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オーナーに寄り添った建設プロジェクトを遂行
《Bellwood NY, Inc.》

「対応力」が問われるCMのスキルをベースに
オーナーに寄り添った建設プロジェクトを遂行
《Bellwood NY, Inc.》

Bellwood NY, Inc.
代表 鈴木 洋二 さん
https://www.bellwoodcm.com/

 米国でのコンストラクションマネジメント(CM)のノウハウを活かして、もっとお客さんの立場に立ったプロジェクトを進めたい———鈴木さんがそんな思いで2012年に立ち上げたベルウッドは、設立当初はCM専門だったが、今ではゼネコンとしてリテールやレストラン、オフィスの設計施工を請け負う。設計といってもコンセプトデザインは行わない。一緒に仕事をしたデザイナーから紹介で仕事が広がっていく、そうした繋がりを大切にしているからだ。

 鈴木さんは米国の大学に在学中、日系業者で配管工事のアルバイトを始めたことをきっかけに建設業界へ足を踏み入れた。ニューヨークのYTデザインでプロジェクトマネジャーとして6年、シカゴにある米系ゼネコンへ転籍して1年半が過ぎた頃、日系ホテル開発のCMの依頼を受け、ニューヨークへ戻ってベルウッドを立ち上げた。「米系ゼネコンにいたときから、僕が自分でやれば、もっとお客さんが喜んでくれるプロジェクトを作れる自信がありました。CMからゼネコンへ事業を拡大したのは、プロジェクト全体を見渡せるCMとしての経験とスキルを持った上でゼネコンをやることは、他のゼネコンとの差別化になると思ったからです。発注から施工までの間にCM、ゼネコン、サブコンと業者が入れば入るだけ取り分が上乗せされ、施主がプロダクトそのものに払うポーションはかなり少なくなる。僕らの下はサブコンなので、同じ予算でもプロダクトそのものに費やせる金額が違ってくる。米系よりハイクオリティーなものを同じ予算の中で作れるところが一つの売りです」。

 米国ではオーナーがCMを雇い、オーナー代理としてコンサルタントやゼネコンの管理にあたるのが一般的だ。プロジェクトを始める前のゲームプランの組み方が、決められた工期と予算で仕上げるキーとなる。しかし、日本とアメリカではプロジェクトマネジメントが得意とすること、求められることは全く違うと鈴木さんは言う。「日本ではプロジェクトの期日から逆算して計画的に綿密に準備を進めていきます。たとえば東京オリンピックをみても、コロナ禍のチャレンジングな状況下で、日本の準備能力はIOCや世界から高く評価されました。関係者を巻き込んだ行き届いた準備のおかげで当日は目を瞑っていてもスムーズに進行するとさえ言われています。建設現場も同じことが言えます。しかし、アメリカではそうはいきません。プロジェクトが始まってみると、計画はおおざっぱで“不測の事態が起きる”ということが常識というほどです。そういった事態にどう対応し、軌道修正しながら完遂するか、その柔軟な対応力が問われます」

◇ ◇ ◇

 ベルウッドのモットーは”Do it Right”。たとえば防音や防水、見えないところであっても絶対に手を抜かない、コンプライアンスを守り正しいことを行うということ。そして、サスティナブルコントラクター、グリーンコンストラクションマネジメントの認定も持つベルウッドで、いつか日系メーカーのサスティナブルな製品をたくさん取り入れたグリーンハウスを建てたい───鈴木さんはそんな夢を胸に抱き、レンガを一つ一つ積み上げるように、信頼と経験を積み重ねていく。

  《企業概況ニュース》2021年 10月号掲載