
ディスコ・インターナショナル・インク
社長 大掛 勲 さん
https://www.discointer.com/ja/
https://www.applyesl.com/
https://www.umami-insider.com/
優秀なグローバル人財を確保したい日米の企業と、グローバルな活躍の場を希望する留学生やアメリカ人学生のマッチングを目的とする〝ボストンキャリアフォーラム〟。「日英バイリンガル」というキーワードで繋がる人たちにとって重要な就活インフラのひとつであり、2019年秋の実績では、参加企業241社、参加者数5609名と、その規模を年々拡大させてきた。
パンデミックの影響で2020、2021年はオンラインでの開催を余儀なくされたが、今年4月には、約2年ぶりとなるインパーソン(対面形式)でのイベントをロサンゼルスで開催し、11月4日、5日には恒例のボストンキャリアフォーラムもオンサイトで再開させる。7月1日付けで主催のディスコインターナショナル社の社長に就任した大掛勲さんに、今後の展望、そして新しいキャリアフォーラム構想についてお話を伺った。

2022年11月4日・5日には、恒例のボストンキャリアフォーラムの開催が予定されている。
3年で、他2つのビジネスを成長事業へ!
春のロサンゼルス+ 秋のボストン
今年で35年目を迎えるボストンキャリアフォーラムも、時代の流れに合わせてその形を変化させている。2度のオンライン開催を経て、〝採用時のミスマッチ〟や〝優秀人材に対するグリップ力の弱さ〟といったオンライン採用の課題も浮き彫りとなり、その良い面だけを残した新しいキャリアフォーラムの形が必要だと強く感じた。特に、エントリーレベルの採用が主流となるキャリアフォーラムでは、求職者の話し方や雰囲気といった〝ノンバーバル(非言語)〟な部分が重要な判断基準となり、直接会って目を見て話す空間が必要だと改めて再認識した。
オンサイトとなると、やはり開催エリアが重要となる。元々、ボストンキャリアフォーラムの1ヶ月前にロサンゼルスでもキャリアフォーラムを開催してきたが、直後のボストンキャリアフォーラムの知名度があまりにも強く、西海岸に住む留学生でさえも近場のロサンゼルスではなく、ボストンに飛ぶという状態が続いていた。しかし、〝春のロサンゼルス〟+〝秋のボストン〟とすることで、時期的にも地理的にも選択肢が増え、求職者は高い旅費を捻出する必要がなく、採用サイドも時代に合った新たな人材採用スタイルを検討できるようになるだろう。「コロナ前の状態に戻すのではなく、これまで1本だった軸足を少しだけスリムにして2本、3本と増やしていきたいのです。この2本目が春のロサンゼルスだとすれば、3本目が在米日系企業向けの〝人材紹介事業〟です」。
人材紹介事業において後発のハンデがあるのは否めない。ただ、同社がキャリアフォーラムから得る膨大なデータベースには、日本人留学生だけでなく、日本語を大学で学び、卒業後には日系企業で働きたいというアメリカ人候補者や、日本に留学中で帰国後には在米日系企業で働きたいという人も多く、これが同社最大の強みとなる。日本人留学生の紹介では、近年の就労ビザ取得の難しさから、コンピューターサイエンスやアカウンティング、STEM関連といった限られた分野以外でのマッチングは非常に厳しい状態が続いているという。
成し遂げたいのは、他事業の収益化拡大
新潟県柏崎市で、男三人兄弟の末っ子として育ち、兄二人が実家の稼業で身を立てていくのを見て、二人とは全く違った道を歩きたいと、住み慣れた地元を離れて世界に飛び出し生きていく人生を選んだ。引越会社に就職して留学資金をコツコツ貯め、UCデイビスに留学して経済学と統計学を修了した。そして、卒業後に就職先を決めたのも、このボストンキャリアフォーラムでのことだった。
リクルーティング事業がディスコインターナショナルを支える太い柱なのは間違いない。しかし、これからの3年で大掛さんが成し遂げたいのは、それ以外に手がけている2つのビジネスをしっかりと柱へと育てあげること。
その一つ目が、アメリカの大学や語学学校へ世界各国からの留学生を紹介する「ステューデント・リクルーティング」。展開するオンライン申込サイト「Apply ESL」では、6言語で作られたウェブサイトと16カ国語対応のアプリケーションフォームを駆使し、提携する国内170校へと留学生を供給する。これまでの紹介料制度に加え、広告宣伝モデルも導入するなど、形を変えながら収益力を強化していく。
そしてもう一つが、5年前に立ち上げた日本食レシピや食材情報を米国市場に紹介するオンラインメディア「Umami Insider」だ。また、日本各地からの上質な食品を輸入し消費者やフード関連事業者に販売するECサイトを運営。情報発信・物流・販売・販路開拓を一貫して行うとともに、主に非日系のB2B市場に対する卸売業を強化していく。
「これまであたり前であったことが、時代と共に形を変えていきます。その変化スピードにいち早く気付き、しっかりと歩調を合わせて成長していく。この感覚をビジネスといかに関連づけられるか───これが成功へのキーポイントだと考えています」。ここからの3年間でディスコインターナショナルがどのような変化を遂げるのか見届けていきたい。