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《オハイオ州ファイエット郡》

工場設立にともなう、 住宅開発ラッシュがやってくる
《オハイオ州ファイエット郡》

2022年10月、ホンダが韓国のLGエナジーソリューション(LGES)と、北米市場向けの電気自動車(EV)搭載バッテリーの工場を、オハイオ州ファイエット郡に設立すると発表しました。コロンバス市から南西に64キロほどのファイエット郡にあるワシントンコートハウス市では、投資家さんにご購入頂いた物件を、駐在員ご家庭向けに賃貸・管理のお仕事をしていますが、このニュースが出てからというもの、同エリアでの不動産市場が慌ただしく変化しています。

 例えば、ある賃貸契約が終わり次のテナントさんを探しはじめた時には、これまでとは比べものにならないほど多くのアプリケーションフォームがあっという間に寄せられました。また、このエリアで不動産を4軒ご購入されたジョージア在住の投資家さんから、物件管理とテナント付けをして欲しいというご相談も頂いたのですが、お話を聞いてみるとやはり、そのバッテリー工場設立による将来的な値上がりを期待した投資とのことで、安値の今のうちに購入に動かれたそうです。他にも、日系企業のHR担当者から連絡があり、このエリアの空き物件事情についての問い合わせも増えています。

 今年6月ぐらいまでに10数名の創業メンバーが、来年には韓国から50名、日本から10数名の駐在員が赴任予定と聞いています。さらに、生産設備の完成予定である2024年末までには、約2200名のアソシエイトが働き出すのですが、そこで課題となるのが、従業員たちが住むための住宅施設がほとんどないということです。現在は、カウンティで用意したコンサル会社を中心に開発計画が練られているようですが、まだまだ具体的な案はない白紙に近い状況です。2024年末完成予定ですが、アメリカの施工は遅れるのが常ですので、今年末ぐらいまでには何かしらの形が見えてくるでしょう。

 同エリアには、ホンダだけでなく、トヨタや日産など多くの自動車関連のサプライヤーさんが進出されていますので、しばらくは深刻な住宅不足が続くと思います。せっかく優秀な人材が海外や他州から集まってきている状況なのに住む家がない。行政サイドも街を成長させていかなければなりません。そのためには住宅、教育施設、スーパーなどの商業施設、魅力的なアートやエンターテイメントが必要です。こうしたものを供給できた都市は成長を続け、失敗すれば衰退して行きます。以前のコロンバス市がそうであったように、このワシントンコートハウス市を中心としたファイエット郡も、地価高騰を期待した投資家さんたちの注目エリアになる可能性は高いと見ています。

 こうした状況下、家探しや家賃の調整に苦労するのであれば、企業側でも考えを変えていくのが良いのではないかと感じています。具体的には、駐在者の不動産購入を認め、会社側で購入したいくつかの物件を運用し、それを駐在員社宅として提供するというものです。もちろん、今後の値上がり率や、駐在員の家族構成など考慮するべきこともありますが、ケースに合わせて物件を管理し、上手に運用することで解決できます。また、駐在員数を一時的に減らしたいといった時には、ローカルの賃貸需要を利用したり、売却を検討すれば良いのです。

 時代によって柔軟な対応が必要なのはどの業界も同じです。今、まさにオハイオ州には変化の風が吹いています。建設業界の皆さんには、もう一度このエリアの開発に参入する大きなメリットに気づいて頂き、またオハイオ州でビジネス展開をされている企業のHRの方々には、それらの不動産取得・管理により享受できるメリットを知って頂きたいと思います。

 

宮本 亜希子(不動産仲介士)
Founder of Niihongo-de-USA. LLC
電話:614-327-1938
akiko@nihongo-de-columbus.com
https://nihongo-de-USA.com

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