Home > Featured > 第一回 「駐在が決定してからの準備」

 企業の成功は人材にかかっています。特にアメリカに現地法人がある企業にとって、必要な時に最適な人材を迅速に送り込むことは、ビジネスを成功させる上で重要な鍵になります。このコラムでは六回にわけて、駐在員の着任前から帰任までの手続きについて、説明していきます。

 国際間の人事異動は簡単ではありません。単身で、或いは家族連れでの異動により、ビザ申請、引越し、家探し、お子様の学校探し、給与計算、米国での確定申告等々、あらゆる手続きが発生します。派遣される社員の負担はもとより、会社側においても膨大な資金、時間や労力が必要になります。

 海外赴任が決まると、会社側も派遣される社員も、必要な文書の準備やビザ申請、住宅や学校の手配、派遣国の文化や言語の研修など、さまざまな準備に追われることになります。今回は、駐在が決定した後の医療関係とビザ申請の準備における留意点について簡単に説明したいと思います。

 渡航前に行う医療関係の準備として、健康診断の受診、歯の治療、予防接種等があります。アメリカの医療は、世界的に見て高い水準にありますが、医療費、特に歯の治療費においては、日本と比べると高額になる場合が多いです。そのためできる限り日本で虫歯の治療、親知らずの抜歯、予防ケアなどをしてから渡航することをお勧めします。なお、持病がある方はかかりつけ医に英語での診断書の発行も頼んでおきましょう。子どもと一緒に海外赴任する場合は、現地校入学のためにワクチン接種証明が必要となることもあるので、事前に学校の規定を確認しておくとよいでしょう。

 ビザの申請・取得には2〜3ヶ月の期間が必要です。パスポートを新規申請してから受領するまでには1週間以上かかるので、余裕を持って申請しておきましょう。すでにパスポートを持っている場合は、残存有効期間が1年未満になると切替発給が可能ですのであらかじめ日本でパスポートを切り替えておくことをお勧めします。アメリカのビザには非常に多くの種類がありますが、アメリカ転勤で取得するビザは「Lビザ」もしくは「Eビザ」となることがほとんどです。ビザの種類によっては配偶者の労働が認められるものもあり、渡米の目的や職種などに応じて、適切な種類のビザを選ぶことが重要になります。

 次回は「駐在員が赴任地に到着してからの新生活に関わる必要な手続き」についてお話したいと思います。

 

“Learning never exhausts the mind.”
「学ぶことは、決して心をすり減らしたりはしない」
– Leonardo da Vinci

 

アイビー・ヴァンダイク (Ivy VanDyke)
CEO and Managing Director, DaVinci Global Mobility
Ivy.vandyke@davincigm.com

台湾出身。立教大学にてMBA取得後、日本通運総合研究所に入社。2005年に渡米、KPMG、EYを経て、DaVinci Global Mobilityを設立。豊富な経験と専門知識を持つトライリンガル(日本語、北京語、英語)で、スタートアップから、大中小様々な企業のニーズにあわせて駐在業務と、ビジネス全般のサポートを提供しています。ご質問等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

 

 

《企業概況ニュース10月号 vol.299掲載》

 

 

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