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NY NOW 展示会レポート

 2022年8月14〜17日の4日間、ニューヨーク州マンハッタンのジェイコブ・ジャビッツ・コンベンションセンターNY NOW 2022が開催された。毎年、夏と冬の年2回行われ、インテリア小物と生活雑貨の見本市としては北米最大規模となるこの展示会は、ギフト、アクセサリー、玩具、文房具など、様々なライフスタイルに合わせ、世界中から出展者が集まり、メーカー、デザイナー、バイヤーたちのコミュニティの中心的ハブとなっている。

 パンデミックによる休止期間を経て、収束した2021年の夏に復活。その後、22年の冬展を経て、3シーズン目にあたる今回から、受付でのワクチン接種証明書提示と会場でのマスクの着用義務がなくなったことで、平常運営に戻った印象。とはいえ、従来2フロア構成だった会場が、1フロアのみでの開催となり、一見、規模が縮小されているようにも見えた。その分、これまで階下にまとめられていたインデペンデントデザイナーたちが、メインのフロアに集められたことで目に止まりやすくなり、客足が増えたと喜ぶ出展者もいた。また、来場者からは、会場を回りやすくなり、端のブースまでしっかりチェックできるようになったという声も聞かれた。

 今回の展示会から、ライブイベントと、デジタルマーケティングに強いコンサルティングエージェンシーの「エメラルド(Emerald)」と、3,000以上のブランドを、2万6,000以上のオムニチャネル専門の小売業者と結びつけて成功を納めたことでも注目されるプラットフォーム、ブレティン(Bulletin Inc)が参加。NY  NOWコミュニティへのプレゼンテーションに関与し展示会を盛り上げた。2023年には、バレティンの起業家精神や、業界の専門知識、およびブランドと小売業者の広範な顧客基盤を吹き込むことをさらなる目標に、オンサイトにおいてお互いの顧客を紹介しあう計画もあるという。

 リテール部門のEVPのカラリン・スプラウスさんは、「2022年サマー見本市は、NY NOWが大きく変わりつつあるその過程で、まさに次のステップを象徴しています。バレティンとの相乗効果について話し合いを進めていく中で、チーム一丸となって一緒に展示会を盛り上げ、ブランドと小売業者が強力なネットワークや、より深い関係を構築していけることを非常に楽しみにしています」と話す。

 今回の見本市には英国、モロッコ、チリ、グアテマラ、エルサルバドル、ガーナ、韓国、インド、ベトナムの9つの国際パビリオンを含む35カ国以上から950以上のブランドとメーカーが参加。各パビリオンには、アパレル、家庭用品、アクセサリーなどが展示され国際色豊かなことも特徴的であった。また、米国に進出する日本のブランドを牽引するプラットフォーム「デコボコ(Deco Boko)」のブースがあり、さらにその中には日本の合同展示会プラットフォーム「エクストラプレビュー(EXTRA PREVIEW)」のセクションもあった。エクストラプレビューの主催者のひとり「ハイタイドUSA(Hightide USA Inc)」のCEO棟廣祐一さんは、「今後もどんどん日本のブランドの北米進出をサポートし、日本に進出を希望する海外ブランドもサポートしていきたい」と意欲を見せた。こうした、展示会プラットホームの中に、さらにプラットフォームを作ったり、プラットフォーム同士が吸収・合併しながら拡大する動きの中で、コミュニティ内で、さらなるBtoBの繋がりが構築されているのも、展示会の新たな傾向となっている。

 NY NOWインターナショナル・ビジネス・ディベロップメント・ディレクターであるインディラ・フランカさんも「NY NOWは、海外の顧客やパートナーからの強い反応とコミットメントによって自らを刷新します。私たちは、業界の立ち直りとグローバルな展開をリードできることを嬉しく思っています。国際社会が米国でのビジネスを拡大するのに合わせて、そのための場を提供し、業界の発展に貢献する準備ができています」と述べた。

 恒例の特設ステージには、ケーブルテレビ局「HGTV(Home &Garden Televison)」の人気ホスト、キースとエヴァンなど、多彩なゲストも登場。また、色々な分野の専門家によるパネルディスカッションも繰り広げられていた。ブース毎に企画されたドリンクが振る舞われるハッピーアワーでは、グラスを傾けて出展者とゲストが談笑する光景も見られた。定期的に出展しているブランドからは、来場者数は以前より少なかったが、新規客も多く、再営業を待ち侘びていた顧客に対しては、件あたりのオーダーの数量が増え、客単価は上がったという声も聞かれた。少しずつではあるが、見本市が活気を取り戻していることを実感できた展示会であった。また、NY NOWのオーガナイザーが、2022年の春に西海岸に進出し、来春にも開催を予定している展示会SF N OW(サンフランシスコ・ナウ)の今後の動向にも注目したい。

www.nynow.com 

写真提供:©NY NOW / ©HIROM YAMADA

《企業概況ニュース》2022年9月号掲載

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