アラバマ州 ビジネスインタビュー ①
マツモトUSテクノロジーズ(MUST)
社長 東村 誠 さん
http://www.matsumotous.com/
サザン・ホスピタリティが南部の良さ
ポジショナー、ターンテーブル、マニピュレーターなどの溶接治具で日本国内80%のシェアを誇るマツモト産業が、アラバマ州ハンツビルにマツモトUSテクノロジーズ(MUST)を立ち上げて今年で17年目となる。北米市場で手がけるビジネスは大きく2つ。自動車産業に特化したロボットによる自動化の「インテグレーション」と、日系機械メーカーの補修部品輸入「MRO」となる。
近年、自動車関連や物流業界を中心に深刻な人材不足となり、そこにコロナが拍車をかける形で省人省力化の相談が急増している。オペレーターがモノをセットしてボタンを押し、溶接されたモノをオペレーターが取り出す。こうした一連の作業におけるオペレーターの役割も近年ではロボット化の流れが進んでいる。MUSTでは、こうした様々な自動化の要望に対応できるように、2014年にアセンブリ施設を設け、自動車産業の新しい動きをサポートしている。
また、日本から持ち込んだ機械を使用している日系自動車メーカーに対し、補修部品の調達や在庫管理などの業務を一手に取り扱う輸入商社的「MRO」もMUSTの重要な仕事となっている。「我々は、物品輸入販売もできれば、モノを設計して提案することもできます。この両面性が我々の強みの一つであり、ここから生まれるシナジーを膨らませていくこと───これが、さらなる強みになっていくのだと考えています」。
今でこそ、メルセデスベンツがタスカルーサに、ヒュンダイがモンゴメリーに工場を置き、ハンツビルではマツダ・トヨタの合弁会社(MTMUS)新工場の量産準備が着々と進むなど、自動車産業の集積地として注目を浴びるアラバマ州。しかし、17年前にはこの状況を予想することはできなかったと東村さんは言う。結果としてMTMUSから10分の好立地にMUST本社があり、同社の目指す〝お客様の近くで、気遣いある自動化マシン設計をする〟ことが実現でき、こうしたこともMUSTが顧客から大きな信頼を受けることに繋がっている。
東村さんのアラバマ生活も17年目。法律面も商習慣も、言葉も全く違う世界でがむしゃらに走り続けてきた。それでも、アメリカのビジネススケールの大きさやダイナミックな動きにはいつも驚かされ、そして刺激を受けてきた。「アラバマにはサザン・ホスピタリティが根付いて、本当に人が温かいんですよ。重いものを持っていれば手伝ってくれるし、何か困っていることがあれば必ず手を差し伸べてくれる。自動車産業の集積地として注目されることはもちろん嬉しいのですが、こうした南部の良さを皆さんにも知ってもらい、このエリアが益々注目されていくことを願っています」と東村さんは話を括った。