国内外のインセンティブ旅行、表彰式等各種イベント・パーティー、各種会議アレンジから日系企業の出張手配・経費削減サポートまで包括的に提供するビジネストラベルマネジメント(BTM)の基盤と実績をもち、旅行を通してさらなるグローバルサポート続けているJTB USA。そんな同社が今、最も注力している新たな取り組みが「展示会出展企業のためのコンサルテーションと施工業務」。前準備、会期中の運営サポートのみならず、招待客のケアまでをワンストップで発注できるその内容を詳しく見ていく。
展示会が決まったら「施工と旅行」を同時にプロデュース
展示会サポートの提供をする旅行会社は探せばあるが、展示会に出展するにあたり、ブースのデザイン・設計・施工など全ての業務を外部業者に頼らず、自社内で対応できる所はほとんどない。ただ対応するのではなく、海外の展示会や業界に精通し、日本のビジネスの流れやサービスの質を把握していることも重要なポイント。それらがクリアになれば、これまで展示会に出展する際にかけてきた時間や手間、煩わしさは解消されると、同事業責任者のJTB USA滝沢さんは説く。
これまでも、ビジネストラベルMICE事業と称したミーティングやインセンティブ旅行、コンベンション、イベントの企画立案・実施や、関連旅券・ホテルの手配業務などを手掛けてきたJTB USA。さらなる取り組みとして、展示会業界で約20年のキャリアと、展示ブース施工の実績をもつトラバースさんによる展示会出展のためのコンサルテーションから準備、会期中の運営などすべてのステップを、旅行の手配に併せて〝ワンストップ〟でトータルにサポートする。
それでは、実際にどういった流れでプロジェクトを進めていくのか、トラバースさんにプロジェクトの流れと出展の際の注意点を聞いてみた。(図1参照)
① 規模によって多少の変動はあるが、ほとんどの場合は展示会の半年〜1年前から展示会に向けて「ヒアリング」を開始。ここで展示商材、規模、ニーズの確認。前回から改善したい点などもふまえてしっかり聞き込んでいく。「初出展する企業の注意点としては、ブースのイメージが明確になるようなサンプルがあるといいでしょう。目的は何なのかをはっきりさせることも大切です」と、トラバースさんはアドバイスする。
展示会出展が決まった時点で、旅行部門も同時に手配に動き出す。JTBが本来得意とする航空券やホテルの手配、トランスポーテーションにロジスティクス、VIPサポート、食事やパーティーの手配などもヒアリングと同時にスタートし、1ヶ月以内に完了する。
② ヒアリング後約1ヵ月かけて、デザインの「提案書」を作成。この時点で展示会も旅行も〝確定〟が必要になる。
③「補正・修正」のプロセスによっては、「決定」が出るまでに1〜2ヶ月かかることもある。この時点から旅行部門は、旅の出発までの間にオーダーの微調整に入る。具体的な内容の詳細打ち合わせ、オプショナルツアーやエクスカーションの手配を行う。
④「デザインの決定」および⑤「資材オーダー」。一度決まったデザインの変更は難しいため、依頼する側もきちんとしたイメージや目的をもつことが大事だ。資材のチョイスにおいて、コストを考慮したアドバイスをしたり、サンプルを用意するなど、2週間〜1ヶ月に一度ミーティングを行う。
⑥ 「申請・造作」。依頼を受けたもののイメージを確実にビジュアライズする。
⑦「会場設置」。展示会場における搬出入の規定など、アメリカと日本の展示会に関する規定の違いをしっかり把握し、展示会場においても万全のサポート体制を敷く。旅行部門に関しては、現地でのアテンドなどフレキシブルに対応していく。
JTB USAが選ばれる理由
さらに、そのサポート内容から、各分野のプロフェッショナルの5つ強みを深堀りしてみる。
安定したクオリティで信頼できる
日本のイベント業界と、東京のブース施工会社でキャリアを積み、日本人ならではの考え方や、仕事の仕方、クオリティの高さを熟知しているトラバースさん。展示会ブース施工のすべてに、日本のホスピタリティ精神を織り込み、それを自身のスタイルとして定着させている。日本語が堪能なこともあり、要望をきちんと理解してもらえることから、コミュニケーションの部分においても安心感がある。
豊富な知識と経験からのアドバイス
「すべてのブース資材と必要なツールは、一旦アドバンスド・ウェアハウスという指定の倉庫へ入ってから会場に搬入される規定があるため、そこからの運搬費(マテリアル・ハンドリング)を考慮し、なるべく軽量の資材を選ぶことが必要です」と、トラバースさんはアドバイスする。実際に、どういう資材が軽くて見栄えがよいかという相談を受けることも多く、そういった現地ならではの情報を盛り込みながら、的確なコンサルテーションを行う。中には、出展先の展示会リストを依頼してくる企業もあり、現地からのレアな展示会情報なども提供している。
現地での柔軟な対応
人が立ち止まってくれるようなブースを作ったら、そこに集まった人たちへの対応も重要。そのため、きちんと英語で対応できるバイリンガルスタッフを手配し、しっかり教育して配置することもある。また、現場で急遽印刷物を用意したいという顧客には、グラフィック類のデザインにも対応。日本のものを翻訳して、新しく作り直すこともある。
充実したネットワーク
トラバースさんは、長年のキャリアの中で、アメリカの展示会業界に強力なネットワークを持ち、なおかつ、パートナーとして一緒にやってきた施工会社は、トラバースさんが日本で体験した仕事の進め方、細部にも配慮した日本のクオリティを理解している。さらに、会期中に州を跨いだ移動がある場合なども、JTBグループの支店同士の連携でネイションワイドにサポートしていく。
旅行会社ならではのホスピタリティ
展示会場施工においても、旅行手配においても、「おもてなし」の精神や、「心地よさ」と「思いやり」といった日本人の心使いが行き届いている。通常のブース施工会社にはない、コロナの各種書類取得・検査等の手続きのサポートや、関連する最新情報発信も早い。
こうしたデュアルな側面から生まれた新しいサービスで、コストを抑えて効率よく展示会出展を成功に導いていく。

グローバル・ビジネス・ソリューションズ・ユニット
Head of Meetings & Events
滝沢 好直 さん

グローバル・ビジネス・ソリューションズ・ユニット
Director of Sales
トラバース・スチュワート さん
《関連記事》
JTB USAが提案する、 新しい〝展示会のスタイル〟(企業概況ニュース2022年2月号掲載)