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次のステージへ
《トモエ・フード・サービシーズ》

北米での「和牛」の価値を、
次のステージへ
《トモエ・フード・サービシーズ》

トモエ・フード・サービシーズ
社長 竹重 直樹 さん(写真左) / 営業 酒井 純平 さん(写真右)

https://www.tomoefoodservice.com/
https://www.wagyusupreme.com/

 

「アメリカのコロナ事情は少し落ち着いてきた感じがしますが、代わりに物価高騰の煽りで外食を控える傾向が強く、飲食業界は未だに苦しい状況を抜け出せずにいます。家賃や物流コスト、食材自体の値段と全てが跳ね上がり、こうした状況下でもしっかりと収益を上げられる仕組みを作らなければと、飲食店オーナーさんは皆、躍起になっています」。

こう話すのは、ニューヨーク州ハンツポイント食肉市場内で食肉卸事業を営むトモエ・フードサービシーズの竹重直樹社長だ。8 年前、市場内で調達した新鮮な食肉をニューヨーク市 5 ボローの日系レストランやリテール、スーパーマーケットへと届けるビジネスを始め、牛、豚、鳥、ラム肉の他、特に鶏ガラや豚骨、豚バラや背脂といったラーメン店向けの食材を多く取り揃える。また、日本市場向けに開発された「とうもろこし豚」を北米市場で独占的に取り扱うなど、他とはひと味違った食肉卸業社として注目をされている。

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生まれ育った南米パラグアイを20歳の時に離れ、日本で輪転機の操作や、研磨加工士として働いてきた竹重さん。2013 年に、同郷の彼女が渡米するのに合わせて自らもアメリカへ移住。ニューヨークの日系食肉卸店で 3 ヶ月アルバイトをし、翌年にはトモエ・フード・サービシーズを立ち上げた。5 件ほどの卸先から小さく動き出したビジネスは、その後口コミで顧客数を増やし続け、投資家との出会いをきっかけに一気に拡大路線へと舵を切った。

食肉卸という立場を活かし、スーパーマーケット「フロンティアマーケット」の経営、和牛専門レストラン「J-Spec」の経営など、食肉というフィールドでの存在感を高める。そんな中で、トモエ・フード・サービシーズが、今後力を入れていこうとしているのが「和牛」となる。アメリカでも比較的簡単に和牛が仕入れられるようになった。しかし、和牛に対する知識はまだまだ低く、せっかくの和牛の魅力が十分に伝えられていない。そこに勝機はあり、他とは違った形で付加価値を加え、和牛の知識を市場に与えていくことで、その立ち位置を一つ上のステージに引き上げていきたいと竹重さんは言う。

昨年、トモエ・フード・サービシーズに営業として加わった酒井さんも、その意見に賛同する。焼肉ふたごの駐在員としてニューヨーク店を立ち上げ、肉の一番美味しい食べ方には常に意識を置いてきた。そこで得た豊富な知識と経験、そして肉のカッティング技術は、顧客の和牛に対する知識を深めていくのに不可欠となる。加えて、海外進出時の苦労や北米市場の分析力といった飲食店経営者サイドの経験も豊富で、顧客の声にしっかりと耳を傾けながら、和牛の魅力を伝えていく。その中でたどり着いた一つの解が、より食べやすく、保管しやすくすれば、アメリカ人の和牛への興味は高まるというもの。トモエ・フード・サービシーズでは、今年度末の稼働に向けて、独自の食肉加工工場をハンツポイント食肉市場内に建設中だ。

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社名のトモエは、パラグアイを漢字表記のひと文字「巴」を由来とする。日系二世として、日本の「きめ細やかさ」と、パラグアイの「チャレンジ精神」をバランス良く兼ね備えている竹重さんは、「小規模だからこそできることがあるはずです。コネクションにも恵まれ、私たちのところには北海道から九州まで日本各地の和牛が集まってきます。まだ、確定ではありませんが、秋口には、北米市場初の松坂牛を仕入れる予定で、世界で 24 頭しか出ない松坂牛のうちの 3 頭が我々の元に届きます。こうした特別な肉を最高の状態で食べていただくためにも、皆様がその付加価値を求めて声をかけてくださるような食肉卸業社でありたいと思っています」。

《企業概況ニュース7月号 vol.282掲載》

 

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