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【米国人事労務管理 最前線】新型コロナウイルス禍の 振り返りと今後

 この記事を執筆しているのは4月下旬です。米国内で初の新型コロナウイルス感染者がワシントン州シアトルで確認されてから約3か月、私が拠点にしているニューヨークで初の感染者が確認されてから約2か月、国家非常事態が宣言されてから約1か月が経ちました。特に国家非常事態宣言が出された前後からの約1か月間は、多くの州で外出制限やそれに類する行政命令が出され、プライベートでもビジネスでも慣れない環境に身を置かなければならず、また増え続ける感染者数と死者数のニュースを含めて怒涛のように押し寄せる情報を毎日のように見聞きし、ストレスを抱えていらっしゃる方も多いと思います。ビジネス面で大きな打撃を受けた企業では、解雇・レイオフ・ファーロウ等の対応を余儀なくされ、そのために失業者が溢れ、失業率は世界恐慌並みになるだろうとの予測も出ています。

 一方で、「The Fami-lies First Coronavirus Response Act(FFCRA)」による休暇・休職法の拡充や、史上最大規模とも言われる経済対策法である「The Coronavirus Aid, Relief, and Economic  Security Act (CARES Act)」に代表される新法の施行によって、一時的にでも個人・企業を経済面で救済しようという大きな動きがあり、その効果が期待されます。

 人事労務管理面では、前記のとおり解雇・レイオフ・ファーロウ等の対応を余儀なくされた企業もありますが、業種や職種によっては自宅勤務に切り替えることで雇用を維持している企業も多く、どちらのケースでも対応方法等について多くのお問い合わせやご依頼をいただきました。 既に自宅勤務制度を導入されていた企業では大きなご苦労はなかったように感じていますが、今回初めて対応される企業では、機器・アプリケーション・ネットワーク等の環境のセットアップに加え、労務上の対応(Non-exempt従業員の勤務時間管理等)や、従業員への通知、規程の整備・変更、契約書の作成・修正等、新たな対応が必要になったために苦労された企業が多かった印象です。

 当社がオフィスを置いているカリフォルニア州、ニューヨーク州、イリノイ州は、ご存知のとおり、新型コロナウイルス感染者数・死者数ともに米国内で最も多いか多い方に位置付けられていますが、米国内全体で見ても感染拡大が鈍化してきているとのデータもあることから、外出制限の緩和や一部解除を含めて経済活動の再開に向けた指針や動きも出てきています。それに合わせて「ポスト・コロナ」「ニュー・ノーマル(新常態)」等の用語を見聞きする機会も増えてきていますが、これは雇用・労働面では、今まで当たり前のようにオフィスに出勤してきていたところから「自宅勤務でもある程度はビジネスを遂行できる」ということが分かってしまったことで、本当の意味で効率的・効果的な働き方というのがどのようなものかを考える必要が出てきてしまったと言えます。そのための検討内容については来月以降の記事に譲りますが、キーワードとしては「オフィスで仕事をすることの意義」「効果的なコミュニケーション(方法)」「より具体的なパフォーマンス管理」等が挙げられるでしょう。

 人事労務管理関係でご質問等がございましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。

 

三ツ木良太
HRM Partners, Inc. President and COO

《企業概況ニュース》2020年 5月号掲載