入れた4社で市場の90%以上を占める。また、ロジック分野においては最先端の5ナノで量産できるメーカーは台湾のTSMCと韓国のサムスン電子、それに少し遅れを取った形でインテルに限定され、その3社によって市場が独占されている。そのため、大きな価格競争が起こることもなく、市場の安定化が図られている。

 もう一つの大きな潮流としては、シリコンウェーハを活用する側のトランジスタ構造改革が進められているということ。これまで2次元の平面上で作られていたデバイスの3次元化が進められ、情報量の増大、情報処理スピードのさらなる高速化が図られているという。シリコンウェーハ上には電子回路が転写されるため、その凸凹がデバイスの性能に大きな影響を及ぼす。当然、シリコンウェーハメーカーへの要求も厳しくなり、より細かな線幅への対応が要求され、今後もその傾向は継続していくだろうと塩多さんは見る。

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広大なアメリカの魅力を感じる

 フェニックスに赴任して2年半が経つ。コロナの影響でなかなかアメリカの広さを感じられずにいたが、昨年の感染者減少を機に、イエローストーン国立公園やグランドティトン国立公園などにドライブに出かけた。「国立公園ではありませんが、アリゾナとユタの州境にあるモニュメントバレーで見た神秘的な朝焼けは、こちらに来る前に思い描いていた西部劇のイメージそのままでした。コロナによる制限も解除され始め、人の往来も活発になってきましたので、ここから本当のアメリカの魅力を感じられるのだろうと期待しています」。

 

《企業概況ニュース》2022年4月号掲載

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