アビーム・コンサルティング（USA）リミテッドディレクター 村山 岳広 さん www.abeam.com
まだ、実力を伝えきれていない
非日系層へアピール
〝日本らしさ〟が最大の強みとなる
日本発・アジア発のグローバルコンサルティングファーム「アビーム・コンサルティング」。金融部門であるFSI（ファイナンシャル・サービス・インダストリー）の米州トップとして、2023年4月に村山さんが着任した。
2014年にFSIがグローバル展開を本格化させて以来、インドやシンガポールをはじめとした東南アジアや欧州など10ヵ国以上の金融業界の現場を見てきた。金融業界と言えば、欧米が優れているというイメージを持つ人が多いが、世界各国の金融事情を知る村山さんから見ると、まだ一定のポーションを持っている〝円〟の存在感は小さくない。加えてきめ細かな〝日本らしさ〟は世界に類のない強みだと言う。「強みに自信をもってビジネスをしていくことで、その価値はさらに大きくなっていくと思っています。アメリカだからと米系と同じことをする必要はありません。たくさんある日系の強みを分析・認識し、それをビジネスにつなげていくことで、将来の成功が見えてくると私は考えています」。
AI等の最先端技術は
コスト削減のためだけのアイテムではない
最先端ITツールを使った業務改革に飛躍の可能性を感じている人は多いだろう。一方で、リスクは冒したくないという気持ちから、導入を見合わせるという話もある。しかし、このスピードが求められる時代において、特に現在の動きの速い金融業界においては、「チャレンジによって得られるメリットというものが、頭で描くより遥かに大きいのです」と、村山さんは経営者たちに向かって村山さんメッセージを投げかける。
「AI導入を省人化やコスト削減のツールとしてだけ捉えるべきではありません。〝業務を強化するもの〟であり、前へ上へとサービスを高めていくためのツールとして活用していきたい。例えば、金融機関には現在のアセットについて、市場動向を分析しながら様々なシナリオを立て、リスクを測定する〝シナリオテスト〟というものがあります。AIに必要な情報を与えることで、人では思いつかないようなシナリオを描くことも可能です。こういったチャレンジ・スタディ・リトライを早いサイクルで回し、アウトプットを出しながら経験値を高めていくステップが必要です。計画策定や実行計画がアグレッシブに組まれ、他地域より早いサイクルで進むアメリカです。これまでの感覚を凝縮して取り組まなければ、あっという間に取り残されてしまいそうです」と村山さんは自らに言い聞かせる。
最終的には人と人との信頼関係
アメリカの多様性にも、村山さんはビジネスの可能性を感じている。他の国から来た人間が、しっかりとその土地に根差し、国籍も性別も関係なく、それぞれのスキルセットを持った専門家として業務を遂行している。多様性から発生するシナジーがアメリカにはある。こうした部分を見れば、〝日系企業のビジネスを支える〟というアビーム最大のミッションを守りつつも、まだリアルパートナーとしてのアビームの魅力を伝えきれていない非日系層へのアピールも重要になってくる。非日系企業支援の経験が、アビームのサービスの多様性を生み、それが日系企業へのさらなる貢献につながるという。 「受身ではなく、自分たちにできることが何かを伝えていく。これが、多様性が溢れるこの国ではより一層大切なのだと感じています。
〝Real Partner〟と〝Build Beyond as One〟──この２つが、アビームの掲げるスローガンです。発注者、受注者という垣根を超え、チーム一丸でプロジェクトを成功させていこうという意思を表現しています。当地のFSIチームは立ち上げフェーズを経て、次のステージへと進むタイミングに来ています。この一歩を進ませるのが私の最大のミッションですが、そこで最終的に大切なのは〝人と人のつながり・信頼関係〟だと思っています。今後も様々な方と、様々なお話させて頂きながら、皆様と一緒に成長を実現していく存在でありたいと願っています」
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鉄腕アトムのようなロボットが作りたいと大学では知識工学部に入学。ニューラルネットなどの情報処理を学んできた村山さん。昨今成長著しいAIなどの最先端技術を、いかに実務に活かし、顧客・社会貢献できるのか、日々ワクワクしながら考えている。
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