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サスティナブルプロダクツを世界へ
《TOTO USA, INC.》

「きれいと快適」と「環境配慮」を両立する
サスティナブルプロダクツを世界へ
《TOTO USA, INC.》

 

 

TOTO USA, INC.  
President & CEO 石川 秀美     https://www.totousa.com


 TOTO USAは1989年の設立以降、ウォシュレットを始めとした水回り製品の拡販に向け、様々な取り組みを行ってきた。地道なブランド認知向上活動、2017年頃からEコマース、小売店への販路拡大に加え、2020年に入り、新型コロナ感染拡大による衛生意識の高まりが追い風となって、その継続的な活動は一気に花開いた。2021年3月期決算において同社の米州事業は増収増益、中でもウォシュレットは前年を大きく上回って本格的な普及の入り口に立った。

 好調な米国市場を、TOTOグループ新経営計画「TOTOWILL2030」のもと、どう展開をしていくの今年4月に米国社長に就任した石川さんにお話を伺った。

コロナ禍で開花した米国市場

 TOTOは認知・体験の機会を増やすため、全米の有名ホテルに商品の設置を進めてきた。観光地、ワイキキでは多くのホテルにウォシュレットが採用されている。米国に3か所ある直営ショールームでの体験イベントや重要な販売ルートであkitchen&bathへ体験トイレの設置、ウェブサイトにおける「Where to buy」情報の充実、また、訪日時にも様々な場所で同社商品と接するようホテルやパブリックトイレに設置、国際空港で多言語対応のプロモーションを行う。こうしたカタログからは伝わらない使用者のリアルな声を広める地道で継続的な活動が、新型コロナ感染拡大による衛生意識の高まりに後押しされ、一気に販売台数を押し上げた。2020年度の売上高は前年比+13%、営業利益は+155%と大きく伸長し、商品別で
はウォシュレット販売台数が前年比約2倍と右肩上がりだ。

取り組むべきは、「きれいと快適」「環境配慮」を両立する
TOTOらしい商品の拡大

 2021年4月末に発表されたTOTOの新経営計画「TOTOWILL2030」では、グループ全体で取り組むべき課題として、「きれいで快適・健康な暮らしの実現」と「社会・地球環境への貢献」を掲げている。TOTOの高い技術力と近年のオープンイノベーションで「きれいと快適」と「環境配慮」を両立するサスティナブルプロダクツを世界中へ発信していく。「上下水道などのインフラや所得格差など各国の抱える社会の課題は違えども、目指すところは地球レベルで同じです。例えばTOTOの便器は、単純に見えて実は環境負荷を減らすための様々な工夫が凝らされています。陶器表面の凹凸をナノレベルで滑らかにし、汚れを落としやすく付きにくくするセフィオンテクト加工や、渦を巻くような水流が効率的に便器の汚れを落とすトルネード洗浄が標準装備されています。TOTO製品を使ってもらうだけで、節水、節電、CO2を削減し、より環境に優しい生活を、より快適に送ることができます」。

研究開発、製造管理からCEO

 石川さんがTOTO製品に絶対の自信を持つのは、自身が長年研究畑を歩んできたからでもある。化学系専攻の石川さんは1988年に同社へ入社し、基礎研究所(現在の総合研究所)へ配属された。「良品の供給と需要家の満足」という創業者の志の土台となる研究開発に没頭し、焼き物である衛生陶器の品質を保ちながら軽量で、高いデザイン性を実現できる現在のTOTOの衛生陶器商品素地を開発した。

 2000年に衛陶生産本部・衛陶材料技術課へ異動となり、同社の看板技術クリーンテクノロジーの中心的技術となった「セフィオンテクト」の開発に携わる。その後も原材料の新規発掘・品質管理のため、世界中の鉱山を渡り歩き調査を行った。現在の衛生陶器原料の安定的な供給は、原料メーカーとのつながりを築いた当時の訪問調査の賜物である。

 その後は海外拠点で製造全般を管理する命を受け、タイに4年、ベトナムに5年半の出向、2020年6月に米国へ赴任した。今年4月からは社長・CEOとして、製造管理のみならず米国市場の更なる獲得に向けて新たなスタートを切った。

理念・目標を皆が理解し、同じ方向を向いて

 社長就任から半年、好調な業績に甘んじることなく、より良い製品とサービスの提供に向け、販売の第一線でユーザーと接点を持つスタッフたちと直接話をする機会を設けている。現場の声を拾い上げると同時に、TOTOの理念、目標を製造ラインのスタッフにまで幅広く教育していくことが必要だと石川さんは考える。「良品の供給と顧客の満足を追求し、社会に必要とされる企業でなければ生き残っていけません。それを共に働くスタッフに理解してもらうことが大切です。実際ベトナム駐在時にそうしたマインド研修を行い、スタッフのモチベーションや行動に大きな変化が起きたことを実感しました。ここアメリカでも我々の思いを共有し、同じ方向を向いて皆と歩んでいきたいと思っています」。素材研究からものづくり・高い品質維持のコアな部分に長年携わってきた技術者ならではの視点で、米国という巨大なマーケットへTOTOの想いを結集したサスティナブルプロダクツを浸透させていく。

  《企業概況ニュース》2021年 10月号掲載