【イリノイ特集: Interview】
モノから事へ。楽しいライフスタイルの提供
ラウリー オルガン カンパニ-
社長 今村 聖治郎 氏
河合楽器が1988年に買収し孫会社となる「ラウリー」は、1950年代から世界中で知られているホーム電子オルガンメーカーで、同市場では全米のトップシェアを誇る。USBやLEDライト導入など、最新のテクノロジーを取り入れつつ、その伝統的なデザインや長年続いている音楽教室の提供などはしっかりと受け継いでいる。全国の60以上のディーラーと契約を結び、約120店舗においてオルガンを販売しており、音楽プログラムの開発から修理やパーツ交換、ディーラーの販売サポートなどアフターサービスまで行っている。
「昨年まで競合がおりましたが、ホームオルガン市場から撤退してしまい、現在は独占です。
競合しているほうが業界全体が盛り上がり、良いモノが作れますので残念です」と話すのは、同社の今村聖治郎社長。1 9 8 5年に河合楽器に入社。1 9 8 8 年に音のエンジニアとして同社に出向し2003年に日本に帰任。2 0 0 8年に現在のポジションで米国の地に再び戻ってきた。「1980年代後半から90年代前半までこの業界が盛り上がった時期があり、その当時から弊社はトップシェアでした。現在、こうして生き残っているのもオルガンの販売だけでなく、買っていただいた後も楽しんでいただけるよう音楽プログラムの開発や教室の提供、そして、アフターサービスにも力を入れてきたからだと思います」と。
同社の顧客は、100%近くがリタイアした65 歳以上の高齢層で殆どが初心者。同社の提供している音楽プログラムでは、譜面も通常より大きく、音符に色分けがされており誰にでも分かりやすく学習しやすいのが特徴である。「第二の人生を楽しむため新しい趣味や生きがいを探している人が殆どです。同じ趣味を持った仲間と教室で一緒に学びながら楽しめます。楽しいライフスタイルの提供やサポートになっていると思います」と。
「情報やモノが溢れ、多趣味になってきたため、この業界がシュリンクしているのは否めません。今後どうやってエクスパンドしていくかがここ2、3年の目標です。現在、92%はアメリカ市場で残りは、イギリス、ドイツ、スイスです。近い将来、英語圏であるオーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、シンガポールを開拓したいと考えております」。自身のイメージトレーニングのため、オフィスの壁に世界地図を貼っている。今後も今村社長のジャーニーは続く。
企業概況ニュース9月号掲載