Home > Featured > 連載⑩ 「隠れた抵抗」を見逃すな
《ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ》

 今回は「抵抗勢力編」の二回目です。いかに抵抗を早期に見つけ対応できるかが、効果的に抵抗勢力と向き合うポイントです。

1 時期によって抵抗との向き合い方は変わる

 変革プロジェクトには「立ち上げ期」「計画策定期」「施策展開期」があります。プロジェクトが進むごとに検討が具体的になり、関わる人たちもどんどん増えていきます。それに応じて、抵抗勢力の現れ方、向き合い方も変わります。

 図1は、各期の関係者、抵抗勢力との向き合い方についてまとめたものです。

 

図1 各期の関係者、抵抗勢力との向き合い方

2 隠れた抵抗を見逃すな

 「計画策定期」には、プロジェクトチームを結成し、本格的な検討を始めます。誰も答えを持たず手探りでプロジェクトを推進していくため、関係者が徐々にモヤモヤし始めます。

 こうしたモヤモヤは、最初は水面下でくすぶりがちです。特に、常に顔を合わせるわけではない関係者のモヤモヤは、なかなか表には出てきません。関係者本人ですらモヤモヤした次の瞬間「まぁいいか」と見過ごしてしまうほどです。しかしプロジェクトを進めているうちに、徐々にこのモヤモヤが火種となり、最後は爆発します。

 このモヤモヤを、ケンブリッジでは「隠れた抵抗」と呼んでいます。これをいかに見つけ出し、顕在化して手が付けられなくなる前に、真摯に向き合うか。これが極めて重要になります。

 「隠れた抵抗」を見つけやすいのは、何といっても関係者と相対している会議の中です。対面でもリモートでも、会議を進めながら、とにかく参加者を観察しましょう。違和感やモヤモヤが表情や態度に出ていないか確認し、少しでも疑問に思うような仕草があれば、すぐさま「何か違和感がありますか?」などと声をかけてみましょう。「そうですね、たいしたことではないんですが…」と違和感を言語化してもらえれば大成功です。仮にこちらの勘違いで、参加者が何も違和感を持っていなかったとしても「きちんと違和感を拾おうとしていますよ」という意思表示ができるので、これもまた参加者にとっての安心感につながります。

 図2は、違和感の現れ方の一例です。北米でよくあるケースは濃い黒の太枠で囲っていますので、ぜひ参考にして下さい。

 

図2 違和感の現れ方の一例

 会議中と合わせて、普段の雑談でも隠れた抵抗を見つけるように努めましょう。会議の場ではなかなか意見を言わないような人こそ、普段から雑談するようにしておくと、隠れた抵抗を検知しやすくなります。リモートですと、会議前の全員が揃うまでの待ち時間に雑談をしたり、会議の終わりにそれぞれの参加者に感想を話してもらい、その中から抵抗を検知するのがオススメです。こうしたアクションは、変革や議論の本質とは関係ないと脇に置かれがちですが、実行しないと、やがて抵抗が顕在化し、変革の大きな阻害要因となります。そうなってからでは遅いのです。

 さらに、関係者と顔を合わせる回数が増えると良いこともあります。心理学の世界では、話す内容や時間の長さより、話す回数を増やすほうが好感度を上げやすいのだとか。好感度が上がれば本音も引き出しやすくなりますし、プロジェクトの雰囲気も良い方向へ変わっていきます。隠れた抵抗を丁寧に拾い上げて、乗り切りましょう。

 次回は「抵抗勢力編」の三回目をお伝えします。

 

《執筆》
ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ
ティンダル 玲子 さん

2020年ケンブリッジ米国法人入社。コンサルタントとして大手製造業のERP導入、グローバルロールイン/アウトに従事。SAP FI(財務会計)認定コンサルタント。米国・ドイツ・日本でプロジェクトを経験。在米歴8年(大学、大学院、ケンブリッジ米国法人)。米国人の夫・娘・猫と暮らすワーキングマザー。

ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズは在米日系企業の業務改革、IT戦略立案、DXに必要なコンサルティングサービスを提供しています。あらゆる変革の立ち上げから導入までを円滑に進める方法論とバイリンガルファシリテーションを武器にプロジェクトを成功に導きます。日本では7年連続「働きがいのある会社」Top 10に選出されています。

http://www.ctp.com

《企業概況ニュース》2022年9月号掲載

 

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