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霧の専門家〝いけうち〟北米ディスインフェクション分野へ

《IKEUCHI USA, INC.》
霧の専門家〝いけうち〟北米ディスインフェクション分野へ

IKEUCHI USA, INC.    
ジェネラル・マネージャー  鷲塚 泰典 氏       https://www.ikeuchi.us

 霧の専門家「フォグエンジニア」として水や大気と向き合い、半世紀以上にわたり世界最高水準の霧を世に提供し続ける「いけうち」。噴霧量、角度、パターンの組み合わせにより、これまで世に出してきたノズルは4万2000品を数える。同社の加湿、冷却、冷房システムは世界で高い評価を受け、印刷、電気電子、縁力、農畜産、食品、医療など様々な業界で活用されている。

触れても濡れない霧ドライフォグ加湿器「アキミスト(AKIMist)」

 いけうちのアメリカ市場進出は2006年。ものに触れても濡れない霧ドライフォグ加湿器「アキミスト(AKIMist)」を投入し、自動車製造現場では、車体にペイントする際に細かなゴミや粉塵が静電気などで付着しないよう事前にブースを加湿したり、製鉄工場で熱くドロドロに溶けた鉄を冷却する用途にノズルが使われるなど、活躍の場を少しずつ広げてきた。

 他社の製品と比べると同社の霧はきめが細かく、ピンポイントで湿度を上げられる。この繊細さに加え、コンパクトなサイズ感も同社の強みとなる。また、同社の制御ユニットや圧力調整機器など周辺機器をはじめシステム構築力への信頼も厚く、自動車製造現場のみならず、印刷、繊維、エレクトロニクスの他、グリーンハウスの加湿・冷房などにも使われている。

自らのアイデアで勝負する

 まだ、開拓しきれていない市場で勝負したいと、鷲塚さんは自ら手を挙げアメリカに乗り込んだ。2018年1月の赴任から3年。やっと見えてきた感もあるが、アメリカ人部下たちとの円滑なコミュニケーションに四苦八苦しながらも、日々少しずつ前へと進んでいる。

 いけうちが手がけた「花博の霧」の技術力に興味を持ち入社を決め、ノズル事業部、冷却事業部、ノズル事業部の東京営業所長と経験を積んできた。こうした経験から、いけうちの本当の強みは、①に製品力、②に人だと鷲塚さんは考える。「上からの指示ではなく、自ら考えたアイデアを尊重し勝負させてくれる土壌があります。アメリカでも同様に、一人ひとりに考えさせ、自ら行動する姿勢を大事にしています」。

殺菌消毒の分野に活路

 今回のコロナ禍は、新たな挑戦の機会も与えた。いけうちのノズルが作る微細の霧は、薬液の散布や除菌にも最適で、薬液を噴霧して空間の殺菌をしたり、細かい霧を振りかけて瞬間蒸発させて殺菌する。「こうした〝殺菌消毒:ディスインフェクション〟分野での展開を進めています。工場やオフィスはもちろん、病院やナーシングホーム、銀行、医療現場など導入の場は多い。この動きを全米へと展開していきます」と鷲塚さんは意気込む。

 「もう一つのチャレンジとしては、ノズル単体での販売を拡大すること。ノズルの消費期間は業界や使用方法に大きく左右されますが、ノズルを消耗品として交換して頂く商流を確立させたい。市場での評価を積み重ねていくほか方法はありませんが、いけうちの製品に触れて頂かなければ始まりません。霧の専門家〝いけうち〟の名を、アメリカ全土に轟かせること──これが、私の重要な役目なのです」。日本初の世界最高水準の霧が、アメリカ各地で静かに舞い始めている。

  《企業概況ニュース》2021年 03月号掲載