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《スミス・ガンブレル・ラッセル(SGR)法律事務所》

2つのトレンドを捉え、適切な法的対応を施す
《スミス・ガンブレル・ラッセル(SGR)法律事務所》

 

130年の歴史を持つ、アトランタ発の総合法律事務所

Smith Gambrell Russell LLP
スミス・ガンブレル・ラッセル(SGR)法律事務所
ジャパンプラクティスチーム

パートナー弁護士
小島清顕(きよあき) さん

https://www.sgrlaw.com/practices/japan-practice-team/




 スミス・ガンブレル・ラッセル(SGR)法律事務所は、ジョージア州アトランタ発祥の、来年で創立130年を迎える老舗法律事務所。ニューヨーク、ロス、DC、シカゴ等、米国内主要都市9拠点、欧州にもロンドン・ミュンヘンの2拠点を置き、約300人の専門弁護士が世界中の様々な案件の解決に取り組んでいる。アトランタ発ということもあり特に製造業、サプライチェーン、及び不動産に関する案件に強く、事業買収や拠点設立、市場調査から土地選定、インセンティブ交渉にロビー活動など、日系企業が直面しがちな事案には全て対応できる。加えて各種専門弁護士が所内にいるため、通関関係・環境関係のコンプライアンス、税務関係やOSHAといった特殊な法的案件についても適切な解決策を見つけてくれる。

 アメリカの弁護士事務所には創設者の名前を並べた名称のものが多く、同事務所の名前も、スミス、ガンブレル、ラッセルと3人の創設者の頭文字が並ぶ。しかし、必要な時にすぐに思い出せるように、「〝寿司・ごはん・ラーメンのSGR法律事務所〟です」と笑顔で説明するのは、同事務所パートナーかつジャパンプラクティスチームリーダーの小島清顕さんだ。


 

国への投資とリショアリングの2つの波

 ここ数年、2つの大きなトレンドが顕著に見られると小島さんは言う。一つ目が、日系、中華系、韓国系、そしてドイツ系、北欧系企業を中心とした外国企業の米国市場への進出、製造拠点の設立だ。M&AやJV(ジョイントベンチャー)の世界中からの投資がアメリカに流れ込んでいる。その背景には、世界的な人材不足があり、北欧でもドイツでも製造拠点を移さなければモノづくりができない状況に陥っているのだと小島さんは説明する。

 もう一つの大きな動きが、〝サプライチェーンの見直し=リショアリアリング(オンショアリング)〟だ。これまで、アメリカ国内から中国や台湾、韓国、東南アジアへと業務や製造工場を移すオンショアリングが進められてきたが、それらをアメリカ・北米へ戻す動きが加速している。特に、半導体や自動車部品分野でその動きは目覚ましく、従来の「製造拠点」である南東部や中西部以外にも、最近はアイダホ州ボイジー近辺やアリゾナ州スコッツデール周辺、ネバダ州やテキサス州などのエリアも、まさにその波の真っ只中にある。

 こうした国際的な事案を文書化し、契約書化するためには、やはり経験豊富で信頼のおける法律事務所が必要となり、SGR法律事務所の存在感は年々高まっている。

 「世界中から資源を調達し、人件費の安い国で加工して世界中に売る〝グローバライゼーション〟の時代が終わりかけています。そこで投資対象となる先、安定性・将来性のある市場を考えると世界中にいくつもあるわけではなく、アメリカ・北米コンプレックスはその最優先候補として挙げられます。特に、日本、台湾、韓国、シンガポール、オーストラリア、ドイツ、北欧などにとっては、アメリカとの経済的な関係性構築が国政にとっても非常に重要であるため、更なる投資が行われることは容易に予測できます。また、アメリカ国内のベビーブーマー世代が大量リタイアする時代に差し掛かり、今までその方々が経営して来た無数の優良企業も、良い引受け先を探しています。そのような環境で、M&AやJV、各種融資交渉があちこちで繰り広げられているのです。数ビリオンから数十ビリオンという巨額案件が多かった2015年頃のM&Aと違うのは、最近のものは少し小規模な、5ミリオンから5ビリオン程度の、数人でやっている町工場や、数十人規模の中小企業が買収対象となっています」。

プロの音楽家としての顔を持つ弁護士  

 小島さんの地元は、神奈川県小田原市。7歳の頃から商社勤めの父親の転勤によりアトランタに移り住んだ。幼少期から習っていたピアノを皮切りに、サキソフォーン、ファゴットと音楽のある環境で育ち、自然と将来はプロのファゴット奏者を目指した。しかし、ただファゴットを吹くよりも、オペラ全体を管理することや組織管理などに興味が移り、ニューヨーク州のイーストマン音楽学校に進学すると同時に、ロチェスター大学で政治学と経済学も専攻する二重学位&三重専攻の道を選んだ。その後1年ほど楽団員として色々な所へ演奏ツアーをして回っていたが、その先々で交わされる契約書に弁護士を介して取り組んでいると、自分の方がもっとうまくできると思い立ち、今度は、音楽大学院進学と同時にインディアナ大学のロースクールに通い、JD(法学博士)を取得した。弁護士として活躍する現在も、ブロードウェイのミュージカルがアトランタ公演をする際には声が掛かり、オーケストラに加わってファゴットを吹く。

トランザクション以外にも、日常案件でクライアントサポート

SGR法律事務所ジャパンプラクティスチームのメンバー。右上段より下に川崎晋平(弁護士)、山崎真司(交換弁護士)、柿内さおり(マーケティング)。左上段より下に猪子晶代(弁護士)、木村勇人(交換弁護士)、レドヴィンカ亜希子(アドミ)。

 ウィズコロナのフェーズに入ったアメリカ。その結果として経営者たちが直面しているのが〝組織再編〟。リモートワーク導入や業務の自動化、人手不足や賃金の上昇により働き方も変わり、さらには業務形態の変更を余儀なくされた企業も多い。そんな中で、雇用契約の再交渉や雇用関係紛争、契約の不履行など、様々な日常の取り引きや雇用関連の問題が浮き彫りになっている。その状況について小島さんはこう語る。「組織再編は箱を置き換える事が多く、法的・人間関係等の複雑さは、さほどありませんが、雇用関係の調停、仲裁や訴訟、取引先と長期間締結されていた契約再交渉などは、相手がいる分ドラマがあり、色々手間ひま費用が掛かってしまうことが多いです。こうした在米日系企業様の経営者の方たちが抱える課題を一つひとつお伺いしながら、各社内状況や予算等も踏まえ、最適な解決策を一緒にご相談させて頂く活動も極めて重要な業務であり、日夜、皆様のお役に立てますよう、精進していきたいと思っています」。

 

 

  《企業概況ニュース10月号 vol.286 掲載》

その他の《今月のひと》
・ディスコ・インターナショナル・インク 社長 大掛 勲 さん
Kiddleton, Inc. 社長 伊与田 篤さん

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