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NHK コスモメディア アメリカ(テレビジャパン) 社長 滝口 健一郎 氏 テレビは「最後のライフライン」

テレビは「最後のライフライン」

NHK コスモメディア アメリカ(テレビジャパン)
社長 滝口 健一郎 氏

  November, 2014 Issue 「Kigyo Gaikyo News」

2020年の東京オリンピックに向けて、テレビを取り巻く環境が賑やかさを帯びている。現行のテレビ放送に比べ、映像や動画の解像度が高い4K、8K放送も、予定より4年早い2016年よりBSで試験的に始まることが総務省から発表された。

時代背景を反映させ、めまぐるしく変化するメディア環境にテレビ局はどう対応すべきか。視聴者の満足を求めて試行錯誤する日々であるが、そんな環境に身を投じられる自分は幸せであると、滝口氏は語る。科学番組を制作することに興味を持ち、NHKへの入社を決めた。以来、番組制作に約30年間関わり続け、N H Kコスモメディアの社長として、今年7 月にニューヨークに赴任した。

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「難しいと感じたのは、言語の問題です。英語スピーカーと日本語スピーカーが同居しているファミリーに対して、家族全員が満足できるサービスとは何か。映画放送には、なるべく英語字幕を付けるなどの対応をしていますが、それも万全ではありません。広大なアメリカの時差による問題もあります。ひとつのチャンネルしか持たない我々には、どの地域を軸にしてゴールデンタイムを設けるのかが悩みどころです」。

ネット媒体との関係性も課題のひとつ。全てのメディアに共通している悩みかもしれないが、スマートフォンやパソコンでテレビ映像を見ることが当たり前になりつつある今日、「テレビ」としての存在感をどう示していくか。ダイナミック感やスペクタルな世界観は、他の媒体では真似できない代物であり、情報と情感を伝えるには、やはりテレビが最適だと言える。しかし ネット媒体の存在は無視できない。今後どのように棲み分けしていくか。ライバルになるのか協力関係になるのかは、それはまだ手探り状態である。

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また、全米地方都市で開かれる日本人祭りにも積極的に参加している。直接、視聴者と交わる機会があまりないため、このようなイベント時には多くの人と触れ合い、視聴者の生の声を聴き、今、彼らが求めていることが何であるかを感じ取る。それが今後のより良いサービスへと繋がり、そしてテレビジャパンのプレゼンスを高めていく。

「テレビは『最後のライフライン』だと思っています。日本でN H K 編成局長を務めていた時、あの3・11の日を迎えました。

すぐに特別番組を編成したのですが、地震・津波に加えて原発問題があり長期スパンにまたがる災害であったため、どのタイミングで通常番組に戻すか、そのタイミングが非常に難しかったのです。被災地で生活する子供達の気持ちを想い、早めに幼児番組を戻しましたが、親御さんからはとても感謝され、貴重な体験となりました」。

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ネット環境が進み、あらゆるものから情報を取り出せる時代となった今日ではあるが、有事の時に正確な情報を得るために真っ先に飛びつくのは、いまだに「テレビ」である。米国で暮らす日本人にとって、日本の情報をリアルタイムに得ることができる24時間日本語チャンネル「テレビジャパン」の存在は心強い。

 

 

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