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米国実務最前線:実戦からのアドバイス〜一斉捜査対応(その2)

企業不祥事と闘う
米国実務最前線:実戦からのアドバイス〜一斉捜査対応(その2)

「先生、何も記録がありません」

ある国際的大手企業クライエントへの一斉捜査が入った後、その法務担当者から電話で「先生、至急対応についてミーティングをしたいのですが、捜査を想定してドラフト頂いたメモを含めて、何も書類やデータが残っていません」「どこまで話し合ったのかも分からないので、まずは記録を送って頂けませんか」と頼まれたことがある。

通常、弁護士のアドバイスが記録された書面については秘匿特権(attorney-client privilege)があてはまり、少なくとも当面は、捜査の対象からの除外を求めることが可能な筈である。 

したがって、捜査官に「この書面については持ち去らないで欲しい」(か、少なくとも「持ち去るにしても取りあえずは読まないで隔離して保管しておいて当方の弁護士と話し合って欲しい」)と要求すること出来る筈。 

しかしながら、通常の企業のファイリングの仕方では、この秘匿特権が当てはまる書面を、通常の書面と一緒に保存していることが多い。 そうなると、一斉捜査の際に捜査官に「このファイルについては全て置いておいて欲しい」とは、なかなか言えないのが現実である。
したがって、世界的企業であっても、弁護士との話し合いの記録まで持っていかれてしまう、ということになったりする。

事前に出来ること・データを分けて保存

このような事態を避けるには、日ごろから、弁護士との交信記録や弁護士のアドバイスが反映された書面やデータについては、別のファイルやフォルダーに保存しておくことである。

そうすれば、現場で捜査官に「簡単にチェックして貰えばわかる通り、これは全て弁護士との交信やアドバイスが記された書面のファイルやフォルダーである」「当方で保管しておくので、持ち去ることはやめて欲しい」と述べることが出来る筈である。

これは、その他の営業上センシティブなデータ全てについても言えることで、別々に分けて保存しておくことで、特に取扱いに注意して欲しいことがあれば、当局に要請することが現実的に可能となる。

「当局捜査対応プラン」

ここで述べた書面・データの整理もそうであるが、連邦や州の当局の捜査が入った場合に備えて、事前に「当局捜査対応プラン」を作っておくことが望ましい。

このプランに含まれる要素としては、(1)捜査緊急対応チーム(経営・法務(と弁護士)・広報)のメンバー選定と役割、そして連絡の流れの確認、(2)捜査当日の対応プランの概要(本コラムで述べられているような留意点)、(3)捜査直後の対応(次回以降のコラムで解説)、(4)事前のデータ保全等対策やコンプライアンス対応策、等が考えられる。

特に、捜査の当日や直後の対応は重要かつ困難であると同時にスピードも求められるので、大凡の概要の検討と内部教育がなされているだけでも、対応の出来が大きく変わってくる。

次回以降引き続き、捜査当日の対応(捜査の記録作り・従業員への指示)や捜査直後の対応について、更に実務的に解説する。

(米国訴訟弁護士 齋藤康弘)

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