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アイリスの ペット業界トレンドQ&A
《アイリスUSA》

「上から猫トイレ」はGlobal Innovation Awardを受賞

ヒットを生み出す
アイリスの ペット業界トレンドQ&A

《アイリスUSA》

 1997年から米国ペット用品市場に参入している家電・ハウスウェアメーカー、アイリスオーヤマの米国法人アイリスUSA。当時は日本からの輸入品を販売していたが、米国内需要の高まりを受け、間もなく国内生産・販売を開始。現在は、米国内4工場体制という強みを生かし、市場動向・消費者ニーズに合わせ、ユーザーの不満を解決する商品を展開している同社のメディアリレーションズ、豊原さんにお話を伺った。

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Q. この10年米国ではペットオーナーが増え、それに伴い市場規模も拡大していますが、御社のペット関連商品において、主

上から猫トイレ

力製品を教えてください。

米国では1997年よりペット用品市場に参入し、当時、犬小屋やハムスターケージなどの輸入販売をしていました。現在は、ペットサークルや高密閉性のペットフードコンテナ、ペット用トイレが主力製品となっています。

 

 Q. ペットブームを下支えしているのはミレニアル世代というデータが出ています。御社の米国でのマーケティング手法の例や、日米のトレンドの違い、パンデミックによる需要の変化を教えてください。

アメリカペット製品協会(APPA)の直近の調査でも分かる通り、ミレニアル世代のペットオーナーは全体の32%を占めます。更に、2020年代半ばまでに多くのZ世代が労働市場に出て、社会や市場に与える影響が大きいとされています。特にユーチューブ、フェイスブッ

ク、インスタグラムといったソーシャルメディア(SNS)との親和性が高いミレニアル世代、Z世代を当社では長期的なコアターゲットと位置付けています。

 昨今のパンデミック需要の影響もあり、米国での当社ペット用品事業は小売店販売よりもEコマースでの販売に大きくシフトしています。これは日本でも同様の傾向が見られ、ペット用品だけでなく、全体的な売上がEコマースにより大幅に伸びました。

 

ペットサークル

Q. 御社では近年、日米で大ヒットしたペット用品があるそうですね。どのような製品でしょうか。

2016年に日本市場に投入した「上から猫トイレ」は日本で大ヒットし、米国市場でも度々バズり、メディアにも多数取り上げられています。“猫砂”の飛び散り防止は飼い主を満足させるだけでなく、“上に登る・箱に入る”という猫の習性を考慮し、猫が安心して用を足せる設計デザインにしています。

 また、この製品は毎年シカゴで開催されるハウスウェアショー「ザ・インスパイアード・ホームショー」のコンペにてグローバル・イノベーション・アワード(ペット部門)を受賞しました。新しさ、見た目、ユーザーベフィット、エコ、市場に与えるインパクトやポジショニングの5つの評価項目があり、アイリスは毎年出展しています。国内外のバイヤーの方々が来場し、これを受賞すると市場やメディアでの露出も増えますね。

 

Q. 「上から猫トイレ」というネーミングの裏話を伺えませんか。

ペットフードコンテナ

アメリカでの商品名は「トップエントリー・キャット・リターボックス」で、開発チームによるとこのネーミングに関しては特に秘策はないそうです(笑)が、まず日本に逆輸入して販売しました。その際、直訳で「上から猫トイレ」という名前が付けられ、日本で火付け役になりました。

 

Q. アメリカでの商品名は意外と直球でしたが(笑)、どのような商品名がバズるのでしょうか。

どんな名称・キーワードならSEOに引っ掛かりやすいか、お客様が期待する商品コンセプト、イメージ、エンドベネフィットが想起できるか、リンクさせられるか、というのは常に考えています。アメリカ人のある特定層が知っているような代表曲の歌詞フレーズと商品をかけあわせたら、いきなりLikeが2000超になったり、反対に「これは良い!」と自分が思っていてもリアクションが薄かったりと、何が消費者の心に刺さるか予測できないことが沢山あります。ソーシャルメディアは遊び心やその土地の文化理解、流行に対する感度・知的探求心もエンゲージメントを上げる大切な要因ということを実感しています。

 

Q. 今後の米国ペット用品、ひいてはハウスウェア業界レンドをどのように考えていらっしゃいますか。

現在の取り巻く環境を見ると、巣ごもり消費は落ち着きましたが、インフレ傾向にある中でも需要は未だに底堅いです。しかし、米国内は業種を問わずワーカー不足で店頭欠品など需要に応えられていない状況です。それに加え、輸入においても海上輸送運賃の高騰やコンテナ港での渋滞が解消されず、今後もタイムリーな供給が厳しい状態が続くと思われます。

 その一方で、米国内生産の新商品開発には大きなチャンスがあると捉えています。「ペットも家族の一員、欠かせない存在」という考えが強いアメリカにおいても、アイリスオーヤマでは、飼い主とペットがお互い快適に過ごすための様々なソリューション商品・品質・新しい価値をエンドユーザーに提供してまいります。

 

IRIS USA
メディアリレーションズ [アリゾナ州サプライズ]
豊原 賢治 さん

ニューヨーク市立大学卒業。情報・調査会社ニールセンでの消費者分析を経験し、その後、家電・ハウスウェアメーカーのアイリスオーヤマに入社。マーケティング・開発部に所属し、家電、家具、プラ収納、ペット用品、食品、マスク・調理器具などのホーム商品の立ち上げなど幅広く担当。現在IRIS USAの広報活動に携わる。

 

  《企業概況ニュース》2021年 11月号掲載

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