Home > Featured > 連載⑥ チームの成功と成長をもたらす黄色い旗
《ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ》

 前回に引き続き「ワンチーム編」の第2回目です。今回は「チームとして小さな失敗を許容しながら、それを大きな失敗にはつなげないような仕掛け」についてお伝えします。

 駐在員の赴任直後は特に、英語力が追いついていない・自分の専門外の業務等で、現地社員に助けを求める場面も出てくるでしょう。一方、現地社員は日本本社の意向確認・本社との交渉など、駐在員を頼る場面があると思います。

 チームとして大きな失敗を引き起こさないためには、失敗がまだ小さいうちに駐在員・現地社員の各自がアラートを上げ、チーム内でサポートし合うことが大切です。

 

 

1 イエローフラッグと、挙げやすくするコツ

 ケンブリッジでは「小さな失敗、困っていることを周囲に知らせる」ことを「イエローフラッグを挙げる」と呼んでいます。やることは「I could use some help./手伝ってもらえるとありがたいです。」をチームに伝えることです。しかし、自分が出来ていないと大声で言うのには抵抗がありますよね。そこで、イエローフラッグを挙げやすくするコツをお伝えします。

⑴ イエローフラッグを受け取る側が「イエローを挙げてくれてありがとう」と感謝すること。イエローフラッグにより、問題の早期発見と解決策の素早い実施が可能となります。

⑵ 駐在員・現地社員の各自にとって「イエローフラッグは成長への近道である」と認識すること。「困る→フィードバックをもらう→改善する」というサイクルを、イエローフラッグを使ってクルクルと回すことは、自己改善や成長に直結します。

⑶ 仕事を依頼する側が、相談しやすい雰囲気や場を作ること。「何か分からないことがあれば、いつでも相談して下さいね」と依頼時に必ず付け加えたり、オープンに何でも相談できる場を定期的に設け、各自の困っていることを意識的に引き出すのもオススメです。話すほどではないけれど、少し相談に乗って欲しいと言う場合であれば、SlackやTeamsなどチャット機能のあるツールを使ってカジュアルに話しかけられるようにするのも良いですね。これらはリモートワークでも使えます。

⑷ グラウンド・ルールに「イエローフラッグは早めに挙げる」を盛り込み、その心理的安全性を確保すること。(グラウンドルールに関しては、第五回の連載記事を参照)

2 イエローフラッグをタイミングよく挙げるには

 問題や作業の進め方を考え始めてから一定時間が経過しても先へ進まなければ、チームに相談しましょう。ケンブリッジには「20分ルール」というものがあります。最初の5分で考えて進め方がわからなければ、次の10分で自分が何をわかってないかを必死で考える、そして、最後の5分で相談相手と相談方法を決める、これで20分です。

 相談するためには、本人が何に困っていて、どんな答えを引き出したいかが明確でなければなりません。その相談の準備に多くの時間を使いましょう、という考え方です。

 以上、イエローフラッグの効果とうまく挙がるようになるためのコツについてお伝えしました。イエローフラッグは、チームとして大きな失敗をしないことにつながるだけでなく、各自の成長を促します。ぜひチャレンジしてみて下さいね。

 

《執筆》
ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ
ティンダル 玲子 さん

2020年ケンブリッジ米国法人入社。コンサルタントとして大手製造業のERP導入、グローバルロールイン/アウトに従事。SAP FI(財務会計)認定コンサルタント。米国・ドイツ・日本でプロジェクトを経験。在米歴8年(大学、大学院、ケンブリッジ米国法人)。米国人の夫・娘・猫と暮らすワーキングマザー。

ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズは在米日系企業の業務改革、IT戦略立案、DXに必要なコンサルティングサービスを提供しています。あらゆる変革の立ち上げから導入までを円滑に進める方法論とバイリンガルファシリテーションを武器にプロジェクトを成功に導きます。日本では7年連続「働きがいのある会社」Top 10に選出されています。

http://www.ctp.com

《企業概況ニュース》2022年5月号掲載

 

《連載》会社を変える!明日から使えるファシリテーション術
連載① 駐在員が苦しむ「結果が出にくい構造」
連載② 「決まったこと」と「やるべきこと」を確認する
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