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Fisher Broyles LLP Masae Y. Okura, Esq. Partner 大蔵 昌枝 弁護士

マイノリティの弁護士としてできることを
Fisher Broyles LLP Masae Y. Okura, Esq. Partner 大蔵 昌枝 弁護士

「米国の高額な弁護士費用は、常にコスト削減を強いられている日系企業にとってはかなり厳しいものです。そこで、弊所では担当する弁護士が案件内容や地域を考慮して妥当なリーガルフィーを決めるように心がけています」。
大蔵弁護士のクライアントの95%以上が日系企業。事務所はアトランタにあるが、周辺のエリアのみならず、クライアントの拠点は全米に及ぶ。専門の移民法以外にも新規設立から雇用法、不動産法、倒産法、企業買収、知的財産、テクノロジー、その他ビジネス全般と対応分野は多岐にわたる。
弁護士の時給が毎年値上がりする大手事務所の常識を打開すべく、大蔵弁護士が籍を置くFisher Broylesでは、広範囲の専門性の高いリーガルサービスを合理的な料金で提供できるように、最新テクノロジーをつかって経費を最小限にとどめている。

「日本で仕事した経験から、法律の観点からのみではなく、職場における問題など駐在員の相談事はよく理解することができるんです」。
ビジネスにおける信条は『日米間のビジネス習慣や法律制度の違い、カルチャーの違い、複雑な人間関係なども考慮に入れた上で、法律アドバイスを提供できるよう、心がけている』こと。
大蔵さんが住む南部では、州レベルで不法移民取締法が可決されたり、マイノリティーの選挙権登録問題など、マイノリティに対する差別意識は根強い。アジア系アメリカ人法的擁護センター(AALAC=Asian American Legal Advocacy Center)の理事兼財務アドバイザーも勤めた経験もあり、人種差別については身近な問題として触れてきた。2011年にジョージア州やアラバマ州などで不法移民取締法が成立した時は、日系のメディアや領事館、セミナーなどを通して注意を呼びかけるなど、日系コミュニティ支援の活動も行った。

現在の関心事は、『二重国籍』について。駐在員から「日本への帰任後、子供が米国に残って就学を継続するにはどうしたら良いか?」「子供の日本への留学・短期就労で永住権を維持するには?」といった相談をよく受ける。
「海外で育った日本の子供たちは外国の言語や文化を十分に理解しています。本来ならば世界の舞台に立てる子供たちであり、長期的に見たら企業の優秀な戦力となり得る人材です」。しかしながら、現実には企業の人事政策は子供の学校のスケジュールを考慮していないために、学期修了前に駐在員が帰任になったりすることが多くある。そのために、帰国子女枠の条件を満たさずに、日本に帰ってから授業や受験についていけずに落ちこぼれてしまうという例もみてきた。

中にはアメリカの永住権を取得してアメリカで大学に進学する子もいるが、子供がのちに日本に留学・就職を希望する場合、国外での滞在が長期化すると米国永住権の維持が難しくなってくる。そのために、将来アメリカにもどる選択肢も確保するために、やむをえず米国市民権を申請する子も増えている。日本の将来の大きな力となる子どもたちが、日本に残りたいがために日本国籍を放棄しなければいけないという、このような矛盾した状況を日本の大きな損失と指摘する。日本も他の先進国のように二重国籍を認めるようになれば、国際センスを備えた次世代の育成につながるのだが、二重国籍が認められるまでには、兵役問題をはじめ対処すべき課題が多々あるようだ。

大蔵弁護士自身3児の母であることから子供の将来については自分の課題でもある。また、自身も日本、カナダ、中国などで生活しており、人種差別などの経験があったことから差別問題や不法移民取締法など人権問題などへの関心も強い。
「こうしたあまり表面化されづらい問題に対し、執筆などを通してこれからも積極的に取り組んでいきたい」と意気込みを語った。

 

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